ファミコン期における「格闘ゲーム」全体像:4つの系譜から見る原初の対戦文化

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ファミコン期における「格闘ゲーム」全体像:4つの系譜から見る原初の対戦文化

1980年代から1990年代初頭のファミコンでは、「格闘ゲーム」といっても現在のように必殺技コマンドや体力ゲージを駆使する“1対1の対戦格闘”はごく少数でした。
むしろ主流は、素手や打撃を軸に押し合い・間合いを競う“原初型”や、アクションの一部として格闘を組み込む“混成型”、相撲・プロレスなどの“格闘スポーツ”、さらに多人数が入り乱れる“乱戦型”など、多彩なバリエーションを持っていました。

ここでは、当時のファミコンおよびディスクシステム作品を、以下の4つの系譜で整理し、時代背景や技術的工夫を交えて解説します。

正統派1対1型(直系の対戦格闘寄り)

ファミコン初期の“1対1対戦”を最も象徴するのが『アーバンチャンピオン』(1984, 任天堂)です。上下強弱のパンチとフェイントによる押し出し戦で、体力ゲージを使わず“位置取り”で勝敗が決まる点が特徴。格闘の原型として後年の2D格闘に影響を与えました。

続く『イー・アル・カンフー』(1985, コナミ)は、異なる流派の使い手との連戦形式を採用。武器や間合いの違いによってキャラクターごとの個性が際立ち、“キャラ対”という発想の萌芽が見られます。

データイーストの『空手道/Karate Champ』(1984, FDS版あり)は、一本勝負の空手競技を模したポイント制バトル。間合いと技選択による駆け引きが重視され、格闘の「競技性」を家庭用に落とし込んだ意欲作でした。

ファミコン末期には『ジョイメカファイト』(1993, 任天堂)が登場。スプライト制限を逆手に取り、キャラクターを胴体・手足に分けた“分離スプライト方式”で多彩な必殺技を実現しました。ファミコン格闘表現の到達点として知られます。

海外NESでは『Teenage Mutant Ninja Turtles: Tournament Fighters』(1994, Konami)が最後期に登場。NESでは珍しい“純粋な対戦格闘”として位置づけられています。

要点
●『アーバンチャンピオン』が初期の基礎を築いた
●『イー・アル・カンフー』がキャラ性と読み合いを導入
●『ジョイメカファイト』が技術的限界を突破
●NES版『TMNT TF』は海外専用の最終期格闘

    『アーバンチャンピオン』(1984, 任天堂)――“押し出し制”が形にした原初の1対1

    ファミコン初期の1対1対戦を象徴する一本。上下×強弱パンチとフェイントで相手を路地の端へ追い込み、体力ゲージではなく“位置取り”で勝敗が決まるのが最大の特徴です。発売日は1984年11月14日。任天堂公式の作品ページおよびVC解説でも“ファミコン初期の対戦格闘”として位置づけられており、読み合い・間合い・押し合いという“後年の格闘の基礎”を簡潔なルールで体験させる設計でした。

    基本データ
    発売:1984年11月14日(ファミリーコンピュータ)/任天堂
    ジャンル:対戦格闘(2人対戦対応)
    設計思想:体力ゲージ不採用/押し出し制&環境ギミックで決着
    後年の展開:バーチャルコンソール配信、Nintendo Switch Online向けクラシックスでも案内あり(紹介文は“2D格闘”として記載)。

    “パンチの相撲”とも形容できる、位置取りと心理戦の濃縮版。必殺技や複雑なコマンドが存在しない代わりに、間合い・軽重の択・フェイントだけで勝敗が決まる“原初の読み合い”が体験できます。

    見どころ・評価軸
    ●押し出し制=位置取り勝負:削りではなく“押し出す”ことで決着。路地・マンホールなど環境要素が勝敗に直結します。
    ●操作は“上下×強弱”の読み合い:軽いパンチで差し込み、重いパンチでふっとばす――の使い分けとフェイントが中核。
    原初の1対1としての史的価値:のちの2D対戦格闘に一般化する“間合い・差し込み・起き上がりの選択”の感覚を、極めて簡素なUIで提示。

