【THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~】GBA版KOF外伝の魅力と前作からの進化を徹底解説
2026.03.07更新
広告/Amazon のアソシエイトとして、遊びゴコロは適格販売により収入を得ています。
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は、2003年1月1日にマーベラスエンターテイメントから発売された、ゲームボーイアドバンス用の対戦格闘ゲームです。開発はサン・テックが担当しており、SNK本編とは少し立ち位置の異なる携帯機向けの外伝作品として展開されました。ジャンルとしては王道の2D対戦格闘ゲームですが、単なる移植作ではなく、KOFらしいチームバトルやストライカー要素をベースにしながら、ゲームボーイアドバンス向けに再構成された独自色の強い1本です。
本作の大きな特徴は、ベースに『KOF2000』系統のシステムを持ちながらも、携帯機で遊びやすいように操作や構成が調整されている点です。A・B・L・Rの4ボタンを使う標準的な操作だけでなく、簡易入力を活用しやすい2ボタン操作も用意されており、アーケード版の感覚を知っている人だけでなく、GBAでKOFに触れる人にも入りやすい作りになっています。さらに、前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』で目立った粗さを見直し、グラフィック、演出、音まわり、ゲーム全体のまとまりがしっかり改善されていることも、本作が高く評価される理由のひとつです。
ストーリー面でも、本作はただの携帯版KOFにとどまりません。時系列としてはオロチ編とネスツ編の間に置かれ、三種の神器を補佐する存在として描かれる十種神宝を中心に、外伝らしい独自の物語が展開されます。草薙京や八神庵といったおなじみのキャラクターに加え、葉花萌、大神零児、黒咲壬羽、華守純、天羽忍といったオリジナルキャラクターが物語の核を担っており、本編シリーズとは違う角度からKOF世界の設定を掘り下げているのが魅力です。既存キャラの人気だけに頼らず、新規キャラと既存設定を組み合わせて一本の作品として成立させている点に、本作ならではの見どころがあります。
また、『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は、当時の携帯機向け格闘ゲームの中でも完成度が高い作品として語られやすいタイトルです。ゲームボーイアドバンスというハードの制約の中で、ネオジオ版に近い頭身のキャラクターやKOFらしいテンポ感を再現しようとしており、見た目や手触りの面でも「携帯機だから仕方ない」と片付けにくい水準まで仕上げられています。もちろん細かな不具合や調整の甘さは残っていますが、それを踏まえても前作からの進歩がはっきり感じられる作品であり、GBAのKOF作品を語るうえで外せない1本といえます。
| 項目 | 内容 |
| タイトル | THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~ |
| ジャンル | 対戦格闘 |
| 対応機種 | ゲームボーイアドバンス |
| メディア | 64MbitROMカートリッジ |
| 発売元 | マーベラスエンターテイメント |
| 開発元 | サン・テック |
| 発売日 | 2003年1月1日 |
| 定価 | 5,800円 |
| 位置づけ | KOFシリーズの外伝的なGBA向け作品 |
本作は、単に「GBAで出たKOF」というだけではなく、前作の課題を受けて作り直された続編であり、シリーズの外伝として独自の存在感を持つタイトルです。携帯機らしい遊びやすさと、KOFらしいチームバトルの面白さ、その両方をなるべく崩さずまとめようとした作品として見ると、『EX2』がいまでも語られる理由が見えてきます。
前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』からどう進化したのか
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』を語るうえで欠かせないのが、前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』との違いです。シリーズのGBA参戦第1作だった前作は、携帯機でネオジオ系KOFを遊べること自体には注目が集まった一方で、動きのぎこちなさや調整不足、不自然な挙動、演出面の粗さなどが目立ち、作品全体の評価はかなり厳しいものになりました。とくにKOFは、キャラクター同士の駆け引きや操作感の気持ちよさが重要なシリーズなので、その土台が不安定だと不満が強く出やすいタイトルでもあります。
そうした前作の空気を受けて登場したのが、本作『EX2』です。本作は単なる追加版や小幅な改良版ではなく、前作の不評点を意識して立て直しを図った続編として見ると分かりやすい作品です。ベースとなるゲーム性そのものはKOFらしいチーム対戦の流れを引き継いでいますが、システムの組み直し、演出の改善、ストーリーの強化、新規キャラクターの追加といった複数の面で見直しが行われており、「前作から打って変わってしっかり遊べるようになった」と受け取られやすい仕上がりになっています。GBA向けの格闘ゲームとして見た場合でも、単なる続編というより、シリーズの汚名返上を目指した1本といった印象が強いです。
まず分かりやすい進化点として挙げやすいのが、グラフィックと演出まわりです。前作では動きがぎこちなく見えたり、音まわりの評価が低かったりと、遊ぶ前の期待に対して実際の印象が追いついていない部分がありました。それに対して本作では、キャラクターの動きが前作より自然に見えやすくなり、中間デモでもキャラクターがしっかり動くようになるなど、全体の見せ方が改善されています。エンディングイラストも用意され、ボイスも違和感を減らす方向に調整されているため、プレイしていて「携帯機向けにかなり頑張って作り直している」と感じやすくなっています。
ゲーム内容の面でも、本作は前作との差がはっきりしています。前作で目立っていた「雑に詰め込まれた感じ」よりも、本作ではシステムの整理が進み、遊び方の軸が見えやすくなりました。とくにストライカーの扱いが変わったことで、単にキャラクターを選ぶだけでなく、どの順番で出すかまで考える意味が強まり、チーム編成の面白さが増しています。さらに、テクニカルジャッジによる隠し要素の解放、マスターモード、特殊エンディングなど、一人で遊ぶ際のやりこみ要素も増えています。前作は「まず格闘ゲームとして安定して遊べるか」が問題になりやすかったのに対し、本作では「どのキャラを育てて何を解放するか」といった遊びの広がりまで用意されているのが大きな違いです。
ストーリー面の進化も見逃せません。前作でもオリジナルキャラクターは登場していましたが、本作では十種神宝の設定が物語の中心に据えられ、葉花萌をはじめとする新規キャラクターたちがしっかり存在感を持つようになりました。京や庵、ちづるといった既存の重要人物と、零児、壬羽、純、忍といったオリジナル側の人物がつながることで、外伝作品でありながらKOFらしい血筋や宿命の話に踏み込んでいます。このあたりは、ただ新キャラを足しただけではなく、外伝ならではの物語を組み立てようとした意図が見えやすい部分です。
| 比較項目 | 前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』 | 本作『EX2 ~HOWLING BLOOD~』 |
