【バイオハザード CODE:Veronica 完全版】2001年発売のシリーズ傑作の作品 徹底解説

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【バイオハザード CODE:Veronica 完全版】2001年発売のシリーズ傑作の作品 徹底解説

『バイオハザード CODE:Veronica 完全版』は、2001年3月22日にドリームキャスト版およびPlayStation 2版で同時発売されたリマスター版です。

本作はシリーズ初の背景を含む完全3Dポリゴン化と移動カメラを採用し、従来作と比べて大幅な演出強化が図られています。
追加ムービーやグラフィック微調整、難易度調整、初心者からコアファンまで楽しめる完成度を実現しています。
この記事では、ゲームシステムやストーリー、完全版ならではの新要素、キャラクター&世界観、そして発売後の評価やシリーズ全体への影響を幅広く解説します。

ゲームシステムと操作性の特徴(オリジナル版との違い含む)

フルポリゴン化と移動カメラ

『コード:ベロニカ』ではシリーズ初めて背景まで含めた完全な3Dポリゴン化が行われ、カメラ視点も従来の固定視点からキャラクターを追従する移動カメラに変更されました。

これにより、倒れる柱や崩れる壁、揺れる照明などダイナミックな演出が可能となり、従来のプリレンダ背景(事前に高性能なマシンで背景をレンダリングし、その静止画(一枚絵)をゲーム中の背景として使用する手法)ではできなかった立体的な表現が実現しています。

キャラクターモデルも「スキン構造」という技術で一体成形され、関節の継ぎ目が目立たなく滑らかになり、ムービーシーンとのギャップが少なくなっています。『CODE:Veronica』はシリーズの過去作『1』~『3』から大きく進化した映像表現により、臨場感が大幅に向上しました。

戦闘と操作性

基本的な戦闘システムは従来のサバイバルホラー路線を踏襲しており、銃器での照準は自動で近い敵を狙うものの、上・中・下方向への狙い分けも可能です。

ただし本作では、連射できない武器(ハンドガンやナイフ等)で連続攻撃する際はボタンを毎回押す必要があり、押しっぱなしでの連続攻撃ができない点も挙げられます(但しM93Rカスタムハンドガン・バーストなどは3連射まで可能)。

ナイフの攻撃力は比較的高めに設定されており、ゾンビの部位破壊(例えば足を切断して這いずらせる等)といった新しい戦略も可能です。また、初代『バイオハザード』以来一時なくなっていた「アイテムの回転・裏返しによる調査要素」が本作で復活し、アイテムを詳細に観察して謎解きに活かす場面も存在します。

2部構成のシナリオと後追いシステム

物語は大きく前半と後半の二部構成で、前半はクレア・レッドフィールド、後半はクリス・レッドフィールドを操作キャラクターとして進行します。

クレア編での行動が後にクリス編に影響を与える「あと追いシステム」が導入されており、クレアがある場所で残したアイテムが後でクリス編で拾える、あるいはクレアの解いた仕掛けがクリスの進行ルートに影響するといった連携が存在します。

なお、アイテムボックスで共有できるアイテム以外に、クレアからクリスへ所持品を直接引き継ぐことはできないため、クレア編の終盤ではクリスに残すアイテム選びが攻略のポイントになります。

シナリオ全体のボリュームは前作までの2作分に相当するとされ、ゲーム中盤にはインクリボン無しでセーブできるチェックポイントが設けられています。これはディスク2枚組だったドリームキャスト版ではディスク交換時に相当し、この中間セーブはクリア成績上のセーブ回数にカウントされません。

インターフェースとプラットフォーム別仕様

ドリームキャスト版では、本体のビジュアルメモリ(VMU)上の液晶画面にプレイヤーキャラクターの体力ゲージやステータスが常時表示されるという独自機能があります。

これによりメニュー画面を開かずとも残り体力が確認できる利点がありました。しかしこのVMU機能は他機種移植時にはサポートされておらず、プレイステーション2やゲームキューブ版では従来通りメニュー画面で体力を確認する形になります。

操作性の面ではいわゆる「ラジコン操作」(キャラクターの向きに応じて前進・後退し、左右回転で方向転換する方式)を採用しており、当時としては標準的でしたが、後年の作品と比べると独特の癖があります。