    『イー・アル・カンフー』(1985, コナミ)――“異流派と連戦”で芽生えたキャラ対と必殺技の原型

    1985年にコナミから登場した『イー・アル・カンフー(Yie Ar Kung-Fu)』は、アーケード発の格闘アクションとして知られ、現代の対戦格闘ゲームの礎を築いた先駆的なタイトルです。主人公「オロウン(Oolong)」が、さまざまな武器や技を使う使い手たちと一対一で戦う形式を採用しており、「相手ごとに異なる攻略法を見極める面白さ」を強く打ち出していました。コナミ公式でも「格闘ゲームの原点」として位置づけられており、単なるアクションではなく、「キャラ対(キャラクター対策)」という発想をプレイヤーに提示した最初期の作品といえます。

    タイトルイー・アル・カンフー(Yie Ar Kung-Fu)開発・発売コナミ
    初出アーケード:1984年末(限定出荷)~1985年稼働家庭用ファミリーコンピュータ版(1985年発売)
    ジャンル1対1格闘アクションプレイ形式連戦方式/敵ごとの個別挙動
    特徴方向入力+攻撃で多彩な技分岐設計思想“異流派”との戦いを通じた攻略学習
    現行配信Arcade Archives(Switch/PS4)評価格闘ゲームの原点と位置づけ(コナミ公式)

    本作の戦闘システムは、レバー方向+パンチ/キックの組み合わせによって多彩な攻撃を繰り出す仕組みを持ち、家庭用版では16種類もの技を使い分けることが可能でした。この「操作拡張性」により、プレイヤーは単にボタンを押すだけでなく、相手との間合いや技の発生タイミングを考慮した戦略的なプレイを要求されます。当時としては非常に先進的な入力システムであり、後の『ストリートファイター』や『餓狼伝説』といった作品に受け継がれる“技の出し分け”の概念をいち早く実装していたのです。

    敵キャラクターたちはそれぞれ異なる“流派”や“戦闘スタイル”を持ち、ヌンチャク使い、飛び道具を放つ使い手、高いジャンプを繰り返す相手など、特徴がはっきりと分かれています。プレイヤーはそれぞれの相手の特性を理解し、「対処法を学ぶ=攻略」というプロセスを通じて上達していく構造となっています。これはまさに現代の格闘ゲームにおける“キャラ差”や“読み合い”の原型であり、単純なスコアアクションとは一線を画すデザイン哲学が見て取れます。

    アーケード版は1984年末から1985年初頭にかけて稼働し、当時流行していた『Karate Champ』(データイースト)とは異なるアプローチで話題を集めました。後者が競技性を重視した「ルール型」の作品だったのに対し、『イー・アル・カンフー』はスピード感と多彩な技表現を重視し、“戦闘アクションとしての格闘”を確立した点が評価されています。

    また、1985年にはファミリーコンピュータ版も発売され、アーケードの操作感を家庭用向けにアレンジ。コナミ公式のWiiバーチャルコンソール版紹介でも「格闘ゲームの原点」と明記され、現代でも任天堂公式ストアやPlayStation Store(Arcade Archivesシリーズ)で配信されるなど、歴史的価値の高いタイトルとして再評価が続いています。

    『空手道/Karate Champ』(1984, データイースト/FDS版あり)――“一本(ポイント)先取”の競技格闘が示した1対1の原型

    1984年にアーケードで稼働した『空手道/Karate Champ』は、「1対1の格闘」を明確にルール化した最初期の金字塔的作品です。審判の合図で始まる試合では、間合いと技の正確さが勝敗を決め、体力ゲージではなく「一本・技あり」で得点を競うポイント制が採用されました。
    この「削り合い」ではない“当て方の正確さ”重視の設計は、後の2D対戦格闘に通じる「差し込み」「反撃」「間合い」の思考を早くも提示しており、数多くの資料で「最も影響力の大きい1対1格闘の一つ」と評されています。