| 全体の印象 | 粗さが目立ちやすい | 改善点が多くまとまりが増した |
| グラフィック・演出 | 不自然さが指摘されやすい | 動きや演出が前作より自然になった |
| 音まわり | 評価が低め | BGMやボイスの違和感が軽減 |
| システム面 | 調整不足の印象が強い | 遊び方の軸が見えやすくなった |
| やりこみ要素 | 限定的 | 隠し要素や特殊エンディングが充実 |
| ストーリー | オリジナル要素はあるが存在感は控えめ | 十種神宝が物語の中心として機能している |
もちろん、本作でも不具合や調整の甘さが完全になくなったわけではありません。それでも、前作で厳しく見られた部分を踏まえたうえで、格闘ゲームとして遊べる形に持ち直し、さらにストーリーややりこみ要素まで厚くした点は大きな前進です。だからこそ『EX2』は、GBA版KOFの中でも「前作から大きく進化した作品」「携帯機向けKOFとしてしっかり評価できる作品」として語られやすいのです。
KOF2000ベースのゲームシステムと本作独自の変更点
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』のゲームシステムは、ベースだけを見ると『KOF2000』に近い作りです。ステージやキャラクターグラフィックにも『2000』を思わせる部分が多く、シリーズ経験者ほど「土台はあの時期のKOFだ」と感じやすい内容になっています。ただし、本作は単純に『2000』をそのまま小さく移した作品ではありません。ゲームボーイアドバンスという携帯機向けに、遊びやすさと容量の両方を意識しながら、システム全体をかなり組み直しています。そのため、見た目の印象以上に中身は独自色が強く、実際に触るとアーケード版そのままの感覚とは少し違う手触りがあります。
分かりやすい違いのひとつが、前作や『KOF2000』で存在感のあった要素の整理です。本作ではカウンターモードとアーマーモードが削除されており、システム面はかなりすっきりしています。これによって、複雑な切り替えを前提にした派手さは抑えられた一方で、通常の立ち回りやチーム編成の重要性が目立ちやすくなりました。携帯機で短時間でも遊びやすく、なおかつ対戦格闘としての基本を崩しすぎない作りを目指した結果として、この簡略化は本作に合っている部分もあります。やれることを減らしたというより、遊びの軸を見えやすくした調整と考えると分かりやすいです。
本作を語るうえで特に重要なのが、ストライカーシステムの変更です。『KOF2000』では4人チームのうち1人をストライカー専用として扱う構成でしたが、本作では3人チーム制に戻されたうえで、次に戦う控えキャラクターがストライカーを担当する方式へ変わっています。つまり、先鋒の戦闘中は中堅がストライカーになり、中堅の戦闘中は大将がストライカーになります。そして大将まで回ると控えがいないため、ストライカーは使えなくなります。この仕様変更によって、誰をチームに入れるかだけでなく、どの順番で並べるかの意味が前作以上に大きくなりました。
この変更は、オーダー編成の読み合いをかなり深くしています。たとえば、ストライカー支援があると強いキャラクターを先鋒に置くのか、それとも単独性能が高くストライカーに頼らなくても戦えるキャラクターを大将に置くのかで、チーム全体の性格が変わります。先鋒と中堅はストライカー込みで攻めを組み立てやすい反面、大将は一人で勝ち切る力が求められます。このため、本作では単純に強キャラを並べるだけではなく、チームの並び順そのものが戦術の一部になっています。KOFらしいオーダーの駆け引きが、携帯機向けに別の形で強調された作りといえます。
さらに、キャラクター構成そのものも本作独自の特徴が出ています。前作ではストライカー専用キャラクターが存在していましたが、本作では3人チーム制への変更により、その枠自体が廃止されました。その代わり、前作のストライカー専用だったユリ・サカザキがプレイアブルに昇格し、新たに大神零児、黒咲壬羽、華守純、天羽忍などのオリジナルキャラクターが大きな存在感を持っています。既存キャラクターの入れ替えもあり、前作のプレイアブルだった紅丸、ロバート、キング、ギースは外れる形になりましたが、そのぶん本作は『EX2』ならではの顔ぶれが際立っています。単なる人数の増減ではなく、ストーリーとシステムの両方に合わせた再編成になっているのが特徴です。
もちろん、システムの整理がそのまま完璧な調整につながっているわけではありません。本作でも一部キャラクターの性能差や不自然な挙動は残っています。ただ、それでも前作と比べると、プレイヤーが考えるべきポイントはかなり明確です。複雑すぎる要素を減らしつつ、チーム編成、ストライカー運用、キャラクター相性といったKOFらしい要素に重心を置いたことで、携帯機の制約の中でも遊びどころが分かりやすくなりました。この「削るところは削り、残すべき面白さは残す」という設計が、本作のゲームシステムを支えている大きな特徴です。
| 項目 | 内容 | 本作での意味 |
| ベース作品 | 『KOF2000』系統 | 見た目や基本の流れにその名残がある |
| チーム人数 | 3人編成 | 携帯機向けに整理され、構成が分かりやすい |
| ストライカー | 次の控えキャラが担当 | 出撃順の重要性が大きく増した |
| 3人目の扱い | ストライカーなし | 大将には単独で戦う力が求められる |
| 削除要素 | カウンターモード、アーマーモード | システムがすっきりして遊びの軸が見えやすい |
| キャラ編成 | ストライカー専用キャラ廃止 | プレイアブル中心の構成に再編された |
| 本作独自の魅力 | オーダー編成の駆け引き | チームの並び順まで戦術として考えられる |
こうして見ると、本作のシステムは「『KOF2000』風の見た目を持ちながら、携帯機向けに再設計されたKOF」と表現しやすいです。アーケードそのままの豪快さとは少し違うものの、チーム戦の面白さやストライカーを絡めた読み合いはしっかり残されています。そして、その中心にあるのが、3人制に組み直されたストライカーシステムとオーダー編成の駆け引きです。この部分を理解すると、『EX2』が単なる携帯版ではなく、GBA独自のKOFとして評価される理由が見えてきます。
操作モードとゲームモードの種類
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は、ゲームシステムそのものだけでなく、携帯機でどう遊びやすくするかという部分にもかなり気を配って作られています。アーケードのKOFは、4ボタンを前提にした入力や独特のテンポ感が魅力ですが、それをゲームボーイアドバンスにそのまま持ち込むだけでは、どうしても操作の窮屈さが出やすくなります。そこで本作では、プレイヤーの慣れや好みに合わせて選べる複数の操作モードが用意されており、シリーズ経験者だけでなく、携帯機で初めてKOFに触れる人にも入りやすい設計になっています。
まず基本となるのが、A・B・L・Rの4つのボタンを使う4ボタンモードです。これはKOFらしい感覚をもっとも残しやすい操作方法で、弱攻撃と強攻撃の使い分けや、通常技からの流れをしっかり作りたい人に向いています。ゲームボーイアドバンスのボタン数に合わせた構成ではあるものの、シリーズ経験者からすると最も違和感が少なく、オーソドックスに遊べるのがこのモードです。アーケードやネオジオ系KOFの感覚に近い形で触りたいなら、まずはこの操作から入ると作品のベースがつかみやすくなります。