プレイヤーからは「移動中の方向転換に慣れが必要」「カメラが動く分見失う敵もいる」といった声もあり、操作面は旧来のシリーズ作品同様に賛否を呼びました。

なお、Xbox 360/PS3版などのHDリマスター移植でも基本的な操作仕様は当時のままとなっています。

BATTLE GAME(おまけ要素)

本編クリア後にはオマケモードとして「バトルゲーム」がプレイ可能になります。

クレア(通常衣装版と隠し衣装版)、クリス、スティーブ、ウェスカーといったキャラクターを選択し、決められた武器(弾数無限)でステージ内のクリーチャーを殲滅しながら進み、最後にボスを倒すとクリアとなるタイムアタック形式のミニゲームです。

クリアタイムに応じてランクが評価され、全キャラクターで最高ランク(Sランク)を獲得すると、バトルゲーム内で超強力武器「ロケットランチャー」が使用可能になります。

なお本編ではコスチュームチェンジ(衣装替え)の隠し要素はありませんが、バトルゲームではクレアでクリアするとレーシングスーツ姿のクレアが追加され、クリスでクリアすると隠しキャラのウェスカーが使用可能になります。

ウェスカーはナイフ1本のみという非常に高難度のキャラですが、その代わりタイムの制限が緩く、一時間以内にクリアすればSランクが取得できるようになっています(他キャラは数分~10分程度がSランク条件)。

バトルゲームはシンプルながら熱中できると評判で、やり込み要素としてシリーズファンにも高く評価されています。

オリジナル版とのシステム面の違い

ドリームキャストで初発売されたオリジナル版(無印版)と、後に発売された『コード:ベロニカ 完全版』との間でゲームシステム自体に大きな変更はありません。

難易度や操作感も基本的に同一であり、追加シナリオなども存在しません。
ただし完全版では後述するように一部バランス調整や追加演出が行われています。

また、DC版オリジナルでは最初から隠し要素の大半が解放済みだったのに対し、PS2版完全版では隠し要素(バトルゲームの隠しキャラ等)は自力で条件を満たして解放する必要があります。
例えば、DC版オリジナルでは初回から全難易度が選択可能だったのに対し、PS2版ではEasy/Normalのみ選択可能で、Very Easy(入門編の難易度)はDC完全版限定のモードとなっています。

またDC完全版ではVery Easyモードを選ぶと、ゲーム開始時から無限ロケットランチャーを標準装備しています(ゲームを楽に進められる救済要素)。このようにハードごとの微妙な差異はあるものの、基本的なゲーム内容に大きな違いはないため、どのプラットフォームでもほぼ同じ感覚でプレイできます。

物語のあらすじ・章構成と主要イベント(ネタバレあり)

序章(ラクーンシティ壊滅後)

時代設定は『バイオハザード2』でラクーンシティを脱出してから約3ヶ月後(※設定資料では2か月後とも)です。

主人公クレア・レッドフィールド(19歳)は、生き別れ状態の兄クリス・レッドフィールドを捜すため、兄が向かったヨーロッパへ単身渡航しアンブレラ社のヨーロッパ拠点を追っていました。

物語冒頭、クレアはパリにあるアンブレラ社の研究所に潜入しますが警備部隊に発見・拘束され、南米の孤島ロックフォート島にある私設刑務所に収容されてしまいます。

ロックフォート島編(前半)

投獄からほどなくして島が何者かの襲撃を受け、施設は壊滅、さらにT-ウイルスが漏洩して所内はバイオハザードの惨劇に見舞われます。

クレアは混乱の中で看守ロドリゴに解放され、同じく脱走した少年スティーブ・バーンサイドと出会い協力しながら島からの脱出を図ります。

島内は刑務所棟、訓練所、居住区(司令官官邸とその私邸)、飛行場など複数の施設に分かれますが、いずれもウイルス汚染によりゾンビやクリーチャーが徘徊し、脱出の妨げとなります。

探索の過程でクレアは通信端末から友人のレオン・S・ケネディ宛にメールを送り、自分の状況を兄クリスに伝えてもらうよう依頼。

その後、島を襲った謎の部隊を率いる人物として兄クリスの宿敵アルバート・ウェスカーと遭遇します。
ウェスカーこそが襲撃の首謀者であり、彼の目的は島に隠された「ある人物」の捕獲でしたが結果的にT-ウイルス流出を引き起こしていました。