    項目内容
    稼働/発売アーケード:1984年(データイースト)/NES版:1986年(北米)/FDS版:1988年7月22日(日本)
    ジャンル1対1格闘(ポイント制・ベスト・オブ・スリー)
    操作体系アーケード版は2本レバーによる入力方式
    移植注記家庭用は“Player vs Player”版を基礎にしたFDS移植

    アーケード版の人気を受けて、1986年に北米NES版が登場。その後、日本では1988年7月22日にファミリーコンピュータ・ディスクシステム版(FDS)として発売されました。アーケードの「対人戦(Player vs Player)版」を土台に移植された貴重な1本です。家庭でも本格的なポイント制の格闘ルールを体験できる作品として位置づけられています。

    ゲームデザインの特徴と意義
    ポイント制による競技的格闘:体力ゲージではなく、「技が決まれば即ポイント」という明快な判定。当て方と間合いの管理がそのまま勝敗に直結する仕組みです。
    2本レバーによる多彩な操作体系:アーケードでは2本レバーを組み合わせることで、十数種類の打撃・蹴り・防御技を自在に繰り出せました。コマンド入力の基礎とも言える「方向入力による技の辞書化」を早期に実現しています。
    “1対1格闘”の雛形としての功績:のちの『ストリートファイターII』や『餓狼伝説』に通じる間合い・差し返し・反撃といった格闘文法を提示。「読み合い×精度」で勝負が決まる構造を初めて明確に打ち出しました。

    『ジョイメカファイト』(1993, 任天堂)――“分離スプライト”で到達したファミコン末期の純対戦格闘

    【ジョイメカファイト】徹底解説――ファミコン末期に生まれた“分離関節ロボ格闘”の到達点と革新性

    ファミコン末期に登場した『ジョイメカファイト』は、1993年5月21日発売の任天堂製ロボット格闘対戦アクションです。任天堂公式サイトでも“個性豊かなロボットたちが多彩な技を繰り出す本格格闘アクション”として紹介されており、ファミコンの限界を創意で超えた作品として高く評価されています。

    項目内容
    発売日1993年5月21日
    メーカー任天堂
    ジャンルロボット格闘対戦アクション(1対1)
    特徴分離スプライト方式/コマンド必殺技/体力+ハート制
    対応ハードファミコン/Wii・3DS・Wii U(VC)/Nintendo Switch Online

    技術的革新 ― “分離スプライト方式”という発想

    • 体をパーツに分けて動かす構造:頭・胴体・腕・脚を独立スプライトとして制御することで、大型キャラの滑らかなモーション多彩な技表現を両立。ファミコンの同時表示制限を逆手に取った発明的手法です。
    • ハードの限界を超えるアニメーション:分離スプライトにより、キャラクターサイズを保ったまま高速な動作を表現可能に。重ね合わせによる多関節アニメーションという発想は、後のドット絵格闘ゲームにも通じます。

    対戦格闘としての完成度

    • 体力ゲージ+ハート制(ダウン制):体力を削り切るとダウンしハートを1つ失う形式。3回ダウンで敗北となる明確な勝敗ルールを採用。スタン(気絶)や相討ちも存在し、テンポと読み合いの駆け引きが両立しています。
    • コマンド入力による必殺技:各ロボットに固有のコマンド技を実装。軌道や威力の違いによる個性が強く、差し合いと読み合いを重視した対戦が可能でした。

    『Teenage Mutant Ninja Turtles: Tournament Fighters(NES版)』(1994, Konami)――NES末期に放たれた“数少ない本格1対1格闘”、日本未発売

    1994年に北米・欧州で発売された『Teenage Mutant Ninja Turtles: Tournament Fighters(NES版)』は、KonamiがNES向けにリリースした最後のタイトルとして知られています。北米版は1994年2月発売、PAL圏も同年中にリリース。すでにスーパーファミコン(SNES)やメガドライブが主力だった時期にあえてNES向けに投入された、時代の終わりを告げる“本格1対1対戦格闘”でした。日本ではNES版は未発売で、国内プレイヤーにとっては幻の作品となっています。

