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『From TV animation ONE PIECE グランドバトル!』は、2001年3月15日にバンダイよりPlayStation用ソフトとして発売された、尾田栄一郎氏原作のテレビアニメ版『ONE PIECE』を題材とした初の対戦アクションゲームです。
開発はガンバリオンが担当し、デフォルメ調の3Dポリゴンキャラクターでアニメの世界観を忠実に再現しています。
日本国内で約46万本を出荷し、PlayStation Awards 2002でゴールドプライズ賞を受賞しました。本作は以降の『グランドバトル!』シリーズの基礎を築いた記念碑的作品です。
欧州でもPlayStation向けにローカライズされ発売され、海外のファン層も獲得しています。
主題歌にはアニメ初代オープニングテーマ「ウィーアー!」が使用され、作品の世界観をより盛り上げています。
プレイ人数は1~2人対応で、メディアはCD-ROM1枚です。対象年齢はCERO A(全年齢対象)となっています。
定価は6,090円(税込)でした。
基本情報・発売背景

項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | From TV animation ONE PIECE グランドバトル! |
発売日 | 2001年3月15日 |
対応ハード | PlayStation(PS) |
ジャンル | 対戦アクションゲーム |
プレイ人数 | 1~2人 |
価格 | 5,800円(税別) |
開発元 | ガンバリオン |
発売元 | バンダイ |
メディア | CD-ROM1枚組 |
対象年齢 | CERO A(全年齢対象) |
販売実績 | 推定約46万本(国内) |
受賞 | PlayStation Awards 2002 ゴールドプライズ(50万本以上出荷) |
前年にはバンダイからワンダースワン用ソフト『めざせ海賊王!』が発売されていましたが、据置機で原作のバトルを体験できるタイトルとして大きな注目を集めました。
開発を手掛けたガンバリオンは本作がデビューに近い作品であり、その後も『ONE PIECE』ゲームシリーズを数多く担当することになります。
アニメの放映開始(1999年)から間もないタイミングでリリースされた本作は、アニメ版の声優陣を起用したフルボイスや主題歌「ウィーアー!」の採用など、メディアミックス戦略の一環として原作ファンに強くアピールする内容でした。
また、「夢の対決!」「因縁の対決!」を再現するイベントバトルモードを搭載し、原作で実現しなかった組み合わせの対戦も楽しめるよう工夫されています。
発売当時のゲーム雑誌やユーザーレビューでも「原作愛あふれるキャラゲー」として話題となり、「グラバト」の愛称で親しまれるシリーズの礎を築きました。
ゲームシステムの詳細
ジャンル・基本ルール
ONE PIECE グランドバトル!』は1対1の対戦型アクションゲームです。
プレイヤーはデフォルメされた3Dポリゴンキャラクターを操作し、○ボタン一つのシンプルな攻撃操作と方向キーの組み合わせや連打で多彩なコンボを繰り出せます。
各キャラクターは固有の必殺技を持ち、HPが一定以下になるとより高威力の必殺技が解禁され、使い放題になる独自仕様を採用しています。
必殺技を発動するには、必殺技ボタンを押してキャラクターが光っている間にコマンドを入力し、「打撃系」「投げ系」「タメ系」「手下召喚系」「カウンター系」といった始動アクションを相手に当てる必要があります。
対戦ステージは「シロップ村の海岸」や「バラティエ」など原作の名所を再現し、海場でのリングアウト要素やギミック満載のギミックによって戦略性が高められています。
ステージ上のタルや木箱、宝箱を壊すとHP回復や攻撃力アップなど多彩なアイテムが出現し、一部は触れるとダメージを受けるトラップ要素もあります。
ゲームモードは、大きく「イベントバトル」と「グランドバトル(対戦)」の2つが用意されています。
イベントバトルモードではCPU6人抜きに挑み、戦闘前後にフルボイスの会話イベントが挿入されるため、原作キャラ同士の掛け合いを楽しみながら進行できます。
