【エメラルドドラゴン】スーパーファコン版 1995年発売

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【エメラルドドラゴン】スーパーファコン版 1995年発売

『エメラルドドラゴン』(通称「エメドラ」)は、バショウハウスとグローディアが手がけたドラマチックRPGです。
舞台は、人間とドラゴンが共存した聖地イシュ・バーン。強力な呪いから逃れて異次元の島に移り住んだ竜族は、2000年の歳月を経て「ドラゴン小国」を築きます。ある日、記憶を失った人間の少女が流れ着き、白龍に「タムリン」と名づけられ、若きブルードラゴンのアトルシャンと兄妹のように育てられるところから話しは始まります

本作は当時としては珍しい「キャラクターと物語を前面に押し出す構成」や、部分アニメーションを取り入れた豪華イベント演出、AIによる自動行動を特徴とする半リアルタイム戦闘が高い評価を受けました。さらに「相談コマンド」で仲間同士の会話を楽しめるなど、物語に没入しやすい工夫が随所に施されています。家庭用移植ではPCエンジン版のフルボイス・大容量演出、スーパーファミコン版の「ドラゴンチェンジ」導入による戦闘難易度の緩和といった各機種独自の魅力もあり、今なお根強いファンを持つ名作として語り継がれています。

そして今回紹介するスーパーファミコン版は1995年7月28日に発売されます。

ゲームシステム

『エメラルドドラゴン』はオーソドックスな見下ろし型マップのRPGですが、戦闘システムに戦略ゲーム風の独自性があります。戦闘はアクションゲージを用いた半リアルタイム形式で、プレイヤーが直接操作できるのは主人公のみ。他の仲間キャラクターはAIが自動行動し、それぞれ固有の戦闘パターンで動きます。

主人公アトルシャンは剣による攻撃役ですが、味方には回復魔法を使う者や遠距離攻撃の弓使いも存在し、最大5人パーティーで戦闘を行います。行動順は各キャラのゲージ消費量で管理され、移動や攻撃でゲージが減少する独特のタクティカルコンバット風のルールです。このシステムは前作にあたる『サバッシュ』から受け継がれたもので、AI活用の戦闘や広大で滑らかなマップスクロールなど、当時の先端技術を投入した意欲作でした。

一方で、主人公が戦闘不能になると即ゲームオーバーになる(一部機種では味方一人倒されただけでゲームオーバーだった)点や、仲間AIの挙動にやや癖がある点など、難易度バランスに粗さも見られます。ただしスーパーファミコン(以下SFC)版では味方が倒れても主人公さえ生きていれば続行可能となり、ゲームオーバー条件が緩和されました。このように後発の移植版では難易度調整も図られ、SFC版は総じて遊びやすい設計になっています。

また本作はユーザーフレンドリーなシステムも特徴です。どこでもセーブ可能(フィールド上で好きな時にセーブできます)で移動速度も速く、ダンジョン内でもテントというアイテムでいつでも全回復が可能です。次に何をすべきか迷ったときにはメニューの「相談コマンド」で仲間との会話からヒントを得られるなど、詰まり防止の仕掛けも備わっています。

さらに一部機種版ではおまけ要素として、条件次第で入れる隠しシナリオや、シューティングゲーム風のミニゲームまで用意されていました。SFC版ではハード性能上カットされた要素もありますが、その代わりに「ドラゴンチェンジ」というオリジナル新システムが追加されています。戦闘中に主人公アトルシャンがアイテム使用で一時的にドラゴン本来の姿に戻り、5種類の竜形態の中から選んで強力な特殊能力を発揮できるようになりました。このシステムによりSFC版の戦闘難易度はさらに引き下げられており、戦略性よりもストーリー体験を重視した調整になっています。

なおSFC版では演出強化として戦闘時に一部キャラクターの音声が流れる場面があり、主人公がピンチになるとヒロインのタムリンが「あっ、アトルシャンのバカッ!」と叫ぶセリフが聞けるなど、当時のSFCソフトとしては異例の豪華なボイスが盛り込まれている点も見どころです。