一方で、本作には簡易入力を重視した2種類のモードも用意されています。ひとつは2ボタンモードAで、AとBを中心に使いながら、Rボタンと十字キーの組み合わせで技を出せる初心者向けの方式です。格闘ゲームに慣れていない人や、携帯機で複雑なコマンド入力を安定させにくい人でも、必殺技を出しやすくなるのが利点です。もうひとつの2ボタンモードBは、ネオジオポケット系の格闘ゲームを思わせる仕組みで、ボタンを押す長さによって強弱を使い分けるタイプになっています。携帯機らしいシンプルさを重視しつつ、強弱の概念は残したい人に向くモードです。
こうした操作モードの複数用意は、本作の評価を支える見逃せないポイントです。対戦格闘ゲームは、システムが良くても入力の壁が高いと遊びにくく感じやすいジャンルですが、『EX2』はそこを意識して間口を広げています。しかも、ただ簡単にするだけではなく、4ボタンモードも残しているため、シリーズ経験者が物足りなさを感じにくい形になっています。つまり本作は、KOFらしい操作感を残す入口と、GBA向けに触りやすくする入口の両方を用意しているわけです。このバランス感覚が、携帯機向けの外伝作品としてはかなり丁寧です。
ゲームモードの面でも、本作は思った以上に遊び方の幅があります。基本となるのはストーリーモードで、ここではチームごとの物語や本作独自の設定を楽しみながらプレイできます。さらに、純粋に対戦を楽しみたい人向けのチームVS、1対1で戦えるシングルVS、技の確認や操作練習に便利なプラクティス、記録確認に使えるレコードも収録されています。携帯機向けの格闘ゲームというと、最低限のモード構成を想像しやすいですが、本作はひと通り遊び方を揃えており、対戦だけでなく一人用でも触れる価値がある作りです。
さらに、条件を満たすことでタイムアタックやエンドレスといった追加モードも使えるようになります。このあたりは、ただストーリーを一度クリアして終わるのではなく、使い込んだキャラクターを別の形で試したり、自分なりのやり込み目標を作ったりしやすい部分です。後の見出しで触れるテクニカルジャッジや隠し要素ともつながっていますが、本作は「対戦相手がいないと楽しみが薄い携帯格闘ゲーム」にはなっていません。むしろ、一人で遊ぶ時間をしっかり支える設計がされているからこそ、GBA作品としての評価が上がっています。
このように『EX2』は、操作方法でも遊び方でも、プレイヤーに選ばせる余地がきちんとあります。4ボタンでKOFらしく遊ぶか、2ボタンで入りやすさを優先するか。ストーリーを進めるか、対戦や練習を繰り返すか。そうした選択肢があることで、作品全体に「ただの移植ではない、GBA向けに考えられたKOF」という個性が生まれています。システムの派手さだけでなく、日常的に手に取りやすい遊びやすさまで含めて設計されている点が、本作の完成度を支えている大きな理由です。
| 分類 | 名称 | 特徴 |
| 操作モード | 4ボタンモード | A・B・L・Rを使用する基本操作。KOFらしい感覚を残しやすい |
| 操作モード | 2ボタンモードA | A・B中心の初心者向け操作。Rボタンと十字キーで簡易入力が可能 |
| 操作モード | 2ボタンモードB | 押す長さで強弱を使い分ける方式。携帯機向けの簡略化タイプ |
| ゲームモード | ストーリー | 本作独自の物語やチームごとの展開を楽しめる |
| ゲームモード | チームVS | チーム単位で対戦できる基本モード |
| ゲームモード | シングルVS | 1対1で戦える対戦モード |
| ゲームモード | プラクティス | 技確認や操作練習に向く |
| ゲームモード | レコード | 各種記録を確認できる |
| 解放モード | タイムアタック/エンドレス | 条件達成で追加されるやり込み向けモード |
操作の入口が複数あり、ゲームモードもきちんと揃っているからこそ、『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は「携帯機向けだから最低限」という印象にとどまりません。KOFシリーズの外伝でありながら、遊び方の選択肢をしっかり用意し、一人でも対戦でも触れやすい形にまとめている点は、本作の見逃せない長所です。システムだけではなく、どう遊ばせるかまで含めて調整されていることが、本作の完成度につながっています。
テクニカルジャッジと隠し要素のやりこみ要素
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は、対戦格闘ゲームとしての駆け引きだけでなく、一人でじっくり遊ぶためのやりこみ要素も用意されているのが特徴です。アーケード系の格闘ゲームは、どうしても「対戦相手がいてこそ本領発揮」と思われやすいジャンルですが、本作は携帯機向けであることを踏まえ、ひとりで遊ぶ時間にも意味を持たせる工夫が入っています。その中心にあるのが、ストーリープレイ中に蓄積していく「テクニカルジャッジ」です。この仕組みがあることで、本作は単にクリアして終わるだけではない、少しずつ遊び込みたくなる構成になっています。
テクニカルジャッジは、簡単にいえば各キャラクターの使い込みを示すような数値です。ストーリーモードでキャラクターを使っていくとこの値が蓄積され、最高値まで育てたキャラクターが増えるほど、ゲーム内の隠し要素が順番に解放されていきます。つまり本作では、ただ好きなキャラで何度も遊ぶだけでなく、別のキャラにも触れてみる意味がきちんとあります。プレイヤーにとっては「次は誰を使ってみようか」という目的が自然に生まれやすく、携帯機向け作品としてはかなり相性の良い仕組みです。短時間のプレイを積み重ねても成果が見えやすく、コツコツ進める楽しさがあります。
このテクニカルジャッジによって解放される要素の中でも、特に印象的なのがマスターモードです。これは『KOF2000』のカウンターモードに近い仕様を持つ特別なモードで、通常時とは違う爽快感を味わえるのが魅力です。超必殺技が出しやすくなり、空キャンセルも使えるため、通常のモードでは難しい連続技や派手な攻め方が狙いやすくなります。格闘ゲームとして見るとバランス重視の通常戦とは少し違う遊び方になりますが、そのぶん「やりこんだ先にあるご褒美」としての満足感があります。本作のシステムをある程度理解したあとに触れると、同じキャラクターでも別の面白さが見えてきます。
隠し要素はマスターモードだけではありません。本作には、特定のキャラクターの組み合わせでチームエディットを行った際に見られる特殊エンディングも用意されています。しかもこれらは、対応するキャラクターをきちんと使い込んで解放条件を満たす必要があるため、ただ条件だけ知っていてもすぐ見られるわけではありません。代表的な組み合わせとしては、京・庵・零児、萌・純・壬羽、リョウ・零児・拳崇の3パターンがあり、まじめな関係性が想像しやすいものから、かなり変化球の組み合わせまで混ざっています。こうした隠しエンディングがあることで、ストーリー面でも「もっと見てみたい」という動機が生まれます。
とくに本作では、オリジナルキャラクターたちが物語の中心に関わっているため、特殊エンディングの存在が単なるおまけにとどまりません。たとえば葉花萌、華守純、黒咲壬羽の組み合わせは、十種神宝まわりの空気を補強する見せ方としても機能しています。一方で、リョウ・零児・拳崇のような意外な並びは、本作の少し変わった遊び心や、外伝作品らしい自由さを感じさせます。こうした隠し要素があることで、「本編を追うだけではない寄り道の面白さ」が出ているのです。携帯機向け作品でありながら、プレイヤーが掘り下げて見つける楽しみをきちんと残している点は、本作の大きな魅力です。