ウェスカーは超人的な力でクレアをねじ伏せ命を奪おうとしますが、彼女がまだ利用価値があると判断しその場では見逃します。

やがて島の司令官である アルフレッド・アシュフォード がクレア達の前に立ちはだかります。
アルフレッドはアンブレラ創設者の一人である貴族アシュフォード家の当主を名乗る青年で、島の研究施設や軍隊を統括していました。

彼は何故かしばしば双子の妹アレクシアと入れ替わるように登場し、怪しい言動でクレア達を翻弄します。

幾度もの追撃を辛くも退けたクレアとスティーブは、島の空港から輸送機を奪って離陸に成功します。

しかしその飛行機は自動操縦によって南極にあるアンブレラ社の基地へ向かうようセットされていました。追いすがるアルフレッドを振り切りつつ、二人はそのまま南極基地へと赴くことになります。

南極基地編(中盤)

南極に不時着したクレアとスティーブは、基地内でも脱出手段を探すため手分けして探索を始めます。
ところがそこでも既にバイオハザードが発生しており、施設内はゾンビや未知のクリーチャーだらけの危険な状況でした。

クレア達は再び現れたアルフレッドと交戦し、彼を負傷させて撃退することに成功します。

瀕死のアルフレッドは最後の力で地下深く眠るカプセルの中の人物を目覚めさせますが、それこそ彼が慕い続けていた妹アレクシア・アシュフォードでした。

実はアレクシアは15年間コールドスリープ(冷凍睡眠)状態にあり、その間に自ら開発したT-ベロニカウイルスを自身の体に適応させ、人智を超えた存在へと“進化”を遂げていたのです。

目覚めた彼女は瀕死の兄アルフレッドを腕の中で看取ります。そしてクレア達の目前に謎の巨大触手生物(後にアレクシアが生み出した異形の生物と判明)が出現し、クレアとスティーブは辛くも雪上車で基地から脱出しようとしますが、その途上で触手に襲われ捕らえられてしまいます。

クリス編(後半)

一方、レオンからの緊急連絡を受けた兄クリス・レッドフィールドは、妹を救うべくロックフォート島へ単身乗り込みます。

しかし島は既に半壊しており、辛うじて残った施設を探索する中でクリスはウェスカーと再会します。
ウェスカーはクリスにも敵意を剥き出しにしますが、驚異的な力でクリスを排除しながらも最終的には相手にせず島に残された資料からクレアが南極へ行ったことを知ります。

ウェスカーは自らの目的(アレクシアの捕獲)のため一足先に南極へ向かい、クリスも島の格納庫にあったハリアー戦闘機で後を追います。

南極基地に到着したクリスはアレクシアの出迎えを受け、文字通り桁外れの怪力や炎を操る能力を目の当たりにします。

直後に偶然クレアとも再会し脱出を図りますが、妹を基地外へ逃した後、クリス自身はアレクシア討伐のため基地内に残る決意を固めます。

その頃、捕らわれていたスティーブはアレクシアによってT-ベロニカウイルスの実験台にされており、クリスを捜索していたクレアの前でついにウイルスが発症、スティーブは苦しみながら怪物化してしまいます。

怪物と化したスティーブは操られるようにクレアに襲いかかりますが、寸前で彼は自我を取り戻し、アレクシアの触手からクレアをかばって斬り裂きます。

しかし直後に触手の反撃を受けて致命傷を負い、人間の姿に戻ったスティーブは最期の力でクレアへの想いを告白し息を引き取ります。クレアはスティーブの亡骸を残し基地からの脱出を余儀なくされます。

最終決戦とエンディング

クリスは基地の奥深くでアレクシアと対峙し、彼女が3段階に異形進化しながら襲い来る激戦となります。

クリスは持てる武器を尽くして戦い抜き、ついに衛星軌道上から発射される対B.O.W.兵器「リニアランチャー」でアレクシアを完全に殲滅することに成功します。

その頃、アンブレラ社の研究成果であるT-ベロニカウイルス確保が目的だったウェスカーは、スティーブの亡骸からウイルス検体を回収し、基地自爆のタイマーが動作する中でクリスの前に再び姿を現します。