以上のように、本作は快適性と独創性を兼ね備えたゲームシステムが特徴です。プレイヤーは煩わしいレベル上げや資金稼ぎに悩まされることなく物語を進められる一方、戦闘ではAI仲間の行動を見極めつつ主人公の指示を的確に出す戦略性も要求されます。主人公以外の仲間には経験値の概念がなく、物語の進行に伴う離脱・再加入によって自動的に成長する方式もユニークです。長期間パーティに居るキャラほど相対的に非強化期間が長く弱体化する傾向があるため、物語後半では一時退場していた仲間が再登場時に大幅強化されるなど、物語展開と成長システムがリンクしている点も特徴と言えます。

ストーリー

悠久の昔、聖地イシュ・バーンでは人間とドラゴン族が共存していました。 しかし何者かの策略により「その姿のままイシュ・バーンに留まれば命を落とす」という呪いがドラゴンたちに掛けられてしまいます。力無き幼い竜から次々と骨と化して倒れていく非常事態の中、龍族はやむなく故郷を去り、異次元の孤島にドラゴンだけの国「ドラゴン小国」(PCエンジン版以降では「ドラグリア」)を築いて移り住むことになりました。

それから約2000年の月日が流れたある日、ドラゴン小国の海岸に人間の乗っていたと思しき難破船が漂着します。乗っていた赤ん坊の少女だけが奇跡的に生き残っていましたが、彼女は記憶を失って自分の名前すら思い出せない状態でした。その健気な幼子を哀れんだ白龍(ドラゴン族長老)は「清き者」という意味を込め「タムリン」と名付け、自らの孫同然に幼きドラゴンの少年「アトルシャン」と共に育てることにします。

やがて十数年が過ぎ、タムリンは美しい少女に、アトルシャンはたくましい青年ドラゴンへと成長しました。二人は兄妹のように仲睦まじく育ちましたが、人間であるタムリンの幸せを思った白龍は「やはり人間は人間の世界で暮らすのが一番幸せだろう」と考え、彼女を人間界イシュ・バーンへ送り返す決意をします。夕陽に染まる浜辺で涙ながらに別れる二人。アトルシャンは自分の立派な片方の角を掴み折ってタムリンに手渡し、「この角で角笛を作り、困った時には吹くんだよ」と言い残しました。タムリンは胸に込み上げる想いを抱きながら、人間界への船路に就くのでした。

それからさらに数年後。タムリンが戻ったイシュ・バーンの大陸では、約20年前に突如現れた魔王ガルシア率いる魔軍と、人間側から寝返った魔将軍オストラコンによって各地が蹂躙され、荒廃しきっていました。絶望的な状況の中、タムリンは「今こそ救いを呼ぶ時」と確信し、聖地の祈りの丘でかつて預かった角笛を高らかに吹き鳴らします。その音は次元を超えてドラゴン小国に届き、今なお生きるアトルシャンの耳に響き渡りました。角笛の呼びかけに応えたアトルシャンは白龍を説得し、人間界へ向かう許可を得ます。同時に呪いから身を守るための秘宝「銀の鱗」を託され、人間の姿に変身できる力を得ました。こうして人間の青年の姿となったアトルシャンは、イシュ・バーンの祈りの丘に舞い降り、タムリンと再会します。祖国を魔の手から解放するため、二人は魔王討伐の長い旅へと出発するのでした。

物語は王道のファンタジー展開でありながら、要所で意外なドラマが待ち受けます。魔王軍との戦いの中で味方陣営にも多くの犠牲が生じ、序盤では主人公の最初の旅立ちの地が敵軍の襲撃によって壊滅してしまいます。各地で出会い仲間になる心強い人物たちも、全員が生きて結末を迎えるわけではありません。プレイヤーの旅を支えた仲間キャラクターのうち3人もの命が失われるというシリアスな展開も用意されており、物語に緊張感と深みを与えています。こうした演出により、「強大な敵に立ち向かうには犠牲が避けられない」というシビアな世界観が表現され、ファンタジーながら重厚な物語性が本作の大きな魅力となっています。

