【スーパーマリオギャラクシー+スーパーマリオギャラクシー2】Nintendo Switch 2025年発売【徹底解説】――重力×球体ステージが切り拓いた3Dアクションの金字塔
2025.10.20投稿
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Wii向けに登場した『スーパーマリオギャラクシー』(2007)と、その正統続編『スーパーマリオギャラクシー2』(2010)は、3Dマリオの歴史を一段押し上げた“重力アクション”の到達点です。2025年にはNintendo Switch向けに2作をまとめた『スーパーマリオギャラクシー+スーパーマリオギャラクシー2』が発売され、個別販売やSwitch 2での4K対応アップデートも公式に案内されています。これにより、当時Wiiで体験したプレイヤーも、初めて触れる新規層も、最新環境で“銀河冒険”を楽しめるようになりました。
1作目(2007):“重力”で世界を再発明した3Dマリオ
『ギャラクシー』の最大の革新は、惑星(小さな球体)の“重力”を利用したレベルデザインです。フィールドそのものが球状のため、足場の裏側へ回り込む、空に投げ出されても別の天体に引かれて着地する、など“方向感覚を揺さぶる”遊びが次々に成立します。
マリオは「スピン(振動)」でギミックを起動し、スターリングで宇宙を飛び回る――これらのゲーム体験はWiiリモコンの直感操作と結びつき、従来の3Dアクションとは一線を画す没入感を生みました。
開発陣がその狙いや試行錯誤を語る「社長が訊く」でも、“球体・重力・遠心力”を前提にした設計思想が繰り返し強調されています。
舞台はロゼッタが管理する「星船」。各ドームから“銀河”へ出撃してパワースターを回収し、グランドスターで施設を復旧していく流れです。ミツばち変身「ハチマリオ」、幽霊化する「オバケマリオ」、高反発で跳ね続ける「バネマリオ」など変身の多彩さも魅力。演出面では、オーケストラ収録による壮大なスコア(作曲:横田真人/近藤浩治)が物語性と宇宙感を強力に支え、シリーズ屈指の“聴かせる”作品となりました。
2作目(2010):“コースクリア志向”に磨きをかけた純度の高い続編
『ギャラクシー2』は“もっとコースを遊ばせる”ことに特化。探索色の強い1作目に対し、マリオの顔をした宇宙船「星船マリオ」からワールドマップ経由でテンポ良くコースを選ぶ設計に刷新されました。結果として各ギャラクシーの“ギミック純度”がさらに高まり、よりタイトで歯ごたえのあるアクションが連続します。
新要素では、ヨッシーの搭乗が大きな軸。舌で敵やフルーツを飲み込み、フックのようにぶら下がって移動したり、“カラフル果実”で性能が激変(猛ダッシュの「ダッシュヨッシー」、巨大風船のように浮上する「バルーンヨッシー」、暗所を照らす「ライトヨッシー」)。加えて、マリオ自身も「雲マリオ」「ゴロ岩マリオ」などの新変身で攻略ルートが大胆に広がります。これらの意匠は2025年のSwitch版公式ページでも丁寧に解説されており、いま遊ぶ上での理解にも有用です。(公式ホームページ)
Switch版(2025):現行機向けの高解像度化と遊びやすさ
Switch向けの『ギャラクシー+ギャラクシー2』は、2作品を“現行の操作体系”に最適化。ドック時はJoy-Conのジャイロでポインタ操作、携帯モードではタッチ操作に対応し、当時の“星のカケラ(スターピース)集め”や仕掛け起動の気持ちよさを再現。2人プレイはJoy-Conおすそわけで健在で、1人がマリオ、もう1人がポインタでサポートする協力スタイルが楽しめます。さらに“体力増加・静止回復・落下救済”などを盛り込んだアシストモード、BGMプレイヤー(全154曲)、ロゼッタの絵本の追加章など、初見にもリプレイ勢にも配慮した調整が含まれています。Switch 2では無償アップデートによりTVモード4K/携帯モード1080p表示に対応(公式)
音楽の力――“宇宙の荘厳さ”を音で描く
