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任天堂の林田宏一(はやしだ こういち)さんは、「3Dでも2Dのわかりやすさで遊べるマリオ」を掲げ、3DSの『スーパーマリオ 3Dランド』やWii U/Switchの『スーパーマリオ 3Dワールド』などでディレクター/プロデューサーを務めてきた開発者です。
東京制作チームのキープレイヤーとして、視界の見やすさ・操作の確信・空間把握のしやすさに徹底してこだわり、3D空間でも“迷わず気持ちよくジャンプできる”レベル体験を作ってきました。GDC 2012や各種インタビューでは、2Dマリオの面構造(空中に足場を配置して遊びを作る)を3Dに移し替える狙い、3DSの立体視を“距離感・奥行き感の補助”として活用する判断、そして新規プレイヤーに扉を開きつつ達人にも歯ごたえを残す難度設計などを、具体例とユーモア(ジョーク試作案も含む)を交えて語っています。
震災期の開発を含むタイトな進行のなかでも、外部スタジオとの協業やチームの再配置で品質とスケジュールを両立させた現場判断は、当時の現地ルポでも詳しく触れられました。最近では『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』の「驚き」をどう作るかという文脈にも名を連ね、長年の3Dマリオ設計で培った“学びやすく、極めがいのある遊び”の考え方が、2D・3Dを越えて生かされていることがうかがえます。なお、検索すると教育・心理分野の同姓同名の研究者情報が多数ヒットしますが、こちらは別人です。本稿は任天堂のゲーム開発者・林田宏一さんについての整理です。
主要参加タイトル(抜粋・データテーブル)

| 作品名 | 年 | 役割 | 機種(代表) | カテゴリ |
| ジョイメカファイト | 1993 | ディレクター | ファミコン | 対戦アクション |
| スーパーマリオサンシャイン | 2002 | メインプログラミング | ニンテンドーゲームキューブ | 3Dマリオ |
| ドンキーコング ジャングルビート | 2004 | アシスタントディレクター | ニンテンドーゲームキューブ | アクション |
| スーパーマリオギャラクシー | 2007 | レベルデザインディレクター | Wii | 3Dマリオ |
| スーパーマリオギャラクシー2 | 2010 | ディレクター | Wii | 3Dマリオ |
| スーパーマリオ 3Dランド | 2011 | ディレクター | ニンテンドー3DS | 3Dマリオ |
| スーパーマリオ 3Dワールド | 2013 | ディレクター | Wii U(→ Nintendo Switch) | 3Dマリオ |
| ファミコンリミックス | 2013 | ディレクター | Wii U | リミックス/ミニゲーム |
| ファミコンリミックス2 | 2014 | ディレクター | Wii U | リミックス/ミニゲーム |
| ファミコンリミックス ベストチョイス | 2014 | ディレクター | ニンテンドー3DS | リミックス/ミニゲーム |
| 進め! キノピオ隊長 | 2014 | プロデューサー | Wii U | 箱庭パズル |
| スーパーマリオ オデッセイ | 2017 | プロデューサー | Nintendo Switch | 3Dマリオ |
| 進め! キノピオ隊長(3DS/Switch版) | 2018 | プロデューサー | ニンテンドー3DS / Nintendo Switch | 箱庭パズル(移植/追加) |
| 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL | 2018 | スペシャルサンクス(オリジナルゲームスーパーバイザー) | Nintendo Switch | 対戦アクション |
| スーパーマリオメーカー2 | 2019 | ディベロップメントサポート | Nintendo Switch | コース作成/アクション |
| スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド | 2021 | スペシャルサンクス | Nintendo Switch | 3Dマリオ(移植+新作要素) |
| スーパーマリオブラザーズ ワンダー | 2023 | ゲームデザイン | Nintendo Switch | 2D横スクロール |
設計思想のキーワード集
- 見通し+並行カメラ:視線の方向を固定/誘導し、距離感の誤解を減らす。3Dでも“2D並みの把握”を目指す。任天堂ホームページ
- 影と奥行きのサイン:足場・敵の影を強調して“着地の確信”を作る。立体視があるハードではさらに補助。任天堂ホームページ
- 学習曲線の段階化:新要素→展開→ひねり→総合テスト、の段階で学ばせる(レベル設計の起承転結)。ウィキペディア
- “遊びの自由”を担保:苦手面をスキップできる設計など、“好きなように遊ぶ”を尊重。ファミ通.com
- チームを動かす可視化:座右の「宮本語録」を通じて判断軸を共有し、現場の意思決定を早める
開発現場エピソード(3DS期の緊張と結束)
2011年の東日本大震災のさなか、『スーパーマリオ 3Dランド』チームは秋の発売目標を維持すべく、座席の再配置や連絡線の再構築、外部のブラウニー・ブラウンとの連携強化など、現場オペレーションを見直しました。象徴的だったのは、日常が崩れた状況でも「スーパーマリオで人々を笑顔にしたい」という芯を持ち、開発を再起動させていったこと。結果として同作は3DSを牽引するヒットとなり、現場・ユーザー双方に大きな励ましをもたらしました。
もっと深掘りする人向け:一次情報リンク集の読み方
- 社長が訊く『スーパーマリオ 3Dランド』:2Dと3Dの橋渡し、並行カメラ、踏みアクションの“ウソと説得力”などを本人と上長が語る座談会。設計の根拠が具体。任天堂ホームページ
- GDC 2012講演:逆境下の開発を「喜び」につなぐプロセス。チーム運営・学習曲線の作り方の示唆が多い。Game Developer
- メディア取材(Famitsu/4Gamer):宮本語録の実践、プレイヤーの“自由”を尊重する設計の実例。ファミ通.com
- WIREDの現場ルポ:震災下の意思決定、外部協業の背景が読み取れる。WIRED
まとめ
林田宏一さんは、3D空間でも“迷わず確信を持ってジャンプできる”ように導く設計で、3DS〜Wii U期のマリオ体験を刷新したキーパーソンです。視覚サインと学習曲線を丁寧に積み上げ、初心者にも門戸を開きながら、やり込み層にもしっかり応える。そんな「学びやすく、極めがいのある」遊びづくりは、近年の作品群にも受け継がれています。