もっとも、SFC版では演出の一部に表現規制的な変更も加えられました。その一例として、ある仲間キャラクターの死因がPC版やPCエンジン版では「潜伏していた敵スパイに射殺される」というシーンだったのに対し、SFC版では「弓の練習をしていた子供の誤射による事故死」に変更されています。この改変には賛否がありますが、SFC発売当時の対象年齢を意識したマイルドな表現への差し替えと考えられます。このようにハードや媒体によって細部の描写が異なる点も、本作のストーリー展開の興味深い特徴と言えるでしょう。

キャラクター・設定

本作には個性豊かなキャラクターが多数登場します。主人公のアトルシャンは、人間界では爽やかな赤毛の剣士姿ですが、その正体はドラゴン小国で数百年ぶりに誕生した若きブルードラゴンです。幼い頃から人間の少女タムリンと兄妹同然に育ち、彼女を守るために自らの角を折ってまで力を貸す心優しい青年でもあります。旅立ちの際には「銀の鱗」の力で人間に変身していますが、ドラゴンとしての誇りと力強さを秘めた主人公らしいキャラクターです。

ヒロインのタムリンは、かつてドラゴンたちに救われ育てられた記憶喪失の人間女性です。名前の由来は「清き者」を意味する言葉で、白龍からその純真さを称えて与えられました。優しく献身的な性格で、旅の中では回復魔法など支援役として活躍します。タムリン自身もアトルシャンと離れて過ごした人間界で様々な試練に直面しており、その経験から強い意志を持って聖地を救おうと決意する芯のある人物です。

二人の旅には様々な仲間が加わります。竜族に心酔する青年戦士ハスラム、流浪の弓使いバギン、誇り高い女将軍ファルナ、陽気な盗賊ホスロウなど、それぞれのキャラクターに細かな設定と物語上の役割があります。仲間たちは物語の進行に伴って入れ替わり立ち替わり参加し、時に別離や死別も経験します。こうした多彩な仲間キャラクターとの出会いと別れが物語を盛り上げ、プレイヤーに強い印象を与えます。特に敵側にもドラマがあり、魔将軍オストラコンのようにかつては人間の英雄だった者が敵に回っていたり、各キャラ同士の関係性にも複雑な背景が描かれています。

世界観の設定にもこだわりが見られます。地名や人名の多くは古代ペルシアのゾロアスター教に由来しており、例えば魔王ガルシアや竜族の聖地イシュ・バーンなど、その響きに神秘性が込められています。実際のゲーム中でも、ドラゴン族の歴史や聖地を巡る伝承、人間と魔族の軋轢などが丁寧に語られ、高いファンタジー世界の没入感を味わうことができます。主人公たちの出身であるドラゴン小国(ドラグリア)は異次元に存在するという独特の設定で、ドラゴンたちが人里離れた島国でひっそり暮らす様子は、他のRPGにはない世界観の魅力となっています。

キャラクターデザインは木村明広氏が担当し、美男美女が多数登場するアニメ調のビジュアルも本作の特徴です。ゲーム中には物語の要所で美麗なイベントCG(ビジュアルシーン)が挿入され、キャラクター達のドラマチックな表情が描かれます。特にPCエンジン版まではCD-ROMの容量を活かして声優による音声もふんだんに収録されており、まるでアニメを観ているかのような演出で当時高く評価されました。SFC版では容量の制約からビジュアルシーンや音声が大幅に削減されましたが、それでも戦闘時の掛け声などSFCカートリッジとは思えぬ演出が光ります。プレイヤーはこうした魅力的なキャラクター達の掛け合いや成長物語を追体験しながら、壮大な冒険に感情移入できるようになっています。