また、これらのやりこみ要素は、本作のキャラクター理解にもつながっています。格闘ゲームでは、どうしても強いキャラや好きなキャラばかり使いがちですが、テクニカルジャッジの存在によって別のキャラにも触れる機会が生まれるため、結果としてゲーム全体を広く味わいやすくなります。新キャラクターの挙動やストライカーとの相性、通常時とマスターモード時の違いなど、使い込んで初めて見えてくる部分も多いです。本作が単なる「GBAで遊べるKOF」にとどまらず、ひとりで長く触り続けられる作品として評価されやすいのは、この積み重ね型の遊びがしっかり設計されているからです。
| 要素 | 内容 | 見どころ |
| テクニカルジャッジ | ストーリーモードでキャラクターを使うことで蓄積する数値 | 使い込んだキャラが増えるほど隠し要素が解放される |
| マスターモード | 解放型の特別モード | 超必殺技が出しやすくなり、通常では難しい連続技も狙いやすい |
| 特殊エンディング | 特定キャラの組み合わせで発生する隠しエンディング | チーム編成の意外性やストーリーの広がりを楽しめる |
| 代表的な組み合わせ | 京・庵・零児/萌・純・壬羽/リョウ・零児・拳崇 | まじめな補完からネタ寄りまで幅広い |
| やりこみの意味 | 複数キャラクターを使う動機になる | 一人プレイでも長く遊び続けやすい |
このように『EX2』のやりこみ要素は、単なる隠しコマンドやおまけ画像の収集にとどまらず、ゲームを繰り返し遊ぶ理由そのものになっています。テクニカルジャッジで使い込みの成果を積み上げ、マスターモードや特殊エンディングを少しずつ開けていく流れは、携帯機向け格闘ゲームとしてかなり相性の良い設計です。対戦だけで終わらない、一人でも続けたくなるKOF。その手触りを支えているのが、このテクニカルジャッジと隠し要素の存在です。
ストーリーの概要と十種神宝の設定
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』の物語は、単なる大会参加型の格闘ゲームとして終わらず、KOF世界の中でもとくに神話的な側面に踏み込んだ外伝として描かれています。本作の時系列は、一般的にオロチ編とネスツ編の間に置かれており、草薙京や八神庵、神楽ちづるといった“三種の神器”に関わる人物たちの系譜を補うような立ち位置を持っています。KOF本編では、大会の裏で何者かの思惑が動き、既存キャラクターたちの因縁が交差する流れが定番ですが、本作ではそこに十種神宝という新たな要素を加えることで、外伝ならではの物語として差別化されています。
物語の発端となるのは、十種神宝のひとりである天羽忍の失踪と、ほぼ同じ時期に宣言された新たなKOF開催です。この異変からオロチの気配を感じ取った神楽ちづるは、封印を守る立場にある自分自身が直接動けないため、大神零児を通じて草薙京と葉花萌に接触し、KOFへの出場と忍の救出を託します。ここで本作のストーリーは、ただ大会を勝ち抜くための話ではなく、十種神宝の一員をめぐる救出劇、そしてオロチに関わる不穏な力の再浮上を追う物語へと変わっていきます。大会形式を取りつつ、その裏で進む宿命や血筋の話が強く出ているのが本作らしいところです。
この物語の軸になる十種神宝とは、かつて三種の神器を補佐するために存在した一族、あるいはその守護者たちを指す設定です。草薙・八神・神楽の御三家ほど表立った存在ではないものの、長く裏から支えてきた家系として位置づけられており、本作では彼らの存在が物語の中心へ押し出されています。KOFシリーズはもともとオロチ伝承や神器の血筋が重要な柱になっていますが、十種神宝を導入することで、これまで表に出ていなかった周辺の系譜や、三種の神器だけでは完結しない世界の広がりが見えてきます。本作が外伝として独自の存在感を持つのは、この“補佐する者たち”に焦点を当てた点が大きいです。
本作に登場する十種神宝の守護者たちは、既存キャラクターとは異なる立場からKOF世界に関わっています。葉花萌は草薙京と近い関係を持つ武門の家系の出身で、零児は神楽ちづるの依頼を受けて動く人物、黒咲壬羽と華守純はそれぞれ別の事情から忍を追う立場にあります。つまり十種神宝は、ひとつの組織として整然と動くよりも、共通の宿命を持ちながら、それぞれの立場や感情で行動している集まりとして描かれています。このあたりが本作の面白いところで、神話的な設定を扱いながらも、人物同士の距離感や温度差がしっかり残されています。
また、十種神宝という言葉自体は、本作が初出というわけではありません。アドベンチャーゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ京』でも類似する設定が登場しており、そこでは「十種の神宝」という表記で、既存キャラクターたちがその役割を担う形になっていました。ただし、本作『EX2』では設定が再構成され、オリジナルキャラクターたちが十種神宝の一員として物語に深く組み込まれています。さらに各キャラクターに対応する神宝が割り当てられている点も、本作の特徴です。つまり本作の十種神宝は、過去作の設定を下敷きにしつつ、携帯機向け外伝作品として改めて再定義されたものと見ると理解しやすいです。
その一方で、本作の十種神宝は全員が出そろっているわけではありません。作中で存在がはっきりしているのは一部で、残りの守護者については詳細不明のまま残されています。この未完の感じもまた、本作ならではの魅力と惜しさの両方につながっています。外伝作品として新たな神話体系を広げながらも、シリーズがここで止まってしまったため、設定の全貌が語られきらなかったのです。だからこそ本作のストーリーは、完結した一本としてだけでなく、もっと続きが見たかったKOF外伝として語られやすい面もあります。
本作のストーリーが評価されやすい理由は、こうした設定の広がりだけではありません。嬉野秋彦氏が本格的に関わったことで、チームごとの物語や会話にもKOFらしい宿命感やキャラクター同士の関係性がきちんと落とし込まれています。オロチ編の空気に寄せつつも、本編とは違う方向からその世界を照らしているため、既存ファンほど「こういう外伝もありだった」と感じやすい構造です。十種神宝というキーワードを通じて、三種の神器の物語を少し横から掘り下げた作品。それが『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』のストーリー面での大きな魅力です。
| 項目 | 内容 |
| 物語の時系列 | オロチ編とネスツ編の間に位置づけられる外伝的ストーリー |
| 発端 | 天羽忍の失踪と新たなKOF開催 |
| 依頼役 | 神楽ちづるが大神零児を通じて京と葉花萌に救出を託す |
| 中心設定 | 三種の神器を補佐する十種神宝の存在 |
| 本作での特徴 | オリジナルキャラクターが十種神宝の守護者として物語の中心にいる |
| 過去作との違い | 『ザ・キング・オブ・ファイターズ京』の設定を再構成し、独自の物語として展開している |
| 魅力 | KOF本編では見えにくかった血筋や宿命の周辺設定を掘り下げている |
| 惜しい点 | 未登場の守護者が残っており、設定の全体像は未完のまま |