一方、グランドバトルモードは2P対戦にも対応し、制限時間やアイテム出現率など細かなルール設定が可能です 。対戦の勝利条件は、相手の体力をゼロにするか、制限時間内により多くダメージを与えることで決定します。このように、『グランドバトル!』はシンプルな操作性と豊富な戦略要素を両立させ、シリーズ初作として多くのファンを獲得しました。
キャラクターと必殺技システム
プレイヤーキャラクターは原作序盤(東の海編~グランドライン序盤)までの人気キャラクターが網羅されています。
初期状態で使用可能なのは麦わらの一味(ルフィ、ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ)の5名と、主要敵キャラ5名(バギー、クロ、クリーク、アーロン、アルビダ)の合計10名。
さらにイベントバトルの特定条件を満たすことで隠しキャラクター6名が順次解放され、最終的なプレイアブル数は16名となります。
隠しキャラには、原作ファン垂涎の強豪キャラである「鷹の目のミホーク」や「赤髪のシャンクス」が登場し、他にもローグタウン編の海軍士官スモーカー&たしぎ、バロックワークスのミス・ウェンズデー(ネフェルタリ・ビビ)、そして尾田栄一郎氏の遊び心から生まれたマスコット的存在パンダマンまで含まれています。
パンダマンのように原作では戦闘描写皆無のキャラについては技が全てゲームオリジナルとなっている点もユニークな所です。
各キャラクターはステータス能力(攻撃力・防御力・素早さ)が異なり、原作の設定に沿って性能に差がつけられています(例:ルフィは攻撃A/防御B/素早さCとバランス型、ウソップは攻撃E/素早さAだが防御低めなど。
通常攻撃は○ボタン主体ですが、ゲームの花形となるのがキャラクター固有の「必殺技」です。各キャラ最大3種類の必殺技を持ち、体力が減少するほど高レベルの必殺技を使えるようになる逆転要素があります。
必殺技はL1またはR1ボタンで発動準備(キャラが発光)を行い、その間に特定コマンドを入力すると発動します。例えばルフィなら残りHPに応じて「ゴムゴムの戦斧」(Lv1)や「ゴムゴムの銃乱打」(Lv3相当)といった原作再現技を繰り出せます。
必殺技のコマンド入力後は「始動アクション」と呼ばれる予備動作が発生し、これが相手にヒットすると演出付きの必殺技が決まります 。
始動アクションには以下の5タイプが存在し、キャラごとに設定されているのも特徴的です。
- 打撃系:武器や肉弾で攻撃するシンプルな始動。ガード中の相手にも削りダメージを与えま。例:ゾロ「三千世界」(タメ系との併用)。
- 投げ系:超接近状態でつかみ攻撃を行う始動。相手がガード中でも掴めるため決まれば有利です。例:ルフィ「ゴムゴムの鐘・鞭・銃弾・銃乱打(4連コンボ)」(Lv2)。
- タメ系:コマンド最後のボタン長押しで威力や射程が変化する始動。ヒット時は大ダメージを与えます 。例:アーロン「キリバチ大回転」(Lv2))。
- 手下召喚系:部下キャラを呼び出し攻撃させる始動。召喚中も自分は動けます。例:バギー「召喚カバジ、モージ&リッチー」(Lv1)。
- カウンター系:相手の攻撃を受けると自動的に反撃が発動する始動。タイミングが難しい上級者向けです。例:ナミ「いただきハリケーン」(Lv1)。
必殺技は体力さえ条件を満たしていれば外しても何度でも再チャレンジ可能で、ゲージ消費などの制約はありません(シリーズで無制限に出し放題なのは本作のみの特徴)。そのため劣勢のプレイヤーほど強力な必殺技を何度も狙える逆転劇が起こりやすく、常に緊張感のある試合展開となります。
ただし必殺技ばかり狙っても上手く当たらないよう調整されており、通常攻撃と必殺技を使い分ける戦略が重要です。
ゲームバランス面では、例えば投げ系必殺技は非常に強力で相手は安易にガードできなくなる一方、カウンター系必殺技は発動中に体が光る演出のせいで相手に読まれやすいという長短があり、キャラ性能の差につながっています。
実際、本作の対戦バランスは「キャラゲーとしてはマシな方」という評価で、隠し最強クラスのシャンクスやミホークは“原作再現とはいえチート級”と評される強さを持つものの、他キャラでも立ち回り次第で十分勝機がある程度には調整されている所も面白い点といえます。
ステージとギミック演出