登場人物一覧

名前声優(TOWNS/PCエンジン)声優(SFC/ドラマCD)役割主な特徴備考
アトルシャン飛田展男関俊彦主人公
ブルードラゴン
角笛でタムリンを呼ぶ
銀の鱗で人間形態
続編では「灼髪の剣士」
タムリン天野由梨笠原弘子ヒロイン
魔法使い
「清き者」の名を持つ
回復&攻撃魔法
本名:フィアル・ビム・ストラティ
ハスラム堀川亮井上和彦王子剣士熱血プレイボーイ
プロポーズ有
続編では「隣国の王子」
ファルナ鷹森淑乃冬馬由美修道士(僧侶戦士)回復・防御担当
ハスラム想い
続編では「近衛の修道女」
バルソム屋良有作元近衛兵→隊長汚名返上し復職酒癖あり
バギン西村知道藤本譲魔道士元魔軍→改心
ゴーメズ討伐で戦死
ファルナの養父
ホスロウ河合義雄郷里大輔レジスタンス長強面だが優しい
妻子亡
ドラマCD版では最後まで同行
ヤマン北島淳司山寺宏一酋長の息子言葉は片言
機種ごとに死亡シーン異なる
SFC版は誤射による死
カルシュワル沢木郁也掛川裕彦レジスタンス戦士最強の戦力
父をオストラコンに殺される
オストラコン呪詛を防ぐ
サオシュヤント子安武人速水奨「風の英雄」弓手仙人フシュルヌムの弟子弓奪回のため参加
ワラムル田中秀幸名医/魔法使い診療所経営
PCE以降は仲間加入
PC版では非加入
名前声優(TOWNS/PCエンジン)声優(SFC/ドラマCD)役割主な特徴備考
オストラコン中村大樹塩沢兼人魔将軍元人間→悪魔契約
腕を魔物化
続編で復活
アークデーモン上級悪魔オストラコン契約相手力はガルシア級
パラゴ魔闘鬼オストラコン配下ハスラムに「ハゲ」
エルム魔邪鬼遠距離魔法使いオストラコン配下
バシタ魔戦鬼双剣+魔法オストラコン配下
ガルシア戸谷公次魔王アヴェスタ探求
「黒き爪」所持
最終ボス
名前声優(TOWNS/PCエンジン)声優(SFC/ドラマCD)立場主な特徴備考
エメラルドドラゴン沢木郁也小川真司伝説の龍族英雄アヴェスタ封印者
テレポスタ支援
続編でも登場
白龍青野武長老ドラゴンタムリン名付け親
出発の門を開く
シルバードラゴン西村知道戸谷公次老ドラゴン銀の鱗を作成
ドラゴンゾンビアンデッドアヴェスタ守護者ゴールドドラゴン由来
プラティナドラゴン古代王3000年前の王名前のみ登場
ジェシル山寺宏一王宮騎士タムリン救出PCE/SFC版追加
ティリダテス水島鉄男青野武ホルス宰相選民思想強硬派
アヴェスタ創造者
最終、ザンディーグ憑依
海のミコ江守浩子巫女紅の古文書所持者導くドラマCD版で死亡
山のミコ江守浩子巫女青白古文書所持者導くSFC版のみ登場
フシュルヌム藤本譲仙神サオシュヤント師匠
エメドラ親友
数千年生存
ザンディーグラストボスアヴェスタ化身ティリダテス憑依設定有
フラワルド男爵貴族バルソム追放者ドラマCD版のみ王族
サダ島田敏軍団長オストラコン再攻勢で戦死
タップ連絡員「タップじいさん」
トマスレジスタンスお調子者
ウルワンの長老長老魔法教えるSFC版裏技関連
ウィード夫人メリルの母病床
魔法使い森の住人マンドラゴラ森奥在住
ダードワ村の酋長酋長戒律重視ヤマンの父
フワル妖精神殿守護者
アルテミス=フローラ憑依者メリルの母の憑依対象
ハダル博士博士ヴィーム遺産研究者
裏で野望
サギー叔父
木人人工生命ヴィーム文明時代の意識
ラー怪鳥テレポスタ封鎖エメドラ創造