このように本作のストーリーは、格闘ゲームの大会形式を借りながらも、その裏で動く血筋、封印、救出、そして補佐役たちの宿命を描いた外伝として成立しています。三種の神器そのものを正面から描くのではなく、それを支える十種神宝に焦点を当てたことで、KOF世界の神話性を広げたのが『EX2』の大きな個性です。携帯機向けタイトルでありながら、設定面ではかなり野心的な作品だったことが、この見出しだけでもよく分かります。
登場キャラクター一覧と新キャラクターの魅力
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』の登場キャラクターは、KOFらしい定番メンバーを押さえつつ、本作ならではのオリジナルキャラクターを前面に出しているのが大きな特徴です。草薙京、八神庵、テリー・ボガード、リョウ・サカザキといったシリーズを代表する顔ぶれがそろっているため、見た目の時点でKOFらしさはしっかりあります。その一方で、本作では十種神宝を軸に物語が進むため、既存キャラクターだけで完結する構成にはなっていません。むしろ、新キャラクターが物語の中心に深く入り込んでいることで、外伝作品としての個性がはっきり出ています。
この作品で特に印象に残るのは、オリジナルキャラクターたちが単なる追加枠ではなく、きちんと役割を持って配置されていることです。主人公チームには、京に加えて葉花萌と大神零児が加わり、八神チームには庵、黒咲壬羽、華守純が所属しています。さらに、ボスとして天羽忍と暴走忍が控えており、十種神宝に関わる人物がそれぞれ違う立場から物語に絡みます。KOFの外伝作品では、オリジナルキャラが浮いて見えることもありますが、本作は既存のオロチ設定や神器の流れに接続しながら配置されているため、作品世界の中で比較的自然に受け止めやすいです。
主人公チーム側でまず注目したいのは、やはり葉花萌です。前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』でも登場していたキャラクターですが、本作では十種神宝の設定がストーリーの中心に入ったことで、前作以上に存在感が強まっています。京と近い距離感を持ちながら、単なる補佐役ではなく、自分自身も格闘家としての自負を持つ人物として描かれているのが特徴です。性能面でも近距離戦に寄った個性があり、本作の新規要素を象徴する存在として扱いやすいキャラクターになっています。
大神零児は、神楽ちづるの依頼を受けて動く人物であり、ストーリー上では十種神宝と三種の神器をつなぐ重要な役回りを担っています。ちづると深い関わりを持つだけでなく、戦闘では分身を伴う技や前へ圧をかける動きが特徴で、設定面と性能面の両方で印象に残りやすいです。見た目や立場からしても、いかにも外伝作品のキーパーソンらしい雰囲気があり、京や庵のような本編の中核キャラとはまた違った方向で作品の空気を作っています。単なる新顔ではなく、外伝ならではの橋渡し役としてかなり重要な存在です。
八神チーム側の新キャラクターも、本作の魅力を支える大きな要素です。黒咲壬羽は、小柄な体格と暗器を使う戦い方が印象的で、飛び道具や長めのリーチを生かして中距離で主導権を取りやすいタイプです。見た目の個性も強く、コアな人気が出やすい要素を持っています。華守純はそれとは対照的で、199cmという大柄な体格を持つ超重量級の投げキャラクターとして描かれています。動きは重いものの、一撃ごとの存在感が大きく、設定面でも姉御肌の人物像がはっきりしているため、ビジュアル面でも性能面でもかなり目立ちます。壬羽と純はどちらも、本編KOFの既存キャラと並べても埋もれにくい個性を持っています。
そして、物語の中心にいるのが天羽忍です。忍は十種神宝の守護者でありながら、失踪事件の当事者であり、オロチの力と結びつくことで本作全体の危機を生み出す存在でもあります。一度倒されると暴走忍へと変貌する展開は、KOFらしい“異形のボス化”の流れを受け継ぎつつ、本作独自の悲劇性も加えています。つまり本作は、ボスが単に強い相手というだけでなく、物語上の重要人物として配置されているのが特徴です。オロチ編の空気を思わせる不穏さと、外伝作品ならではの新しい人物関係が、忍を通して強く表れています。
既存キャラクターの顔ぶれも見逃せません。餓狼伝説チーム、龍虎の拳チーム、怒チーム、サイコソルジャーチーム、韓国チームといった定番の構成が用意されているため、KOFらしいチームバトルの見栄えはしっかり確保されています。前作のストライカー専用キャラクターからユリ・サカザキがプレイアブルに昇格している一方で、紅丸、ロバート、キング、ギースなどが外れているため、シリーズ全体で見ると人選には変化があります。ただ、そのぶん本作は既存キャラの人気に寄りかかるだけでなく、新キャラを立てるための再編成が行われているとも言えます。外伝作品としての色を出すうえでは、かなり思い切った構成です。
こうして見ると、『EX2』の登場キャラクターは「おなじみのKOF」らしさと、「この作品でしか見られない外伝らしさ」の両方を成立させるために並べられています。シリーズの看板キャラクターで入口を作りつつ、その奥で十種神宝の新キャラクターたちが物語とシステムに独自の色を加えているのです。このバランスがあるからこそ、本作は単なるGBA向けの縮小版ではなく、独自の意味を持ったKOF外伝として記憶されやすい作品になっています。
登場人物一覧
| 分類 | キャラクター名 | 所属・チーム | 立ち位置 |
| 主人公チーム | 草薙京 | 主人公チーム | 三種の神器のひとり。本作でも物語の中心人物 |
| 主人公チーム | 葉花萌 | 主人公チーム | 十種神宝の守護者。京と行動をともにする主要人物 |
| 主人公チーム | 大神零児 | 主人公チーム | 十種神宝の守護者。神楽ちづるの依頼で動く重要人物 |
| 餓狼伝説チーム | テリー・ボガード | 餓狼伝説チーム | シリーズを代表する人気キャラクター |
| 餓狼伝説チーム | アンディ・ボガード | 餓狼伝説チーム | テリーの弟であり、チームの主力メンバー |
| 餓狼伝説チーム | 不知火舞 | 餓狼伝説チーム | 餓狼伝説チームの紅一点 |
| 龍虎の拳チーム | リョウ・サカザキ | 龍虎の拳チーム | 龍虎の拳チームの中心人物 |
| 龍虎の拳チーム | ユリ・サカザキ | 龍虎の拳チーム | 前作のストライカー枠からプレイアブルに昇格 |
| 龍虎の拳チーム | タクマ・サカザキ | 龍虎の拳チーム | サカザキ家を支えるベテラン格闘家 |
| 怒チーム | ラルフ・ジョーンズ | 怒チーム | 高火力の近接戦を得意とする常連メンバー |
| 怒チーム | クラーク・スティル | 怒チーム | 投げ技や組み技に強みを持つキャラクター |
| 怒チーム | レオナ・ハイデルン | 怒チーム | オロチ関連の背景も持つ重要キャラクター |
| サイコソルジャーチーム | 麻宮アテナ | サイコソルジャーチーム | 超能力を扱うKOFの定番キャラクター |
| サイコソルジャーチーム | 椎拳崇 | サイコソルジャーチーム | アテナと並ぶチームの主力メンバー |
| サイコソルジャーチーム | 包 | サイコソルジャーチーム | サイコソルジャーチームの一員として登場 |
| 韓国チーム | キム・カッファン | 韓国チーム | 正義感の強いテコンドー使い |
| 韓国チーム | チャン・コーハン | 韓国チーム | 重量級のパワーファイター |
| 韓国チーム | チョイ・ボンゲ | 韓国チーム | 素早い動きでかく乱するトリッキーなキャラ |
| 八神チーム | 八神庵 | 八神チーム | 三種の神器のひとり。本作でも重要な立場を持つ |
| 八神チーム | 黒咲壬羽 | 八神チーム | 十種神宝の守護者。中距離戦に長けた新キャラクター |