ウェスカーは宿敵クリスに報復すべく闘いを挑んできますが、クリスも施設内の鉄骨を崩落させるなど必死の抵抗で応戦します。

最終的にウェスカーは「今は生かしておいてやる」と捨て台詞を残して立ち去り、クリスは間一髪で駆け付けたクレアと合流し脱出ハリアーに乗り込みます。

飛び立つヘリの中で、クリスは「今度こそアンブレラを叩き潰す」と固く決意を述べ、こうして長く過酷な事件は幕を下ろしました。

エンディングでは、回収されたスティーブの遺体とウェスカーの不敵な笑みが意味深に描かれ、物語は次作以降へと伏線を残しています。

完全版で追加・変更された要素(シナリオ・演出・グラフィック等)

追加ムービーシーン

完全版ではストーリー上の演出強化として、新規ムービーや既存ムービーの延長が行われました。

特にアルバート・ウェスカー絡みの登場シーンが大幅に増加し、合計約9分もの映像が追加されています。

例えば南極基地での最終局面、変異したアレクシアとウェスカーが対峙するムービーでは、オリジナル版ではウェスカーが一蹴されて退場するだけだったのが、完全版では壁を蹴って残像が残るほどの高速移動で肉迫したり、炎をものともせず素手で殴りかかるなどウェスカーの超人ぶりが強調されています。

一連の戦闘は最終的にウェスカーが「ここは撤収だ」とクリスを囮に逃走する形で決着しますが、こうした追加演出によって彼のキャラクター性がより際立ち、後のシリーズ展開への布石ともなります。

その他、序盤のロックフォート島でクレアとウェスカーが初遭遇する場面や、クリスとウェスカーが島で再会する場面などにも新たなカットシーンや会話が追加され、物語全体のつながりが強化されています。

これらムービー追加に伴い、完全版の容量は増大しましたが、PS2版では大容量DVD-ROMのおかげでディスク1枚で収録できています(オリジナルのDC版はGD-ROMディスク2枚組)。ただしゲームキューブの『完全版』は2枚組となり、ディスク交換が必要でした。

キャラクターデザインの変更

完全版では登場キャラクターのデザインにも細かな変更が加えられています。

最も顕著なのがスティーブ・バーンサイドの髪型で、オリジナル版では前髪を真ん中で分けた少し野暮ったいセンター分けスタイルでしたが、完全版では自然な流し前髪の現在の髪型に修正されました。

当時この変更はファンの話題にもなり、「なぜ最初からこの髪型にしなかったのか」といった冗談交じりの声も出たほどです。

また一部モデリングやテクスチャも改善され、例えばクレアの顔立ちや衣服の質感が僅かに調整されるなど、当時の次世代機PS2の性能を活かした微修正が行われています(※ただし劇的なグラフィック向上ではなく、言われてみれば分かる程度の違い)。

アイテム配置・ゲームバランス調整

プレイ体験をよりスムーズにするため、完全版ではわずかながらゲームバランスの調整も図られました。

例えば、オリジナル版では見落としがちだったファイル「コード:ベロニカの報告書」(ハンクが書いたとされる資料)の配置場所が変更され、プレイヤーが入手しやすい場所に移されています。

また、ロックフォート島から南極へ向かう輸送機内での戦闘後に立ち寄る空港エリアにて、新たにショットガンの弾薬が1セット配置されるようになりました。
これは南極編での弾薬不足を緩和する配慮と考えられ、完全版における難易度調整の一例となっています。

さらに、前述のとおりドリームキャスト版のみ存在したVMU画面での体力表示機能は他機種では削除されており、その代わりにDC版完全版では新難易度「Very Easy」モードが追加されました。
Very Easyではゲーム開始時から無限ロケットランチャーが支給されるなど、初心者でも物語を楽しめるような大胆な救済措置が取られています。

このように完全版では随所に細かな変更が加えられていますが、シナリオ自体に大きな追加エピソードや分岐があるわけではなく、あくまで演出強化と遊びやすさの向上が中心です。

HDリマスター版での追加要素

2011年にはPS3/Xbox 360向けに『バイオハザード リバイバルセレクション』として本作完全版と『4』を収録したHDリマスター版が発売されました。

このHD版ではグラフィックが720p相当の高解像度に強化され(ムービーシーン部分を除く)、画面のアスペクト比も従来の4:3からワイドスクリーン(16:9)に変更されています。