バトルステージは原作でおなじみのロケーションが採用されており、全部で6種類が用意されています。
例として「バラティエ(海上レストラン)」、「アーロンパーク」、「ローグタウン」「双子岬(ラブーンのお腹の中)」などが登場し、それぞれにユニークなギミックがあります。
各ステージの多くには海や水辺のエリアがあり、そこにキャラクターが落下するとダメージを受けてしまいます。特に「ラブーンのお腹の中」は胃酸の海が広がっており、悪魔の実の能力者か魚人かに関係なく全キャラが大ダメージを受ける超危険なエリアとなっています 。
水中に落ちた際のダメージ量はキャラクターの種族により変化し、原作設定通り悪魔の実の能力者はダメージ2倍(カナヅチ設定)という細かい再現がなされています。
一方で魚人族であるアーロンのみは水に落ちてもダメージを受けず、逆に水中から相手へ反撃攻撃を繰り出すことができます。
このためアーロン使用時は水辺での攻防で大きな優位性を発揮でき、原作さながらの強みが表現されています。
ステージ背景にはドット絵調で原作キャラクターの観客や脇役が描かれており、例えばバラティエならギン、アーロンパークならはっちゃん達が背景に登場しています。
さらに一部キャラの手下召喚系必殺技では、この背景キャラを実際に呼び出して攻撃させる演出があります。召喚された背景キャラは攻撃中だけ背景から姿が消え、攻撃終了後に元の位置に戻るという芸の細かい処理がされており、画面上に同一人物が二重に存在しないよう巧みに演出されています。
例えばクリークの必殺技でギンを召喚すると、背景にいたギンのドット絵が一旦消えてから攻撃に現れ、終了後に背景に戻るといった具合です。こうしたステージ演出は原作ファンに「ニヤリ」とさせる小ネタが満載で、ゲームプレイを盛り上げる要素になっています。
グラフィック・音声演出
グラフィック面では、キャラクターはデフォルメ体型(2頭身程度)の3Dポリゴンモデルで表現されています。
当時のPSの性能上、精細な等身キャラモデルの再現は難しかったため意図的にコミカルな SDキャラにすることでポリゴン数を抑えつつ動きを見やすくしています。
背景やステージは基本的に2Dスプライトとシンプルな3Dオブジェクトで構成され、色鮮やかでアニメ調の雰囲気を演出しています。
本作のポリゴンキャラは口パク(口の開閉)表現がなく、モーションも現在の基準では簡素ですが、その分カメラアングルの切り替えやエフェクトで迫力を補っています。
特に必殺技発動時には固定カメラからキャラのアップに切り替わり、原作の名台詞を叫ぶ演出や一枚絵カットインなどで演出面を強化する工夫がされています。
「ゴムゴムの銃乱打」のフィニッシュでは漫画のコマ風演出が挿入されるなど、ポリゴン表示の限界を演出アイデアで補っている点は評価されています。
音声面では、主要キャラクターのボイスは全てTVアニメ版の声優が担当している点が大きな魅力です。
ルフィ役の田中真弓、ゾロ役の中井和哉をはじめ当時のアニメ出演者が総出演しており、敵キャラ側もバギー役の千葉繁、アーロン役の小杉十郎太、ミホーク役の青野武、シャンクス役の池田秀一など豪華な顔ぶれです。
イベントバトルのストーリーデモではフルボイスの掛け合いが楽しめ、ゲームオリジナルの会話劇も公式さながらのクオリティと評判でした。
「コンティニュー時」ですら各キャラ固有の掛け合いボイスが用意されており、例えば負けて再挑戦する際にルフィとゾロが励まし合うような台詞が入るなど、ファンには嬉しいサービス精神が光ります 。BGMや効果音も原作の冒険心をくすぐる軽快な曲調が中心で、主題歌にはTVアニメ初代OP「ウィーアー!」のインストゥルメンタル版がゲーム内で使用されています。さらにオープニングには描き下ろしアニメーションが使われており、ルフィたち麦わらの一味が海賊船上で大暴れする映像に「ウィーアー!」が流れる演出は原作ファンの心を掴みました 。
エンディングでは同曲のフルサイズ音源も聴ける構成になっており、ゲームクリアの余韻を盛り上げています。
技術的制約と工夫
本作はPS1後期の作品であり、ハード性能の制約に対して様々な工夫が凝らされています。
まず上述したSDキャラ造形は、限られたポリゴン数でもキャラクターの特徴をデフォルメで誇張することで識別しやすくするとともに、動作も軽快に見せる狙いがありました。