| 八神チーム | 華守純 | 八神チーム | 十種神宝の守護者。超重量級の投げキャラクター |
| ボス | 天羽忍 | ボスキャラクター | 十種神宝の守護者であり、物語の中心にいる存在 |
| ボス | 暴走忍 | ボスキャラクター | 忍が変貌したラスボス形態 |
評価点|GBA格闘ゲームとして高く評価された理由
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』が高く評価される理由は、まず前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』からの立て直しがはっきり伝わる点にあります。携帯機向けの格闘ゲームは、当時のハード性能や容量の都合もあって、どうしても動きや演出、音まわりが簡略化されやすい分野でした。その中で本作は、単に「続編を出した」というより、前作で目立っていた粗さを見直し、遊べる作品として再構成したこと自体が大きな価値になっています。シリーズファンから見れば、GBAでKOFを遊べるという話題性だけでなく、ちゃんとKOFとして楽しめる水準まで持ち直したことが本作の強みです。
特に目立つ評価点として挙げやすいのが、グラフィックや演出まわりの改善です。本作はネオジオ版とまったく同じ密度ではないものの、キャラクターの頭身や全体の見た目にしっかりKOFらしさが残されており、携帯機作品として見たときの見栄えが良好です。前作ではアニメーションのぎこちなさや演出の粗さが気になりやすかったのに対し、本作ではキャラクターの動きがある程度自然になり、中間デモでもキャラが動くようになるなど、全体の印象が明らかに改善されています。さらに、各チームにエンディングイラストが用意されていることもあり、ストーリーを進める意味やご褒美感が前作より強くなっています。
音まわりの改善も見逃せません。前作ではBGMやボイスの扱いに対して不満が出やすかった一方で、本作では収録量や使い方が見直され、プレイ中に感じる違和感がかなり軽減されています。格闘ゲームでは、操作感や画面のテンポだけでなく、ヒット時の気持ちよさや試合全体の勢いも重要です。その意味で、音の改善は単なる付加価値ではなく、ゲームそのものの印象を底上げする重要な要素でした。視覚面と聴覚面の両方が整えられたことで、本作は「携帯機だから仕方ない」では済まされない、しっかり作り込まれたタイトルとして受け取られやすくなっています。
ゲームとしての評価では、システムの整理も大きなポイントです。本作は『KOF2000』系統を土台にしつつ、カウンターモードやアーマーモードを外し、3人チーム制に戻したうえで、次の控えキャラクターがストライカーになる仕組みを採用しています。この変更によって、複雑さを減らしながらもKOFらしいオーダー編成の駆け引きが強調されました。ストライカー込みで先鋒や中堅をどう動かすか、大将にはどんなキャラを置くかといった考え方が自然に生まれるため、携帯機向け作品でありながら、チーム戦ならではの面白さがしっかり残っています。遊びの軸が分かりやすいことも、本作が高く評価される理由のひとつです。
加えて、本作はやりこみ要素の充実も評価されています。テクニカルジャッジによって複数キャラクターを使う意味が生まれ、そこからマスターモードや特殊エンディングが解放される流れは、携帯機向け格闘ゲームとしてかなり相性の良い仕組みです。対戦相手が近くにいなくても、一人で遊ぶ理由がしっかり用意されているため、ストーリーを一度クリアして終わりになりにくいです。とくに京・庵・零児や、葉花萌・純・壬羽などの組み合わせで見られる特殊エンディングは、物語の補完としてもおまけとしても機能しており、本作ならではのやりこみ価値を高めています。
新キャラクターの出来が良いことも、本作の評価を支える重要な要素です。外伝作品に登場するオリジナルキャラクターは、既存キャラの人気に埋もれたり、設定だけが浮いて見えたりすることがあります。しかし本作では、葉花萌、大神零児、黒咲壬羽、華守純、天羽忍といった面々が、それぞれ戦い方にも物語上の立場にも個性を持っています。京や庵、ちづるといった既存の神器側の設定にうまくつながっているため、新顔でありながら「この作品ならではの人物」として印象に残りやすいです。新規キャラが機能しているからこそ、本作のストーリーも外伝として成立しています。
そして、総合的に見ると本作は、当時の携帯格闘ゲームの中でかなり高い位置に置かれやすい作品です。ハード性能の限界がある中で、ネオジオ版に近い雰囲気のグラフィック、比較的しっかりしたシステム、やりこみ要素、外伝らしい物語、新規キャラクターの存在感まで揃えている作品はそう多くありません。完璧な作品とは言いにくくても、GBAでここまでKOFらしさを保ったこと自体が評価の対象になります。だからこそ『EX2』は、単なるマイナー外伝ではなく、GBA格闘ゲームの中でもよく出来た1本として語られやすいのです。
| 評価点 | 内容 |
| 前作からの改善 | 粗さの目立った前作から大きく立て直され、遊べる作品に仕上がった |
| グラフィック・演出 | 携帯機向けとしては見栄えが良く、デモやエンディング演出も強化された |
| 音まわり | BGMやボイスの違和感が前作より軽減されている |
| システム整理 | 3人制と控えストライカー方式で、オーダー編成の面白さが分かりやすい |
| やりこみ要素 | テクニカルジャッジ、マスターモード、特殊エンディングが用意されている |
| 新キャラクター | 十種神宝の面々が物語にも性能にも個性を持っている |
| 総合評価 | GBA格闘ゲームとしては完成度が高く、KOF外伝としての独自性もある |
こうした点を積み重ねて見ると、『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は「前作より良くなった続編」というだけでは収まりません。携帯機の制約の中で、KOFらしい見た目、チーム戦の面白さ、オリジナル設定の魅力、一人用のやりこみまでしっかり盛り込んだことで、当時のGBA格闘ゲームの中でも存在感のある作品になっています。粗さを抱えながらも、それ以上に“よくここまで持ってきた”と感じさせる部分が多いことが、本作の高評価につながっています。
問題点|調整不足や不自然な仕様は残っている

『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は、ゲームボーイアドバンス向けのKOF作品として見るとかなり健闘しているタイトルですが、だからといって細かな問題が消えているわけではありません。前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』と比べれば大きく改善されているものの、実際に遊んでいくと調整の甘さや不自然な挙動はところどころで見えてきます。評価点の多い作品だからこそ、逆に「惜しい部分」も目立ちやすいとも言えます。本作を語るなら、高く評価された面だけでなく、完成度を少し削っている問題点も整理しておきたいところです。
まず分かりやすいのが、ボスキャラクターである天羽忍まわりの不安定さです。物語の中心人物として配置され、ボスとしての存在感も大きいキャラクターですが、戦ってみると挙動や当たり判定に違和感が出やすい場面があります。たとえば、下半身や技モーションの当たり判定が不自然に感じられる場面があったり、攻撃を受けた際に妙な現象が起きたりと、ボス戦としては少し安定感に欠けます。さらに、CPU側の動きにもおかしな部分があり、こちらが動かなければ相手もその場にとどまり続けて技を出すだけになったり、超必殺技をほとんど使わなかったりと、ラスボス戦らしい緊張感が崩れやすいです。設定上は重要人物でも、対戦相手としての完成度は少し粗い印象が残ります。