開発・スタッフ情報

本作はもともとPC向けRPGとして開発されました。制作を手掛けたのは、パソコンゲーム開発会社のグローディアと、販売元となったバショウハウスです。第1作のPC-8801版およびPC-9801版が1989年に発売され、その後X68000やMSX2、FM TOWNSといった国内PC機種に次々と移植されていきました。PC版の開発スタッフには、キャラクターデザイン・原画の木村明広氏や、ゲームデザイン・シナリオの飯淳(いい あつし)氏、音楽の福田裕彦氏らが名を連ねています。特に木村氏は前作『サバッシュ』から引き続き参加しており、同作からのシステム継承や世界観の繋がりもあって『エメラルドドラゴン』は『サバッシュ』のスピンオフ的作品とも称されました。実際、ゲーム内容の直接的な繋がりはないものの、当時のゲーム誌でも「グローディア渾身のドラマチックRPG第2弾」として大きく特集されるなど、高い期待をもって迎えられます。

1994年には家庭用ゲーム機への初移植としてPCエンジン版(SUPER CD-ROM²用ソフト)が発売されます。移植開発を担当したのは当時PCエンジン版で実績を積んでいたアルファ・システムで、発売元はNECホームエレクトロニクスです。権利関係が複雑に分散していた本作ですが、角川書店グループのメディアワークスが調整役となり、アルファ・システムへの移植発注という形で家庭用展開が実現しました。PCエンジン版開発には、元グローディアの木村明広氏がライトスタッフ(木村氏ら独立組が興した会社)から出向する形でキャラクターデザインに復帰し、音楽も全曲福田裕彦氏が新たに書き下ろしています。さらに当時『天外魔境II』などで名を馳せていたゲームデザイナー桝田省治氏が監修として参加し、プログラマーの岩崎啓眞氏と共にオリジナル版の問題点を徹底的に改良しました。PCエンジンのRPGにて傑作の一つに数えられるほど高い完成度を示したPCエンジン版は、ビジュアルシーンの大幅強化やフルボイス化、新サブシナリオの追加など、まさに集大成的なリメイクとなりました。

そして1995年7月28日、いよいよスーパーファミコン(SFC)版が発売されます。発売元はメディアワークスで、移植開発は引き続きアルファ・システムが担当しました。SFC版では媒体がCD-ROMからROMカセットに変わるため、容量や対象年齢の制約から演出面の簡略化が避けられませんでした。それでも「テーマは愛」というキャッチコピーを掲げ、メディアワークスはラジオ番組「エメラルドドラゴン」(文化放送)を放送するなど熱心なプロモーションを展開します。SFC版発売に合わせてラジオドラマも全20話制作され、主要キャストによる公開収録イベントが行われるなどメディアミックスも展開されました。SFC版の開発スタッフには基本的にPCエンジン版版と同じ顔ぶれが参加しており、木村明広氏が引き続きキャラクターイラストを担当しています。ただしタイトルロゴは刷新され(オープニング画面のみTOWNS版準拠のフォントを使用)、シナリオ面でも先述のように一部新規要素や変更が加えられています。

スタッフ情報としては、キャラクターデザイン:木村明広シナリオ:飯淳音楽:福田裕彦がオリジナル版からの主要メンバーです。加えてPCエンジン版/SFC版では開発:アルファ・システム(プロデューサー:桝田省治、プログラム:岩崎啓眞 他)、発売:メディアワークスとなっています。メディアワークスからは本作の小説版(著:篠崎砂美)や4コマ漫画アンソロジー、攻略本なども刊行され、関連書籍やCDも多数リリースされました。特に「電撃CD-ROM&BooK エメラルドドラゴン」はSFC版までの集大成ムックとして製作され、木村明広氏や声優陣のインタビュー、設定資料など貴重な開発秘話が収録されています。これらからも当時の意気込みが感じられ、本作がメディアワークスにとっても力の入ったタイトルであったことがうかがえます。