背景テクスチャやUIもHD化されており、より鮮明な映像でプレイできるようになりました。また実績/トロフィー機能に対応し、例えば「ナイフ一本で特定ボスを倒す」といったチャレンジ項目が用意され、コアなファンには新たなやり込み要素となりました。

さらにオンラインランキングにも対応し、バトルゲームのクリアタイムなどをインターネット上で競えるようになっています。

基本的なゲーム内容はPS2版完全版と同一ですが、発売当時10年以上経過していたこともあり「操作系が古く感じる」といった指摘も見られました。

しかし「懐かしのサバイバルホラーを高精細で遊べる」と歓迎する声もあり、概ね往年のファンには好意的に受け入れられました。

なお、国内PS3版ではPS2アーカイブスとして完全版の配信(2012年)も行われていますが、こちらはHD化されていない当時そのままの内容です。

登場キャラクターと舞台設定・世界観

アシュフォード家と「コード:ベロニカ」計画: アンブレラ創設者の一つ、名門アシュフォード家の設定も本作の世界観の重要な柱です。

初代当主で天才科学者だったヴェロニカ・アシュフォードの血統を誇る一族でしたが、現当主である父アレクサンダー・アシュフォードの代で権勢が衰えていました。

アレクサンダーは一族再興のため、専攻していた遺伝子工学の知識を基に「ヴェロニカ再臨プロジェクト」を極秘裏に遂行します。
それが「CODE:Veronica」計画と呼ばれるもので、初代当主ヴェロニカの遺伝子をクローンによって甦らせようという壮大な試みでした。

計画は成功し、産まれたのが天才児アレクシアと、その双子の兄アルフレッドです。ただし双子のうちアルフレッドは「天才には及ばない出来」と見なされ父から蔑まれたため、それが彼の歪んだ人格形成に影響を与えています。

一方アレクシアは計画の産物として父からも特別視され、幼くしてウィルス研究に没頭する環境が与えられました。
その結果がT-ベロニカウイルスの開発と、前述の自己冷凍実験へと繋がります。

ちなみに父アレクサンダー自身も娘に対して密かに警戒しており、暴走した際に備えて対アレクシア用の切り札としてリニアランチャーを開発・隠匿していました(劇中クリスが入手する武器)。

CODE:Veronica」というタイトル名はこのヴェロニカ再臨プロジェクトのコードネームに由来しており、物語の背後にあるテーマとなっています。

主人公側と敵側の対比構造

本作の登場人物には興味深い対比関係があります。主人公側では「巨悪に立ち向かう兄と、それを追って戦いに身を投じる妹」(クリスとクレア)という構図ですが、敵側(アシュフォード家)では逆に「野望のため周囲を犠牲にする妹と、それを盲信して悪事に加担する兄」(アレクシアとアルフレッド)という鏡写しの関係になっています。

双方向の兄妹愛(きょうだいあい)の形が対照的に描かれており、物語に深みを与える要素となっています。また、対峙するクリスとウェスカーという因縁も含め、シリーズの集大成的な人間ドラマが展開されるのも本作の魅力です。

各発売地域の違い(発売日・売上・規制表現など)

発売日とタイトル名称の違い

『バイオハザード CODE:Veronica』はまず日本で2000年2月3日ドリームキャスト用ソフトとして発売されました。
北米版(Resident Evil Code: Veronica)は同年2月末~3月にかけて発売され、欧州では5月に発売されています。

その後の完全版(Biohazard Code: Veronica 完全版)は日本では2001年3月22日にDCとPS2で同時発売され、北米ではタイトルを “Code: Veronica X” に改め2001年8月22日にPS2版が発売、欧州でも9月にPS2版がリリースされました。

地域によるタイトルの違いとして、日本版はシリーズ共通で「バイオハザード」、海外版は「Resident Evil」の冠を用いている点は前作同様ですが、特に完全版については“Code: Veronica X”という名称が海外で使用されています(内容は同一)。