モデルのモーションはシンプルながらも攻撃のリーチや当たり判定が分かりやすく調整され、処理落ち(フレームレート低下)もほとんど感じさせない安定した動作を実現しています。
2頭身キャラのおかげで複雑な関節アニメーションを避けられ、メモリ消費を抑えつつフルボイスの音声データを収録できたと推測されます。
実際、ゲームディスク内には音楽CDプレイヤーで再生可能な隠しボイストラックが仕込まれており、ジャンゴとルフィの掛け合いトークを聞くことができます。容量ギリギリまでボイスを収録した証とも言えるでしょう。
必殺技演出では、先述のようにポリゴンモデルの表情変化が乏しい分をカメラワークで補完しています。
例えばサンジの奥義ではカメラを足元アップ→蹴り上げ→遠景の連続に切り替えてスピード感を演出し、ゾロの居合い技では一瞬暗転してから一閃が入るなど、映像的なメリハリで迫力を出す工夫が随所に見られます。
これらの演出はポリゴンキャラの口が動かない制約を逆手に取り、セリフ音声に合わせてカメラを切り替えたりエフェクト(光や衝撃波)を被せたりすることで違和感を感じさせにくくしています。
また背景演出の細かさも特筆すべき点です。前述の手下召喚システムでは、同じキャラが二重に表示されないよう背景ドットを消す処理を入れるという凝った演出を実装しつつ、2D背景と3Dキャラの融合を自然に見せています。PS1世代では背景スプライトのON/OFF制御は比較的低コストで行えるため、このアイデアで演出面のクオリティを上げながら性能負荷をほぼ増やさないという巧みなバランスをとりました。
一方で、限界による制約部分も存在します。同キャラクター対戦(ミラー対戦)は隠しコマンドを入力しないと解禁されず、基本的に同じキャラ同士は戦えない仕様になっています。
これは当時のキャラゲーでは珍しくありませんが、ファンから見ると「好きなキャラ同士の夢の対決」が制限される点でもあり賛否を呼びました。また一部キャラの手下召喚技について、例えばアーロンは3種類の部下(はっちゃん、クロオビ、チュウ)をランダムで呼び出しますが、どの部下が来るかプレイヤー側で選べない仕様でした(但し、隠しコマンドあり)。このランダム要素は戦略に影響を及ぼすため不評で、続編『グランドバトル!2』では召喚キャラを選択可能に改善されています。
ゲームボリュームの面でも、キャラクター16名・ステージ6つという内容は決して少なくはないものの、原作の範囲が東の海編まで(グランドライン突入直前)という限界もあって「もう少し遊び込み要素が欲しかった」との声もありました。
隠しキャラを全員出現させてしまうとその後のやり込みが薄く感じられる点は、本作がシリーズ第1弾ゆえ致し方ない部分とも言えます。これらの制約はあるものの、総じて本作はPS1というハードの枠内で原作再現とゲーム性の両立を高いレベルで実現しており、技術的にも工夫が光るタイトルでした。
ユーザー評価とレビュー
発売当時、本作は「キャラクターゲームとして上出来」との評価を受けました。専門誌のクロスレビューでは派手さや奥深さに欠ける点を指摘されつつも、原作ファンが気軽に楽しめる対戦アクションとしておおむね好意的に受け取られました。特にシンプルなゲームシステムは初心者にも敷居が低く、「スマブラから必殺技を抜いたような手軽さで遊べる」と評されています。
通常攻撃が○ボタンのみという割り切った操作体系は「さすがに少なすぎるのでは」との意見もありましたが 、そのシンプルさ故に誰でもすぐ遊べる間口の広さを生み出し、家庭や友人同士でワイワイ盛り上がるパーティゲーム的な楽しみ方にマッチしました。
また、アニメ声優による豪華フルボイスやイベント戦の細やかな掛け合い演出はファンから絶賛され、原作愛に溢れた作り込みが感じられると高評価でした。
「悪魔の実の弱点をゲームシステムに反映」した水中ダメージや魚人の特性など、細部のこだわりにも原作ファンは拍手を送りました。必殺技の演出も当時としては迫力十分で、「○○(キャラ名)の必殺技カットシーンを見るだけでご飯3杯いける」といった熱狂的な声もあったほどです。
一方で課題点や賛否両論もいくつか挙げられています。
まずゲーム性について「いくらなんでもシンプルすぎる」という指摘があります。通常攻撃が地上コンボ以外乏しく、空中戦が弱いため単調になりがちだという意見や、必殺技発動時にキャラが光るエフェクトのためカウンター技が読まれやすく決めづらいなど、上級者目線では物足りない点が指摘されました。