    項目内容
    発売年1994年(北米2月/欧州同年)
    発売地域北米/PAL圏(日本未発売)
    メーカーKonami
    ジャンル1対1対戦格闘(3ラウンド制/コマンド必殺技)
    登場キャラLeonardo, Raphael, Michelangelo, Donatello, Casey Jones, Hothead, Shredder
    特徴赤球パワーアップ・巨大キャラHothead・多彩なモード構成
    再収録The Cowabunga Collection(2022年)

    ゲーム内容と特徴

    • モード構成の充実
      1人用のStory(物語)モードでは、4人のタートルズ(レオナルド/ラファエロ/ミケランジェロ/ドナテロ)から1人を選び、兄弟同士の戦いを経てCasey Jones → Hothead → Shredderとの連戦に挑みます。そのほか、対CPU戦/対人戦(Versus)/4人トーナメントモード/オプション設定(難易度・速度・コンティニュー数)を完備。NES後期タイトルとは思えないほど豊富なモード構成が特徴です。
    • 基本ルールとバトルシステム
      試合は3ラウンド制・2本先取。各キャラクターには通常攻撃に加え、コマンド入力による必殺技が用意されています。試合中、画面上を飛ぶSplinterのモニターが“赤いパワーアップ球”を落とすギミックがあり、拾ったプレイヤーだけが一度限りの超必殺技(強化攻撃)を発動可能。この一発逆転のチャンス要素が試合に緊張感を与えています。
    • 技術的制約と小ネタ
      NES版では同キャラ対戦(クローン戦)が基本的に可能ですが、巨大キャラHothead同士の対戦は通常不可(裏技で解禁可能)。Hotheadは画面を大きく占有するため、スプライト点滅や処理落ちが発生しやすく、当時のNESの描画限界を示す事例としてもしばしば取り上げられます。

    リマスター・再収録情報

    2022年発売の『Teenage Mutant Ninja Turtles: The Cowabunga Collection』には、本作NES版も収録。オリジナル版の雰囲気を残しつつ、以下の品質改善が施されています。

    • スプライト点滅・スローダウンの軽減
    • Hothead同士の対戦を解禁(“Clash of the Hotheads”モード)
    • セーブ機能/リワインド機能の追加

    これにより、当時のNESでは体験しづらかった快適なプレイ環境で、本作の構造や対戦性を再評価できるようになりました。

    “対戦パート”混成型(アクション+バトルのハイブリッド)の飛龍の拳

    ファミコン中期の格闘要素で最も厚みがあったのは、横スクロールやRPG的要素を主軸に据えつつ、節目ごとに1対1の「試合パート」を挿入する混成型です。とりわけカルチャーブレーンの『飛龍の拳』シリーズは、道中=アクション/探索と、試合=読み合い型1vs1を往復させる構造を確立しました。

    シリーズ初期作(FC『飛龍の拳 奥義の書』)は、日本のFCで1987年に発売。日本版を英語化したNES版はFlying Dragon: The Secret Scrollの名で海外展開され、アクション道中→ボス戦(試合)を繰り返すフォーマットが明確に提示されています。これは当時のアーケード格闘が“試合のみ”で完結していたのとは対照的で、家庭用での長時間プレイに適した「緩急」を作る設計でした。

    混成型の核になったのが、上・中・下の狙いと防御を読み合う「心眼(しんがん)システム」です。試合パートでは相手の体や自分の体に○印(弱点/狙われ箇所)が表示され、そこを正確に突く・守ることで優位を築きます。単に体力を“削り合う”のではなく、「相手の意図を読む→最小の手で差し込む」という競技的な判断を要求するのが特徴で、のちの直系2D対戦格闘が重視する“差し返し/確定反撃”の思考に自然に触れさせました。