ゲームキューブ移植版(完全版)は日本では2003年8月に発売されましたが、北米では2003年12月、欧州では2004年3月と地域差がありました。

さらに2011年のHDリマスター版配信は、日本が9月8日、北米と欧州は同月下旬となっています。

プラットフォームエディション/版発売日備考
ドリームキャスト (DC)オリジナル版2000年2月3日初出の完全3D版
ドリームキャスト (DC)完全版2001年3月22日イベントシーン追加
PlayStation 2 (PS2)完全版2001年3月22日DC完全版と同日リリース
PlayStation 2 (PS2)完全版(カプコレ:廉価版)2003年8月7日カプコンコレクション廉価版
ニンテンドー ゲームキューブ (GC)完全版2003年8月7日一部ポリゴンモデルをGC向けに改良
PlayStation 2 (PS2)完全版 プレミアムパック2006年8月24日オリジナルサウンドトラックCD同梱
PlayStation 3 (PS3)HDリマスター版
(リバイバルセレクション収録)
2011年9月8日720p対応/『4』と同時収録
Xbox 360 (X360)HDリマスター版
(リバイバルセレクション収録)
2011年9月8日720p対応/『4』と同時収録
PlayStation 3 (PS3)完全版ダウンロード版2012年3月13日リバイバルセレクションと同内容
Xbox 360 (X360)完全版ダウンロード版2012年3月13日リバイバルセレクションと同内容
PlayStation 2 (PS2)PS2アーカイブス版(PS3配信)2012年7月25日PS2版そのままのダウンロード配信
PlayStation 3 (PS3)PS2アーカイブス版2012年7月25日PS2アーカイブスと同時配信
PlayStation 4 (PS4)PS2 Classics2017年5月9日(北米)
2017年5月10日(欧州)
高解像度化/トロフィー・リモートプレイ対応
日本国内未発表
Xbox 360 (X360)後方互換対応2019年2月22日Xbox One/Series X|Sで動作
PlayStation 3 (PS3)PS Now提供タイトルストリーミング/配信
PlayStation 4 (PS4)PS Now提供タイトルストリーミングのみ(DL非対応)
PC2023年時点で未発売

売上本数の違い

日本国内ではDC版オリジナルが発売直後にヒットを記録し、約46.7万本(集計期間により異なるが約40万本超)を売り上げました。

これはドリームキャスト歴代ソフト売上ランキングの1位に位置し、セガハードにおける大きな成功例となっています。

一方、北米におけるDC版『Code: Veronica』の売上は約45万本と推定されており、当時の北米DC市場では良好な部類でしたが、シリーズ従来作(PS1時代の『2』や『3』)と比べるとやや控えめでした。

しかし、DC自体の普及台数を考慮するとこの実績は健闘と言え、同時期発売の話題作『シェンムー』を初週で上回る売上を記録するなど健闘しました。

PS2版『Code: Veronica X(完全版)』は北米で約90万本(2006年時点累計)に達し、全世界累計では約140万本を販売しています。
これにDC版オリジナルの全世界約114万本を合計すると、累計約254万本が販売された計算になり、これは『バイオハザード4』を上回る数字として当時話題になります。