また、キャラクター間の性能差も完全なバランス型とは言えず、隠しキャラのシャンクスやミホークの強さが突出していることから「隠しキャラ無双」と揶揄する声もありました(もっとも、この二人は原作での戦闘描写が少ないため技の大半がオリジナルになっていることも話題になっています)。
ただし「キャラゲーとしてはマシなレベル」「絶望的なほどの差ではない」とのフォローもあり、致命的なゲームバランス崩壊には至っていません。
もう一点、隠しコマンドはありつつも「同キャラ対戦不可」「手下のランダム選択」などインターフェース面の不親切が惜しいとされました 。これらは次作以降で改善されたものの、本作では説明書に記載のない隠しコマンド扱いだったため一部ユーザーしか機能を知らず、不満を残す結果となりました。
総合的に見て、本作は「ファン同士で集まって遊ぶにはシンプルで良いが、やり込み派には薄味」との総評がなされています。
ゲーム部分そのものに突出した欠点はないものの、対戦格闘ゲームとしての深みは控えめで、長期的なプレイよりは友人との対戦や原作の追体験を楽しむ用途に向いているという評価です。しかし裏を返せば原作ファンがライトに楽しむゲームとしては満足度が高く、発売当時のユーザーからは「原作再現度の高さと手軽な爽快感で十分楽しめた」との声が多く聞かれました。
実際、後年になって本作をプレイしたユーザーからも「今でも色褪せない良作」「シンプルだからこそ懐かしく何度でも遊べる」といった再評価も見られます。Amazonのユーザーレビュー(2015年投稿)でも「昔遊んでいたが今プレイしてもとても良い作品」という声があり、レトロゲームとして一定の評価と人気を保っている**ことがうかがえます。
アニメ原作との連動性・再現度
『ONE PIECE グランドバトル!』はタイトルに「From TV animation」と冠する通り、アニメ版『ONE PIECE』との連動性を強く意識した作品です。
登場キャラクターや設定は基本的にアニメ準拠で、ゲーム内で使用されているロゴやBGMアレンジもテレビシリーズの雰囲気を踏襲しています。プレイヤーキャラ選択画面のイラストやイベントパートの演出もアニメ絵柄に近く、原作漫画のコマではなくアニメのカットを意識したビジュアルが多用されています。
最大の連動ポイントはやはり声優陣と主題歌です。前述のように主要キャラのボイスは当時のテレビアニメと同じキャストが担当しており、ゲームオリジナルの掛け合いも違和感なく「アニメの新作エピソード」を見ているかのように楽しめます。
例えばイベントバトルでルフィVSアルビダをプレイすると、田中真弓さんと松岡洋子さん(アルビダ役)の新録ボイスで原作序盤の再現バトルが展開され、ファンにはたまらない内容です。
ストーリーモード自体は必ずしも原作通りの順番ではなく、選んだキャラによって戦う相手が変化しますが、その中で「因縁の対決」を再現する場面もしっかり用意されています 。例えばゾロでプレイすると原作で果たせなかった鷹の目ミホークとの決着をつける戦いが最後に用意されていたり、ナミでプレイするとアーロンとの宿命の対決がクライマックスになるなど、各キャラに応じたドラマが演出されています(勝敗にかかわらずイベントは用意)。こうした夢のカードをボイス付きで楽しめるのは、テレビアニメ版のゲーム化作品ならではと言えます。
原作ストーリーとの時系列的な整合性にも配慮が見られます。例えば本作発売当時、アニメではまだビビ(ミス・ウェンズデー)の正体が完全には視聴者に明かされていませんでした。
そのためゲーム中ではビビを「ミス・ウェンズデー」名義の隠しキャラとして登場させ、終始バロックワークスの一員として振る舞うよう設定されています。
これは原作で後に仲間になるビビの立ち位置をネタバレしないようにするための措置で、ゲーム上でも敵キャラクター扱いのままです(次作『グランドバトル!2』で正式に「ネフェルタリ・ビビ」として登場し、台詞や技が変更されています。