『スーパーマリオギャラクシー』のサウンドが特別視される最大の理由は、宇宙という抽象的なスケール感を“耳で体感させる”ために、シリーズで本格的なオーケストラ収録を導入したことにあります。サウンドディレクターの横田真人氏は、当初「ラテン系」で統一する案も探ったものの、近藤浩治氏の「マリオは“かわいい”より“かっこいい”」という指針を受け、壮麗なフルオーケストラを軸に“宇宙冒険活劇”の音像を描く方向へ舵を切りました。これが、銀河を横断する“重力アクション”の体験と合致し、映像と同等以上に壮大さ・高揚感・解放感を担保する柱となります。(参考記事)
その決断は制作規模にも現れています。『ギャラクシー』では約50名編成のオーケストラで、全28曲を生演奏で録音。ゲーム側のレベル構成が固まるのを待ちながら、短いスパンで“必要な曲を確実に録る”という開発ならではの進行で、演奏を聴いた宮本茂氏が「音が変わるもんだなあ」と驚いたという現場エピソードも“社長が訊く”に残っています。「オーケストラの音でこそ宇宙のスケールが立ち上がる」**という作り手の確信が、このときの収録から固まっていきました。
具体的な“宇宙の描写”は、編成・書法・モチーフの設計に見て取れます。例えば、金管のファンファーレ+弦の広がりは、星間を跳躍する“飛翔の手触り”を、ティンパニのロールや低弦のペダルポイントは、惑星の重力や危機の“引力”を聴覚的に補強します。加えて、メロディの覚えやすさ(キャッチーさ)とゲームの操作感(気持ちよさ)**を結びつけるのが“マリオらしさ”だ、という任天堂サウンドの哲学を踏まえ、口ずさめる旋律が“宇宙の荘厳”に呑み込まれないよう設計されているのが特徴です。開発者自身が「“マリオらしさ=楽しさ・かっこよさ”を音で担保する難しさ」を語っており、大仰さだけに走らず“遊び心”を同居させる判断が一貫しています。
代表曲の性格を手短に押さえておくと、たとえば「ウィンドガーデン(Gusty Garden Galaxy)」は、上昇志向の主題が連続モジュレーションで開けていく“上へ、先へ”の快感が核。「天文台のロゼッタ(Comet Observatory)」はワルツのうねりが“静謐な宇宙への憧れ”を浮かび上がらせ、「大王星の決戦」の強靭な低音は重力と決戦の緊張を支えます。これらは“飛ぶ/漂う/臨む”**というゲーム内の三位一体の情景を、旋律・和声・リズムの三方向から支える好例です(曲目の評価・言及は国内メディアの特集でも繰り返し確認できます)。
続編『ギャラクシー2』では、“宇宙の荘厳さ”に“軽やかな推進力”を加える方向にサウンドが進化します。オーケストラ規模はおおむね約60名へと拡張され、大編成のスケールを保ちながらも、コース攻略重視のゲーム設計に合わせて“前へ進ませるグルーヴと抜け感”が重視されました。また、場面に応じてビッグバンド風の生演奏も導入し、オーケストラ=壮麗、ビッグバンド=疾走・明快といった“音色の役割分担”で、銀河ごとに切り替わるアトラクション性を耳でも分かりやすく演出しています。(参考記事)
人と体制の面では、横田真人氏がサウンドディレクター(作曲)/近藤浩治氏が要所を担当という前作の骨格を踏襲しつつ、『2』では永松亮氏も作曲で参加。“マリオらしさ”の中核(近藤節の明快な主題)と、“銀河スケールの広がり”(横田氏のオーケストレーション)、“爽快さ・遊び心の増幅”(永松氏の色彩)が、作品全体の音楽的文法を形づくっています。任天堂公式の開発インタビューでは、この三者の分担や方針が具体的に語られ、“宇宙=壮大”だけでなく“遊び=軽快”のバランスをどう設計したかが明かされています。
受賞・評価・販売
『スーパーマリオギャラクシー』(2007)と『スーパーマリオギャラクシー2』(2010)は、3Dアクションの歴史を更新したシリーズとして、世界各国の主要アワードで高い評価を受けました。まず1作目は、イギリスの映像芸術界最高峰であるBAFTA(英国アカデミー賞ゲーム部門)で任天堂タイトルとして史上初の「Best Game(ベストゲーム)」を受賞。これは2009年の授賞回における象徴的出来事で、任天堂のゲームが“作品そのものの完成度”で最上位に選ばれた事例として語り継がれています。(参考記事)
北米の業界団体AIAS(D.I.C.E. Awards)でも、1作目は「Adventure Game of the Year」を受賞(第11回/2008年)。アクション/アドベンチャー分野での革新的なゲームデザインと重力ギミックが、審査員の評価を決定づけました。