日本ではPS2版完全版は約33.9万本と報告されており、ハードの普及度からするとDC版より若干控えめですが、移植・廉価版含めロングセラーとなっています。

欧州での正確な販売数は公表されていませんが、欧州全域でも数十万本規模で売れたと推測され、特にイギリスなど一部地域ではホラーゲームファンから支持を得ました。

表現規制やゲーム内容の差異

本作において日本版と海外版で大きな表現の差はありません。

音声は元々英語音声で制作されており(日本語字幕付き)、ゾンビのグロテスク表現なども各国版ほぼ共通です。

ただし一点、ショットガンで敵の頭部を吹き飛ばす描写が抑制されているというシリーズ内での特徴があります。

前作まで海外版ではショットガン至近距離でゾンビの首を破壊できるゴア表現がありましたが、本作では日本・海外版問わず敵の首飛び破壊が起きない仕様となっています。

この理由は明言されていませんが、当時の表現レーティングに配慮し全世界で統一仕様とした可能性があります。

結果として日本版も含め頭部欠損などの過激な描写は抑えめとなり、CEROレーティングはD(17才以上対象)に収まっています。

そのため「国内版だけ血の色が緑」というような地域差もなく、安心して世界共通の内容を楽しめます。

地域ごとのプロモーションなど

日本ではDC版発売時、限定グッズ同梱の「完全版プレミアムパック」や公式攻略本「解体真書」などが販売され、根強いシリーズファンを中心に盛り上がりを見せました。

北米ではPS2版発売時に『Devil May Cry』の体験版ディスクが同梱されるプロモーションが行われ、新規ユーザー獲得に一役買います。

欧州でも各ゲーム誌で大きく取り上げられ、特にイギリスでは「Dreamcast最後の大作」として注目を浴びました。

当時セガのDC撤退が噂される中、本作がPS2へ電撃移植されたことは日本国内で議論を呼び、「独占と謳ったのに裏切りでは」とファンの批判もありました。

しかし結果的により多くのプラットフォームで遊べるようになり、今日ではシリーズの名作として各地域で親しまれています。

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発売後の評価・ファンの反応とシリーズへの影響

批評家の評価

『CODE:Veronica』発売当初の評価は概ね高く、ゲームメディアからは「シリーズの集大成」「物語性とボリュームがシリーズ随一」と賞賛されました。

特に長編ストーリーによるドラマ性や完全3D化したグラフィック、重厚なBGMなどが好意的に受け止められています。

一方で批評家の中には「操作系やゲームデザインが旧世代的」と指摘する声もあり、ラジコン操作や固定カメラ的な戦闘に慣れていない新規プレイヤーからは古臭さを感じるとの意見もありました。

しかし総合的にはDreamcast版は海外メディアのGameSpotで年間ベストアドベンチャーゲーム賞を獲得するなど国際的にも評価が高く、翌年のPS2版も「依然として傑作」と肯定的に受け止められます。

売上的にも上述の通り健闘し、カプコンの想定を上回る利益を上げたとされています。

ファンコミュニティの反応

発売後、国内外のバイオハザードファンからは熱狂的な支持を受けました。

特に日本のファンの間では「ナンバリングに匹敵するストーリーの重要作」として評価が高く、2022年に実施されたシリーズ人気投票では本作『コード:ベロニカ』が堂々の第1位(得票率18.2%)に輝いています。

この結果は、『4』や近年の『7』を抑えてのトップであり、発売から20年以上経った今なお本作が根強い人気を持つ証拠と言えます。

ファンからは「クレアとクリスの兄妹共闘が胸熱」「悪役のインパクトがシリーズ随一」「難易度が高めで歯ごたえがある」などの声が寄せられ、考察コミュニティでもアシュフォード家の悲劇やウェスカーの暗躍などが語り草となりました。

また、一部ファン有志による非公式リメイクプロジェクトが立ち上げられるほどで(最終的に版権の都合で中止)、「コード:ベロニカを最新技術でリメイクしてほしい」という要望が世界中のファンから現在も挙がっています。

カプコン公式もその声は認識しているものの、2023年時点でリメイク版の計画は無いと明言しており、ファンはヤキモキしながら続報を待っている状況です。

シリーズ全体への影響

本作はナンバリングこそ付いていないものの、『1』~『3』の延長線上にある正統続編として物語の大きな節目を形成しました。

まず、本作で復活したアルバート・ウェスカーは以降『4』『5』へとシリーズの黒幕的存在として君臨し、彼が奪取したT-ベロニカウイルスは派生作品『ダークサイドクロニクルズ』などで物語に絡んでいきます。

主人公クレアも本作以降は長らく本編登場がありませんでしたが、シリーズスピンオフやCG映画で再登場しファンの人気を保ち続けています。

ゲームシステム面では、本作の完全フルポリゴン化と演出強化が後の『4』での大幅なゲーム性刷新への橋渡しとなり、カメラ演出の進化という点で一つの到達点となりました。

さらに、当時物議を醸した他ハードへの移植展開(DC→PS2)は結果としてシリーズの裾野を広げ、カプコンがマルチプラットフォーム戦略へ舵を切る嚆矢(こうし)ともなりました。

総じて『CODE:Veronica』は、シリーズ黎明期(三上真司氏の作品群)の締めくくりに位置する作品であり、物語上もゲーム技術上も次世代への転換点として重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

現在でもシリーズファンの間で語り草になる名シーンや設定が多く、リメイクや新作への期待と共に、その存在感は色褪せていません。

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