新キャラクター側の調整不足も、本作では見逃しにくい問題です。とくに華守純は、個性の強い重量級キャラクターとして印象的な一方で、性能面ではかなり極端です。通常技の気絶値が高く、数発当てるだけで相手を気絶に追い込みやすいほか、吹っ飛ばし攻撃の強さや一部必殺技の威力も目立ちます。重量級で動きが重いという弱点はあるものの、それを差し引いても強引に押し切りやすい部分があり、対戦で向き合うと「調整が荒い」と感じやすいキャラクターです。他にも、葉花萌や大神零児など、本作オリジナルの面々には技の挙動や性能面で気になる点が散見されます。新規キャラの存在感がある反面、細かな詰めの甘さも残っています。
また、本作では全体的に高火力コンボが出やすいキャラクターが少なくありません。これは見方によっては爽快感にもつながりますが、対戦バランスという意味では極端になりやすい部分です。『KOF2000』系の土台を持つ作品らしく、一度流れをつかむと大きく持っていける展開がある一方で、携帯機向け作品ゆえに細かな調整が十分に行き届いていない印象もあります。結果として、対戦を突き詰めるとキャラクター差や技ごとの強弱が目立ちやすく、「よく出来ているが、細部は荒い」という評価につながっています。格闘ゲームとして成立してはいるものの、純粋な競技性だけで見ると甘さは残る作品です。
演出面でも、完全に整っているとは言い切れません。前作よりはかなり改善されたとはいえ、一部の勝ち台詞やキャラクターの言動には「そのキャラが本当に言うだろうか」と感じるような違和感が残っています。テリー、タクマ、ラルフなど、シリーズで長く親しまれてきたキャラクターほど、台詞のニュアンスが少しズレていると印象に残りやすいです。さらに、隠しエンディングの中にはかなり突飛な方向へ振れたものもあり、遊び心として見るか、キャラクターらしさが崩れていると見るかで受け取り方が分かれます。外伝作品らしい自由さと、既存キャラのイメージ維持の境目が少し不安定なところは、本作の惜しい部分です。
そのほか、容量やハード制約の影響と見られる欠けた部分もあります。ゲーム性に直接大きな影響を与えるわけではないものの、モーションや演出の一部が省かれていたり、サウンドテストに曲だけ残っていて本編側の演出が見当たらなかったりと、「本当はもう少し入れたかったのでは」と感じる部分が見えてきます。携帯機向けソフトとしては仕方のない範囲とも言えますが、逆に言えば本作がもう一歩上の完成度に届ききらなかった理由でもあります。良作であることは確かでも、余裕のあるハードで作られていたらさらに評価が伸びたかもしれない、という想像も出てきます。
ただし、これらの問題点は前作のように「遊ぶこと自体がつらい」という種類のものではありません。むしろ本作の場合は、全体がしっかりまとまっているからこそ、細かな不具合や調整不足が惜しく見える形です。格闘ゲームとしての体は整っており、ストーリーややりこみ要素もあるため、遊ぶ価値そのものが損なわれるわけではありません。それでも、完成度を語るうえでは、良作でありながら、粗さを完全には消しきれていないという点は押さえておきたいです。この“惜しさ”があるからこそ、本作は名作寄りの良作として語られやすいとも言えます。
| 問題点 | 内容 |
| ボス戦の不安定さ | 天羽忍の当たり判定やCPU挙動に不自然な部分がある |
| 一部キャラの調整不足 | 華守純をはじめ、性能が極端に感じやすいキャラクターがいる |
| 高火力コンボの偏り | キャラクターによっては大ダメージを取りやすく、対戦バランスに粗さが出る |
| 台詞や演出の違和感 | 既存キャラらしさと少しズレた表現が見られる |
| 容量由来の省略 | 一部モーションや演出が欠けており、作り込み不足に見える箇所がある |
| 総合的な印象 | 良作ではあるが、細部の詰めが甘く惜しい部分が残る |
こうした問題点を踏まえると、『EX2』は「欠点のない完成品」ではなく、「明確に良くなったが、まだ粗さは残る続編」と表現するのが近いです。それでも、前作からの改善幅、携帯機向けとしての遊びやすさ、外伝作品としての面白さを考えれば、本作の価値は十分に高いです。だからこそ問題点は“致命傷”ではなく、“惜しい部分”として語られやすいのです。
総評|前作の汚名を返上したGBA版KOFの良作
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は、ゲームボーイアドバンス向けに展開されたKOF作品の中でも、かなり印象の良い1本です。前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』が厳しい評価を受けたあとに登場した続編ということもあり、本作には「どこまで立て直せているのか」という視線が自然と向きやすい立場がありました。実際に内容を見ると、その期待に対して本作はかなり真っ当に応えています。グラフィック、演出、音まわり、システム整理、やりこみ要素、ストーリー構成など、さまざまな面で前作からの改善が感じられ、少なくとも“遊べるKOF”としての形はしっかり取り戻しています。
本作の良さは、単に前作より良くなったことだけではありません。ゲームボーイアドバンスという携帯機の制約の中で、KOFらしいチーム戦の面白さや、シリーズ独特の世界観をなるべく崩さずに落とし込もうとしている点に価値があります。3人チーム制と控えストライカー方式によって、オーダー編成の意味をしっかり残しながら、携帯機向けとして分かりやすいルールにまとめているのは本作らしい工夫です。操作モードの複数用意や、一人でも遊びやすいゲームモード、テクニカルジャッジによる隠し要素の解放といった仕組みも含めて、ただの簡易版ではなくGBA向けに考え直されたKOFとして成立しています。
ストーリー面でも、本作は外伝作品としての存在感があります。オロチ編とネスツ編の間という時系列の中で、三種の神器を補佐する十種神宝という設定を前面に出し、既存キャラクターとオリジナルキャラクターの両方に見せ場を作っています。とくに葉花萌、大神零児、黒咲壬羽、華守純、天羽忍といった新キャラクターたちは、設定だけの存在ではなく、物語にもゲーム性にもちゃんと役割を持っています。外伝作品は新キャラが浮いて見えることもありますが、本作ではKOF世界の神話的な部分にうまく接続されているため、「本編と切り離された別物」という印象になりにくいです。この点も、シリーズファンから比較的受け入れられやすい理由のひとつでしょう。
もちろん、完璧な作品というわけではありません。ボス戦の不自然な挙動、一部キャラクターの調整不足、細かな不具合、演出や台詞の違和感など、完成度をもう一歩押し上げきれなかった部分は確かにあります。ですが、それらは本作の価値を大きく損なうというより、「ここまで良くなっているなら、さらに詰めてほしかった」と思わせる惜しさに近いです。つまり本作は、粗さがあるから評価できない作品ではなく、粗さを抱えながらも評価できるだけの中身がある作品です。このバランス感覚が、『EX2』を“名作寄りの良作”として印象づけています。