また、日本国内では日本ゲーム大賞2008「年間作品部門 優秀賞」に選出。ユーザー投票と審査を経て“その年を代表する優れた作品”の一本として正式に顕彰されています。さらに年次の総合評価としてファミ通アワード2007「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」**も獲得しており、日本のゲームファンからの支持の厚さも明確でした。
2作目『ギャラクシー2』は、前作の到達点を保ちながら“面単位の創意工夫”や“高密度の遊び”を徹底し、各所のプロフェッショナル審査で設計面の完成度が高く評価されます。BAFTAでは2011年に「Gameplay(ゲームプレイ)」部門の最優秀賞を受賞。ゲームの「操作感/入力と出力の快楽」「ルール・仕掛けの相互作用」といった内実にフォーカスした部門での受賞で、純粋なデザイン力が認められた形です。また開発者投票が軸のGame Developers Choice Awards 2011でも**「Best Game Design」を受賞。現場の開発者コミュニティから“構成・テンポ・難易度設計・学習カーブ”の妙が最高評価を受けた点は、長期的な信頼性の根拠になります。なお国内では日本ゲーム大賞2011「年間作品部門 優秀賞」に選出され、前作に続き、日本の年次代表作群にも名を連ねました。
レビュー集計の面でも、この2作は“3Dアクションの基準点”として位置づけられます。Metacriticでは両作ともにメタスコア97を獲得しており、長い期間にわたり“歴代屈指”のスコア帯を維持してきました。メタスコア97は、極めて限定的なタイトルだけが到達するレンジで、前作の重力遊び/宇宙の舞台美、続編の密度の高いアイデアの連打を、世界中の批評家がほぼ満場一致で称賛した形です。
- 要点
- ●国際主要賞の制覇:1作目はBAFTA Best Game(任天堂初の快挙)、2作目はBAFTA Best Gameplay
●業界団体/開発者からの高評価:1作目がD.I.C.E.「Adventure GOTY」、2作目がGDCA「Best Game Design」
●日本の年次アワード:1作目=日本ゲーム大賞2008 優秀賞、2作目=日本ゲーム大賞2011 優秀賞
●レビュー集計:両作ともMetacritic 97で“歴代最高評価帯”
商業的にも両作はWii世代を代表するキラータイトルでした。まず『スーパーマリオギャラクシー』の世界累計は1,280万本(2024年3月末時点)。Wii時代のカジュアル層の拡大の恩恵も受けつつ、3Dアクションとしては極めて稀なダブルミリオン(1,000万本超)級のロングセラーとなり、Wiiの歴代売上ランキングでも上位(第9位)に位置付けられています。任天堂の公式資料や各種調査を元に集約された日本語版ウィキの整理でも、この規模感が確認できます。
続く『スーパーマリオギャラクシー2』は世界累計741万本(2022年末時点)。対象プラットフォームが末期に向かう中でも、高評価を背景に堅調なロングテールを形成。日本だけを見ても累計約107万本で、3Dマリオとしての地位を強固にしています。
これらの売上は、単に“マリオだから売れた”という説明では不十分です。Wiiは『Wii Sports』『Wii Fit』など“家族的な間口”を広げたハードですが、ギャラクシー系は「3Dアクションの気持ちよさ」を軸にコア/ミドル層を強く惹きつけたのが特徴です。1作目は“重力×球体地形×惑星ごとの一発アイデア”という体験の新規性で話題化し、2作目はアイデア密度の極大化とゲームプレイの洗練で口コミが長く続いた――この二段構えが、レビューと販売の好循環(高評価→露出増→需要喚起→再評価)を生み、長期にわたるカタログパワーを確立しました。加えて、日本国内の年次表彰(日本ゲーム大賞の優秀賞)や、ゲーム誌の総括(ファミ通アワードGOTY)といった“日本語圏の信用ある評価軸”**でも確実に選ばれたことで、国内での継続販売にも寄与したと考えられます。
1と2の“設計思想”の違い(どちらから遊ぶべき?)