    シリーズはFCで継続し、『飛龍の拳II ドラゴンの翼』(1988)、『飛龍の拳III 五人の龍戦士』(1990)へと発展。IIでは変身や法力などの要素が加わり、IIIでは物語のスケールと演出が拡大しつつも、試合パートでの上中下の攻防とゲージ運用(KO/闘気)が引き続き中核となりました。
    家庭用ユーザーが“試合だけ”ではない格闘の文法に触れ、RPG的な積み上げと1対1の緊張を同時に楽しむという遊び方を広めた功績は大きいと言えます。

    要点
    ●『飛龍の拳』が混成型の代表作
    ●上中下の“心眼システム”による読み合いが特徴
    ●純対戦格闘との線引きが記事構成上のポイント

    ファミコン期の「取っ組み合い系」―相撲・プロレス・ボクシングが築いた“体技表現”の基盤

    ファミコン時代の格闘スポーツは、いまの対戦格闘のようにコマンド必殺技をガンガン出すタイプではありませんでした。それでも、押す・掴む・投げる・間合いを測るといった“身体のせめぎ合い”を画面内でどう表現するか――この一点に徹底して工夫が注がれています。

    なかでも任天堂の『プロレス』(1986)は、リング中央とロープ際で技が変わる、組み合い時の先出し・後出しの読み合い、飛び技の通る間合いなど、今日の「差し合い・刺し返し」に通じる設計が明確です。ファミコン ディスクシステムの容量を活かし、各レスラーに得意技を持たせたことで、キャラクターの“間合いの違い”が手触りとして成立。見かけ以上に対戦の厚みを支える設計でした。

    一方、和の代表格『つっぱり大相撲』(テクモ、1987)は、突っ張り・張り手・寄り切り・上手投げといった実際の取り口を、入力のテンポとスタミナ配分に置き換えることで再構築。中央での押し合いから土俵際の粘りまで、相撲の“押し引き”をシンプルな操作に落とし込みました。押し込み続ければ良いわけではなく、相手の体勢が崩れた瞬間に決定技へつなぐ判断が重要。派手な演出に頼らず“体の圧”を見せるデザインは、当時として秀逸でした。のちのバーチャルコンソールへの再配信でも遊ばれ続け、競技性の核が時代を超えて通用することを証明しています。

    そして、人気IPを活かしたキャラ格闘の草創例として外せないのが『キン肉マン マッスルタッグマッチ』(バンダイ、1985)。2対2のタッグ制・リング外のアイテム(友情パワー)・個別必殺など、IPの“らしさ”を操作やルールにまで浸透させました。キャラクター性がゲームデザインを駆動するモデルは、その後の版権格闘の定番となります。発売年代で見れば、プロレスよりも一歩早く“対人でワイワイ”を提示していたのもポイント。

    こうした三者は方向性こそ違えど、「組んでからの択」「ロープ/土俵といったフィールド特性」「技のリスクと通すための布石」の三本柱を早くから共有していました。入力が簡素でも、読み合いの情報量は多い――ファミコンの制約を逆手に取った設計思想は、のちに“対戦格闘”が成立するときの土壌になります。相撲の圧、プロレスの間合い、キャラ格闘の見立て(テーマ性)――この三つが当時の「取っ組み合い系」を分厚くし、いま見ても“身体ごと動かす感じ”を手元に呼び戻してくれるのです。

    タイトル発売日メーカー/機種特徴・要点
    プロレス1986年10月21日任天堂/FDS組み合い→技択、ロープ際の攻防、キャラごとの得意技で“間合い”が変化
    つっぱり大相撲1987年9月18日テクモ/FC突っ張り・張り手・寄り切りなど実相撲の押し引きをテンポと体力で再構成
    キン肉マン マッスルタッグマッチ1985年11月8日バンダイ(開発:トーセ)/FCタッグ制・IP必殺・アイテムで“らしさ”を確立。早期の対戦指向タイトル

    乱戦・多人数型(近接戦の対戦アクション)――“場の読み合い”が育てたくにお式バトルの系譜(FC)