地域別発売情報と相違点

『エメラルドドラゴン』は日本国内で開発・展開された作品であり、発売当時は北米・欧州での公式リリースは行われませんでした。したがってSFC版も含め、本作をプレイできる公式な手段は日本地域のみとなっています。以下に主要地域ごとの発売情報と仕様の違いをまとめます。

地域日本(スーパーファミコン版)北米(SNES)欧州(SNES)
発売日1995年7月28日(※日本のみ発売)未発売未発売
言語・パッケージ日本語版。ROMカセット(箱・説明書付き)。価格:9,800円(税別)
初動売上 / 累計売上初週売上:不明(※メディアワークスからの出荷本数自体が少数)累計売上:推定数万本規模(流通数が少なく現在入手困難)
主な仕様・日本語音声のボイス(戦闘時の掛け声等)を一部収録・電池バックアップ対応(セーブ機能)・取扱説明書(キャラ紹介や小説風ショートストーリー掲載)
難易度調整・ゲームオーバー条件を緩和(主人公死亡時のみ)・敵出現数や攻撃力を全体的に抑制(PC版より易しい)・「ドラゴンチェンジ」導入により戦闘が更に容易化
表現上の変更・一部イベントの演出変更(暴力表現のマイルド化など)・ビジュアルシーン簡略化(静止画像やテキスト中心に)・サブシナリオを3篇差し替え(幽霊の町1・2、バニー5人集)

※北米・欧州では本作のスーパーファミコン版に相当するSNES版は発売されておらず、公式ローカライズは行われていません。当時は同ジャンルの日系RPGが海外市場で紹介される機会が少なかったことや、本作の発売時期(1995年)には既に次世代機への移行期だったこともあり、海外展開は実現しませんでした。そのため上記のとおり、日本国外では正式なパッケージ版・ダウンロード版は存在しません。ファンによる非公式の英語翻訳パッチなどは後年登場していますが、正規の手段では現在でも日本版のみの提供となっています。

一方、同じ日本国内においても機種ごとの仕様差が見逃せません。特にPCエンジン版との比較では、SFC版はビジュアル面・サウンド面で簡略化された反面、新規要素の追加や難易度低下などゲーム性の調整が図られています。例えばPCエンジン版にはアニメーション豊かなイベントシーンやプロの声優陣によるフルボイスがありましたが、SFC版では画像枚数を減らし音声も掛け声程度に留めています。一方で前述のドラゴンチェンジ導入や、新たなサブシナリオの追加によってSFC版独自の遊びが盛り込まれました。物語演出面でも、PCエンジン版まで存在したサブシナリオ(「サギーの章」「メリルの章」など)はSFC版では別内容に差し替えられ、結末の描写にも若干の変更があります。こうした機種間の相違点は、本作のファンにとって語り草となっており、「どの版がベストか」について議論されることもしばしばです。

総じて、『エメラルドドラゴン』は日本以外では入手困難な作品であり、その内容もプレイする機種によって微妙に異なるという特徴があります。上記の表で整理したように、各プラットフォームで長所短所がありますが、いずれの版でもドラマチックなストーリーと魅力的なキャラクターは一貫して楽しめます。レトロゲーム愛好家の間では「PCエンジン版の完成度が高い」「SFC版は遊びやすい」といった評価も見られ、自分に合った版でプレイするのも一興と言えるでしょう。