このように当時のアニメ進行に合わせてキャラの扱いを調整している点からも、アニメ版との連携がうかがえます。また細かな点ですが、ステージ背景の観客キャラもアニメに登場した色彩設定やデザインが元になっており、例えばココヤシ村の村人たちや海軍兵たちの衣装カラーなどはアニメ準拠になっています。悪魔の実の能力者は水に弱いという設定反映や、はたまたパンダマンのような原作作者の遊びまで拾ってキャラ化するサービス精神など、原作・アニメ双方へのリスペクトが感じられる仕上がりです。
さらに、主題歌「ウィーアー!」の起用も大きな連動ポイントです。
当時のアニメOPテーマであった同曲は『ONE PIECE』の代名詞とも言える存在で、本作ではオープニングムービーおよびスタッフロールに使用されています。
ゲーム用に新規制作されたOPムービー(ルフィたちが宝を巡って大乱闘する内容)は、アニメ制作陣の協力のもと作られており、テレビシリーズさながらのクオリティでした。ルフィ役の田中真弓さんがナレーションで「グランドバトル、開始!」と煽る演出から主題歌が流れ出すOPは、ファンに強烈な印象を残しました。こうした演出により、プレイヤーはまるでアニメの延長線上で自分が冒険やバトルを体験しているかのような没入感を得られます。本作の成功には、このアニメ連動の巧みさが大きく寄与したと言えるでしょう。
発売当時の市場における位置付け
2001年当時、『ONE PIECE』は漫画・アニメ共に人気急上昇中のコンテンツであり、本作はその初の据置機ゲームとして期待を一心に集めていました。
発売元のバンダイはかねてより『ドラゴンボール』『セーラームーン』『ガンダム』など数々のキャラクターゲームを手掛けており、「原作人気=売上」という黄金パターンを狙ったタイトルを多くリリースしていました。
しかし1990年代後半には、一部で「キャラゲー=低品質」の悪循環が指摘される状況もあり、ジャンプ作品のゲーム化においても品質向上が課題となっていました。
そのような中で登場した本作『ONE PIECE グランドバトル!』は、原作再現度とゲームの遊びやすさを両立することでユーザーの支持を集め、結果的に出荷本数50万本超えというヒットを記録します。
この実績はキャラゲーに対する不信を払拭し、後のジャンプ原作ゲーム(例えば翌年発売の『ドラゴンボールZ』ゲームシリーズや『NARUTO -ナルト-』ゲームなど)の制作にも好影響を与えたと考えられます。
当時のPS市場では、他社からも様々なアクション・格闘ゲームが発売されていました。同年にはカプコンの『CAPCOM VS. SNK 2』やコナミの『遊☆戯☆王 真デュエルモンスターズ』など話題作が並ぶ中で、本作は低年齢層やファミリー層にも訴求するタイトルとして一定の地位を築きました。
PlayStationというハード自体が末期とはいえ依然圧倒的な普及台数を誇っており、特に小中学生ユーザーにはPS2よりPS1が行き渡っていた時期でもあります。
そのためバンダイはあえてPS1で本作を発売し、大きな市場にリーチできました。また競合する同ジャンルタイトルが少なかったことも幸いしました。
任天堂の『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズがN64で成功を収めていましたが、PSには4人対戦乱闘ゲームが少なく、本作は2人対戦ながらアイテムありステージギミックありのライト向け対戦アクションとして差別化できました。
さらに『ONE PIECE』という当時急伸していたIPの魅力が加わり、バンダイの戦略的中と言える販売成績を収めたのです。
販売面での成功は具体的な数字にも表れています。本作の国内売上は約46万本と推定されています。
これは翌年発売のPS2大作RPG『ファイナルファンタジーX』などには及ばないものの、PS1ソフトとしてはトップクラスの実績で、2001年度のキャラクターゲームとしては最高クラスの売上でした。
当時のPlayStation Awardsでは前述の通りゴールドプライズ(50万本以上)を受賞し、これは同賞で『ONE PIECE』ゲームが初めて表彰された例となりました (多数のクリエイターに賞賛の拍手が贈られた「PlaystationAwards2002」レポート – 電撃オンライン)。
以降、続編の『グランドバトル!2』も同賞を連続受賞するなどシリーズとして確固たる地位を築いていきます 。