また、本作がいま振り返られても面白いのは、EXシリーズがここで止まってしまったことも関係しています。十種神宝の設定や未登場の守護者たち、天羽忍を中心とした外伝側の物語など、まだ広げられそうな要素は多く残されていました。それだけに、本作は「ここで終わったのが惜しい作品」としても記憶されやすいです。もし続編が続いていれば、GBA外伝としてだけでなく、KOFのサイドストーリー群の中でも独自のシリーズとして育った可能性もありました。そう思わせるだけの土台を、本作はしっかり持っています。
総合すると、『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は、前作の汚名を返上し、携帯機向けKOFとして十分に評価できる作品です。アーケード版の完全再現ではないものの、KOFらしいチーム戦、個性的な新キャラクター、やりこみ要素、そして外伝らしいストーリーの魅力をしっかりまとめています。GBAの格闘ゲーム全体で見ても完成度は高く、KOFシリーズの外伝として見ても独自の価値があります。だからこそ本作は、単なる過去の携帯機タイトルではなく、今でも語る意味のある“良作KOF”として残っているのです。
| 総評の観点 | 評価 |
| 前作からの改善 | 非常に大きい。続編としての立て直しに成功している |
| 携帯機向けとしての完成度 | 高い。GBA格闘ゲームの中でも印象が良い部類 |
| KOFらしさ | チーム戦、キャラ性、外伝設定の面でしっかり残っている |
| 新キャラクターの魅力 | 物語にも性能にも役割があり、外伝作品として機能している |
| やりこみ要素 | 一人でも遊び続けやすい仕組みがある |
| 問題点 | 調整不足や不具合は残るが、致命的ではない |
| 総合評価 | 前作の汚名を返上した、GBA版KOFの良作 |
『EX2』は、前作を知っているほど改善の大きさが伝わりやすく、逆に本作から触れても携帯機向けKOFの個性を感じやすい作品です。外伝だからこそできた設定の広がりと、限られたハードの中でまとめきった格闘ゲームとしての手触り。その両方を持っていることが、本作のいちばんの強みだと言えます。
余談・裏話・没キャラクター設定
『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は、本編だけでも外伝らしい独自性を持った作品ですが、周辺の裏話まで見ると、さらに“変わった魅力”が見えてきます。とくに本作は、前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』から大きく改善された続編である一方で、開発途中の案や容量の都合で削られた要素、設定の行き違いのような話も残っており、完成品だけでは見えない部分にかなり濃い個性があります。KOF本編とは少し違う立ち位置の作品だからこそ、制作側の試行錯誤や、外伝ならではの自由さがそのままにじみ出ているとも言えます。こうした裏側を知ると、本作がただのGBA向け格闘ゲームではなく、かなりクセのある企画だったことがよく分かります。
まず分かりやすいのが、容量やハード制約によって削られたと見られる部分です。本作は全体として前作よりかなり整っていますが、それでも細かなところを見ると「本当はもっと入れたかったのでは」と感じさせる箇所が残っています。たとえばサウンドテストにはオープニング曲があるのに、本編側にはオープニングデモが見当たりません。ほかにも、一部キャラクターの勝利ポーズや起き上がりモーション、通常技の絵などで欠けたような箇所が見られ、ゲーム性に大きく影響しない範囲で省略された部分があることがうかがえます。携帯機作品としてはある意味自然な話ですが、裏を返せば、それだけ本作が限られた容量の中で取捨選択しながら作られていたということでもあります。
設定まわりの裏話も、本作ではかなり印象的です。シナリオに関わった嬉野秋彦氏が後年語った内容によると、制作段階ではかなり踏み込んだ血縁設定が提案されていたようです。たとえば葉花萌を草薙柴舟の隠し子にする案や、大神零児が連れている幼女を神楽ちづるとの娘にする案など、本編キャラクターの関係性を大きく揺らしかねない方向の案があったとされています。結果としてそうした案は強く押し戻され、製品版ではそこまで踏み込んだ明言は避けられましたが、この時点で本作がかなり危うい橋を渡りかけていたことは分かります。外伝作品は自由度が高いぶん、既存設定との距離感を間違えると一気に荒れやすいですが、本作はぎりぎりのところで線を引いた形とも言えます。
それでも、完全に整理しきれなかった要素は残っています。とくに零児に付き添う幼女については、ゲーム中でも不思議な力を見せる場面がありながら、結局は詳しい正体が語られません。そのため一部では、神楽ちづるや神楽マキの血筋に関わるのではないかといった見方も出ましたが、決定的な説明はされていません。つまり本作には、明らかに「何かありそうなのに断言されない」部分が残っているわけです。これは未完成感にもつながりますが、一方で外伝作品らしい謎として記憶に残りやすい要素でもあります。設定がきれいに閉じていないからこそ、ファンの間で話題になりやすい面もあります。
没キャラクターの存在も、本作の裏話としてよく語られるポイントです。中でも有名なのが、十種神宝の6人目として構想されていた寿福大輔です。このキャラクターは「足玉」の守護者で、鬼の姿に変身して戦う設定が考えられており、当初は八神チームのストライカーとして登場する予定だったとされています。しかし本作では、3人チーム制への変更によりストライカー専用キャラクターという枠自体が廃止されたため、寿福大輔もそのまま没になりました。もし前作寄りのシステムが維持されていたら、十種神宝の設定はさらに広がっていた可能性があります。そう考えると、本作のシステム変更はゲーム性の整理につながった一方で、設定面では切り捨てられた要素もあったわけです。
さらに言えば、本作に登場しない十種神宝の守護者たちは、最後まで詳細不明のまま終わっています。作品内で確認できるのは一部だけで、残りの守護者や神宝については名前だけ、あるいは存在が示唆されるだけにとどまります。本来なら、続編や別媒体で広げられる余地があったとも考えられますが、残念ながらEXシリーズは本作で途切れてしまいました。そのため、十種神宝という設定自体は面白いのに、全体像が見えないまま終わったのです。この“続いていればもっと面白くなったかもしれない”感じは、本作の評価にも少し影を落としていますが、同時に作品への印象を強めてもいます。
こうした裏話を含めて見ると、『EX2』は完成品としての評価だけでなく、もし別の形で作られていたらどうなっていたかを考えたくなる作品です。設定の踏み込み方、削られた演出、没になった守護者、明かされなかった正体。どれも本編だけを見ていると脇の話に思えるかもしれませんが、実際には本作の個性や惜しさを強く支えている要素です。だからこそ『THE KING OF FIGHTERS EX2 ~HOWLING BLOOD~』は、良作としてだけでなく、“妙に記憶に残る外伝”として今でも話題にされるのだと思います。
| 余談・裏話 | 内容 |
| 容量由来の省略 | オープニング曲はあるがデモがなく、一部モーションや演出も省略されている |
| 没になった設定案 | 葉花萌や大神零児に本編キャラとの血縁案があったとされる |
| 零児の幼女 | 正体が最後まで明かされず、ファンの間でさまざまな解釈がある |
| 没キャラクター | 寿福大輔という十種神宝の守護者が構想されていたが未登場のまま終わった |
| 未完の設定 | 登場しなかった十種神宝の守護者が複数おり、全体像は不明のまま |
| シリーズの惜しさ | EXシリーズが本作で止まり、設定の続きが描かれなかった |