- 『1』は“宇宙の不思議を体験させる箱庭×回廊型”。 ほうき星の天文台から各ドームへ移動し、重力球体の上で迷いにくい3D設計+直感的な“スピン”で初めての3Dマリオでも遊びやすいよう丁寧にチューニング。物語演出(ロゼッタの絵本)も強め。
- 『2』は“テンポ最優先のコースクリア設計”。 スターシップ・マリオ(簡易ハブ)+ワールドマップでテンポよく面白いギミックを連打する“2D的に遊べる3D”。『1』のアイデアを精査・増量し、より密度の高いコース構成へ。物語は最小限。
- おすすめの遊び順
物語・雰囲気・探索感を楽しみたい/シリーズが初めて → 『1』から。
スピーディに多彩な仕掛けを浴びるように味わいたい/アクションの腕試しが好き → 『2』から。
| 観点 | 『スーパーマリオギャラクシー』 | 『スーパーマリオギャラクシー2』 |
|---|---|---|
| 中心思想 | “迷いにくい3D”で宇宙の驚きを体験 | “テンポ最優先”でコースの面白さを連打 |
| 拠点 | ほうき星の天文台+ドーム選択 | スターシップ・マリオ+ワールドマップ |
| プレイ感 | 箱庭×回廊の折衷、探索の余韻 | 2D的に遊べる直線コース中心 |
| 物語 | ロゼッタの絵本など情緒演出 | 物語は薄め、遊びの密度に集中 |
| 難所対策 | 初心者配慮の操作と導線 | 彗星メダル/おたすけウィッチ/ブロンズスター |
コントロールと“星のカケラ”の気持ちよさ
“ギャラクシー系”の操作でまず特筆すべきは、ポインターが「移動とは別の手」で常に働き、遊びを重ね掛けできる設計です。Wii版ではスターピース(星くず)を画面にポインタを合わせるだけで回収でき、50個集めるごとに1UPという明確な小報酬が発生。さらにチコの大好物であるスターピースを「ハラペコチコ」に与えると、新しい道やイベントが開ける“中報酬”にもつながります(『1』は拠点やコース内、『2』はワールドマップ上にも「ハラペコチコ」)。つまり**「進む(移動)×集める(指す)×開く(解放)」**が同時進行で噛み合い、プレイの途切れなさ=気持ちよさを生んでいます。
この“指し示す遊び”は、移動ギミックにも直結します。たとえば青い“スターキャプチャー”は、ポインタで狙って掴み、引き寄せる要領で空間移動をさせる装置。歩く/跳ぶに対して、指す→引くという第2の入力系が加わることで、「移動の連続性」や「立体空間の流れ」が一段と滑らかに感じられます。
“気持ちよさ”の根拠は触感的なフィードバックにもあります。開発インタビューでは、スターピース取得時に「画面から“キン”→少し遅れて手元のWiiリモコンで“コン”」と鳴る二段の音に調整し、指し示し→回収の快感を音でも強化したと説明。**視覚(光と軌跡)×聴覚(2段のチャイム)×触覚(軽い振動)**が一体化して、何でもない“なぞり”行為がご褒美化されるよう作られています。
2人協力(アシスト)では、設計がさらに発揮されます。1Pがマリオ、2Pは星形ポインターで支援という役割分担で、スターピースの回収や敵の動きを止めるサポート、協力しての大ジャンプなど、“見る人の手”も参加できるよう拡張。「指すだけでも楽しい」→「指すだけでも役に立つ」へと昇華し、家庭内・友人同士の観戦/共遊にもフィットする体験になっています。
Switch版でも、この軸は踏襲・最適化されています。『スーパーマリオ 3Dコレクション』に収録された『1』は、TVモードでJoy-Conのジャイロによるポインタ/携帯モードでタッチに対応。“指す”直感はそのままに、据置・携帯の両スタイルでスターピース回収やスターキャプチャー操作を再現します。さらにアシストプレイはJoy-Conのおすそわけ対応で、2人協力の“指す楽しさ”を現行環境でも体験可能です。
また、2025年発売のSwitch向け『スーパーマリオギャラクシー+スーパーマリオギャラクシー2』でも、2Pがポインターでアイテム回収・敵の足止めといったアシストが可能と公式ストアで明示されています。(公式サイト)