バンダイにとっても、本作の成功は大きな意味を持ちました。『ONE PIECE』という新世代のヒットコンテンツをゲーム事業で掴んだことで、従来の『ガンダム』『ドラゴンボール』に続く柱を得た形です。
実際、バンダイは2005年にナムコと経営統合してバンダイナムコゲームス(現エンターテインメント)となりますが、その後も『ONE PIECE』ゲームを継続的に展開する戦略を取っています。
2014年までに「グランドバトル」「ギガントバトル」シリーズの国内累計出荷本数は250万本を突破したとされ、それだけ息の長いシリーズとして成長しました。
2001年当時の市場では、まさに「次代のキャラゲーの代表格」として本作が位置付けられ、以降のバンダイのキャラクターゲーム展開に大きな影響を与えたと言えるでしょう。
後続作品への影響
『ONE PIECE グランドバトル!』はヒットを受けてシリーズ化され、翌2002年には早くも続編『ONE PIECE グランドバトル!2』(PS)が発売されました。
『2』ではアラバスタ編までのキャラクターが追加参戦し、総勢24名ものプレイアブルキャラが登場します。
新たにチョッパーやエース、クロコダイルといった人気キャラが加わり、前作キャラも含めてイベントバトルの会話や必殺技演出が強化されました。
売上も前作を上回る約55万本を記録、こちらもPlayStation Awardsゴールドプライズを受賞し、その後シリーズはハードをPS2に移行し、2003年に『グランドバトル!3』、2005年に『グランドバトル! RUSH』(グランドバトル4に相当)が発売。
シリーズを重ねるごとに登場キャラクターやステージ、ゲームモードが充実し、原作の進行に合わせて頂上戦争編あたりまでがゲーム化されました。日本国内のみならず欧州にも本シリーズは展開され(実はガンバリオン公式によれば本作は欧州でも発売されたとのこと、海外ファンにも楽しまれています。
時が経ち2014年、ニンテンドー3DS用ソフト『ワンピース 超グランドバトル!X』がリリースされました。これは久々に「グランドバトル」の名を冠したシリーズ最新作であり、Newワールド編まで含む総勢85キャラ以上が登場する大作でした。
amiibo連動など新要素も取り入れつつ、ローカル4人対戦にも対応するなどシリーズの集大成的内容となっています。2001年から続くグランドバトルシリーズの累計出荷本数は2014年末時点で国内250万本を超えており、その礎を築いた初代『グランドバトル!』の功績は大きいと言えます。
加えて、ガンバリオンは本シリーズ以外にも『ONE PIECE』ゲームの開発を多数手掛けており、例えばアクションアドベンチャーの「アンリミテッド」シリーズ(Wii/PS3等)やオープンワールドアクション『ワールドシーカー』(2019)など、様々なジャンルで原作ゲーム化に挑戦しています。その意味で、本作で培われた原作再現の姿勢とゲームデザインは後の作品群にも受け継がれていると言えるでしょう。
また、『ONE PIECE グランドバトル!』が評価されたシンプルかつ爽快な対戦アクションという路線は、他の作品にも影響を与えました。バンダイナムコは本作以降も他のジャンプ作品で類似の対戦アクションを展開しており、例えば『ナルティメットヒーロー』(NARUTO)シリーズや『ドラゴンボールZ Sparking!』シリーズなどにその系譜を見ることができます。ステージギミックやアイテムを交えたキャラゲー路線はファンの支持を得やすく、「原作の世界観を自分で動かせる楽しさ」を提供するフォーマットとして確立されました。本作がそれを示したことで、後発のキャラゲー開発において一つのモデルケースとなったのです。
総じて、『ONE PIECE グランドバトル!』は原作付きゲームの成功例として語り継がれるタイトルです。発売から20年以上が経過した現在でも、そのゲーム性は色褪せず「レトロ名作」としてしばしばプレイ・紹介されています。原作アニメの初期を飾った本作は、当時のファンの熱狂と共に歩んだ伝説的ゲームであり、後の大型プロジェクト(例:無双シリーズとのコラボ『海賊無双』など)へと繋がる貴重な一歩となりました。『ONE PIECE』という作品が持つエンターテインメント性をゲームで表現しきった本作は、これからも原作ファンやゲームファンにとって特別な一本であり続けるでしょう。