    1対1のストイックな差し合いに対して、複数人が同時に殴り合う「乱戦・多人数型」は、ファミコン後期の“観戦も楽しい”対戦アクションとして一気に花開きました。核にあるのは、個の強さよりも場(ステージ・人数配置・起き上がりの位置)をどう制圧するかという集団戦術の面白さです。代表格はテクノスジャパンの『熱血格闘伝説』(1992)。1~4人の同時対戦に対応し(マルチタップ必須環境で拡張)、乱入・巻き込み・アイテム・段差といったファクターで“個の読み合い”を“場の読み合い”へと押し広げました。

    くにおシリーズらしい大味な痛快さの裏で、投げの向きや受け身位置、コンビ必殺技の始動タイミングなど、細かな優劣が勝敗を左右します。コンビ必殺は2on2時の合わせ技で、味方の技と連携して大ダメージを叩き出すシリーズ特有の“見せ場”。これが味方との距離管理を促し、ステージ上の“安全地帯”と“危険地帯”をプレイヤーに学習させる仕掛けになっていました。

    この系統は、同じテクノスの『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』(1990)で既に“乱戦の愉悦”が提示されていました。競技名義ながら中身は乱戦上等の対戦アクションで、投げ・打撃・武器・崖落としが入り乱れるサバイバル。FC実機でも1~4人対戦をうたい、勝ち残り形式の種目では“リング外(画面外)に落とす”“漁夫の利で最後を取る”といった多人数ならではの戦術が自然に身につきます。最新版の公式紹介やマニュアル資料でも、当初から“四者入り乱れる構図”がコアとして語られており、近年の配信・復刻で世代を超えて遊ばれ続ける土壌が整っています。

    まとめ

    ファミコン(+ディスク)期の「格闘ゲーム」は、いま私たちが思い浮かべる“コマンド必殺技+体力ゲージ+1対1”の直系タイトルが極端に少なく、むしろ広義の格闘(混成型/格闘スポーツ/多人数乱戦)が土台を形成していました。この記事で押さえた4系譜を横並びで眺めると、直系=歴史的マイルストーンの点広義=遊びの厚みをつくった面という関係が見えてきます。以下に全体像を整理し、次に深掘りすべ箇所をまとめます。

    系譜代表作(例)時期の目安勝敗の核設計キーワード
    正統派1対1型(直系)アーバンチャンピオン/イー・アル・カンフー/空手道/ジョイメカファイト/TMNT TF(NES)1984~1994押し出し/ポイント/体力ゲージ間合い・差し込み・確定反撃、分離スプライト等の工夫
    “対戦パート”混成型飛龍の拳(奥義の書→II→III…)1987~試合パートの勝利(上中下の読み合い)心眼システム、RPG/横スク+試合の往復
    格闘スポーツプロレス/つっぱり大相撲/キン肉マン マッスルタッグマッチ1985~フォール/ロープ際/寄り切り等の競技判定取っ組み合い、フィールド特性、技表(得意技)
    乱戦・多人数型熱血格闘伝説(ほか くにお系)1990~多人数対戦の勝ち残り・合体技“場”の読み合い、位置取り、連携・巻き込み

    直系における歴史の柱は明快です。

    • 1984『アーバンチャンピオン』で“押し出し=位置取り”という原初の1対1が可視化。
    • 1984~85『空手道(Karate Champ)』でポイント制=競技の文法が定着。
    • 1985『イー・アル・カンフー』で異流派との連戦=キャラ対の萌芽が共有化。
    • 1993『ジョイメカファイト』で分離スプライト×コマンド必殺=FC末期の到達点
    • 1994『TMNT TF(NES)』で海外NES末期の本格1対1という稀少な例が残る。

    一方、広義の格闘は家庭用ならではの“遊びの厚み”を担いました。混成型は“RPG進行×試合パート”の往復で緩急を作り、格闘スポーツは“押し/掴み/投げ/ロープ・土俵”といった身体のせめぎ合いを単純入力に落とし込み、多人数乱戦は“個の読み合い”を“場の読み合い”へ拡張しました。これらはのちの2D対戦格闘に通じる間合い・択・状況判断の感覚を、当時の家庭環境に合わせて“学びやすい形”で普及させた系譜です。

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