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セールス実績と評価

『エメラルドドラゴン』の販売実績と評価は、発売されたプラットフォームによって大きく異なります。まずPC版はパソコンゲームとしては異例の累計10万本規模のヒットを記録し(PC各機種版合計)、当時のPCユーザーから絶大な支持を受けました。続いて発売されたPCエンジン版は約30万本を売り上げ、PCエンジン用CD-ROM作品として歴代2位タイのヒット作となりました。これはPCエンジンのRPGとして『天外魔境II』に次ぐ記録であり、同ハードを代表する名作との呼び声も高いです。PCエンジン版は「RPG三大傑作」の一つに数えられる評価も得ており、ゲーム専門誌やユーザーアンケートでも高く評価されました。実際、PCエンジン専門誌『PC Engine FAN』の読者人気投票でも上位にランクインしたと伝えられ、ストーリー・音楽・演出の三拍子そろった佳作との声が多く聞かれました。

一方、スーパーファミコン版のセールスはPCエンジン版ほど振るわず、流通本数も限られたため市場で見かける機会が少ない作品となりました。具体的な販売本数の公式発表はありませんが、当時のファミ通集計ではトップ30圏外になるなど大きなヒットには至っていません。推定では数万本規模の出荷に留まったとされ、発売時期がSFC末期だったことも重なって商業的には苦戦したようです。それでも現在のレトロゲーム市場ではプレミア価格が付くタイトルの一つであり、中古ショップで完品が高値取引(例:箱説付き8,000~10,000円前後)されるなどコレクター人気は高いです。流通量の少なさと作品の評価の高さから、「幻の名作」として再評価する動きも見られます。

レビュー評価について見ると、ファミコン通信(現ファミ通)のクロスレビューではPCエンジン版・SFC版ともに辛口な点数が付けられています。PCエンジン版発売当時のファミコン通信では4人合計22点(6,5,6,5)という評価で、ゲーム性よりストーリー重視な作りやバランス面に賛否があったようです。一方、ゲーム誌『マル勝PCエンジン』や『電撃PCエンジン』ではシナリオ性やビジュアルの充実が高評価されており、媒体によって評価は分かれました。総じて専門家筋からは「尖った部分もあるが良質なシナリオRPG」としてまずまずの評価、ユーザーからは「感動した」「音楽が素晴らしい」といった熱狂的な支持を得るタイトルだったと言えます。

発売後の展開としては、関連メディアでの評価も注目されます。小説版(電撃文庫)や4コマ漫画劇場、ドラマCD化など積極的にメディアミックスが図られたこと自体が、本作の人気を裏付けるものでした。特にドラマCD版は文化放送のラジオドラマとして放送されたもので、当時人気声優だった関俊彦さんや冬馬由美さんらが出演し、CDも複数リリースされました。これら関連商品はファンに支持され、例えば小説版『エメラルドドラゴン 竜を呼ぶ少女』は重版がかかる売れ行きを示しました(篠崎砂美氏著)。またゲーム音楽にも根強いファンが多く、サントラCDが発売されたほか、近年の「ゲーム音楽ベスト○○」のランキング企画で本作の曲がランクインするなど、評価は長年に渡り語り継がれています。

しかしながら、再発売やリメイクには恵まれない作品でもあります。前述のように権利関係が複雑であるため、バーチャルコンソールや復刻版などが一切行われず、公式にプレイするには当時の媒体を入手するしかありません。2019年に行われた30周年記念イベントでは、キャラクターデザイナー木村明広氏が「続編企画を進めたい」と意欲を見せ、クラウドファンディングでドラマCD『エレメンタル ドラグーン -2つの光-』を制作する試みもありました。ファンの間では今なお本作への思い入れが強く、続編やリメイクを望む声も根強くあります。

まとめると、『エメラルドドラゴン』は商業的な大成功こそ逃したものの、その完成度と物語性で多くのファンを生み出し、「知る人ぞ知る名作」として評価されてきました。30年以上を経た現在でも各種媒体で取り上げられ、新たなファンを獲得し続けていることから、その魅力が色褪せていないことが窺えます。雑誌レビューからユーザー人気、そして中古市場でのプレミア化に至るまで、多角的に見ても本作はレトロゲーム史に残る一本と言えるでしょう。

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