ゲームデザイン面でも、「集めるものをスターピースに統一」した判断が、遊びの焦点を“指し示しの気持ちよさ”へと集約しました。開発者は、要素を絞ったことでゲームのバランスが引き締まり、誰でも楽しみやすくなったと解説。移動中に常に発生する小さな成功体験(拾う→音が鳴る→溜まる→50で1UP→ハラペコチコで解放)を積層させることで、上級者のテンポにも、初心者の手持ち無沙汰にも効く設計になっています。
まとめ:重力×球体がもたらした“3Dマリオの基準点”を、2025年の遊び心地で再発見する
Wii世代の金字塔『スーパーマリオギャラクシー』と、その純度を極限まで高めた続編『スーパーマリオギャラクシー2』は、3Dアクションが“宇宙規模”で拡張できることを示した代表作です。小惑星のような球体ステージに固有の重力が働く――このたったひとつの前提が、足場の裏側へ回り込む驚き、遠心力を味方にする快感、スターリングでの飛翔という解放感を連鎖的に生み、3D空間の遊び方そのものを更新しました。2007年の“発明”は2010年の『2』で“連続するコース快楽”へと昇華し、テンポ感と密度で圧倒する構成に結実。設計思想の違い(箱庭×回廊の余韻重視=『1』、面白ギミックの連打=『2』)は、いま振り返ってもシリーズの懐の深さをはっきり物語ります。
2025年のNintendo Switch版は、その二作を現行環境に丁寧に最適化した“決定版”。TVモードではJoy-Conのジャイロでポインター操作、携帯モードではタッチ操作に対応し、移動と同時並行でスターピースを吸い取る気持ちよさ、スターキャプチャーで“指して→引く”二系統入力のリズム、協力プレイで“見ている人の手”も活躍できる設計が、当時の感触そのままに蘇ります。さらに初見に優しいアシスト(体力・回復・落下救済など)、2人協力のおすそわけ、BGMプレイヤーや絵本要素など、再プレイを後押しする仕掛けも過不足なく搭載。往年の体験を壊さず、2025年にふさわしい敷居の低さと“もう一歩の快適さ”を加えています。
音楽面は「宇宙の荘厳さ」を“耳で描く”決断――オーケストラ収録の導入――が、作品の情緒と没入を決定づけました。『1』の「ウィンドガーデン」「天文台のロゼッタ」は“飛ぶ/漂う”を旋律と和声で立ち上げ、『2』では大編成にビッグバンド的推進力を織り込み、コース攻略重視の設計と調和。重力・飛翔・決戦といった情景が、視覚だけでなく“鳴り”でもプレイフィールに直結する設計は、いま聴いても古びません。遊びの根幹に音を接続する発想は、以降の任天堂作品群にも通底する“楽しさの文法”として受け継がれています。
評価と販売の実績も、二作の普遍性を裏づけます。国際主要アワードの受賞歴、長期にわたって高いレビュー集計、そしてWii世代を代表する累計販売は、奇抜な実験作ではなく“標準を作った作品”であることの証明です。3Dアクションは時代とともに洗練を重ねますが、ギャラクシー系は“重力×球体×指し示す入力”という核のアイデアが極めて強靭で、十数年を経た現在も古典ではなく“現役の面白さ”を保ち続けています。
どちらから遊ぶべきか――という問いには、好みで明快に答えられます。物語の情緒や探索の余韻、3Dに不慣れな人への導線の丁寧さを重んじるなら『1』から。最短距離で“面白ギミックのシャワー”を浴びたい、アクションの手応えを連続で味わいたいなら『2』から。いずれにしても両作を通して遊ぶ価値は十分で、順番の違いは“最初にどの喜びを強く浴びるか”の設計選択に過ぎません。
総じて、ギャラクシー系は“いま遊ぶ意味が明確”な古典です。設計思想の対比で作品の幅を楽しむもよし、サウンドで宇宙の広がりを味わうもよし、家族・友人と“指し示す楽しさ”を分け合うもよし。2025年版は、そのすべてにアクセスしやすく整えられています。Wiiでクリアした人にも、Switchで初めて触れる人にも、等しく“マリオが宇宙で輝く理由”を体感させてくれるでしょう。買い方の指針としては、まずは二作同梱の現行Switch版で快適・協力・BGM再生の三拍子を満喫し、気に入った人は追加の高解像度環境(対応プラットフォームやアップデート方針)も視野に入れて“長く手元で育てる一本”にする――そんな順序が、コストと満足度のバランスに優れています。








