【星のカービィ2】ゲームボーイ後期に輝いた革新作とその舞台裏 1995年発売

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【星のカービィ2】ゲームボーイ後期に輝いた革新作とその舞台裏 1995年発売

1995年3月21日、、任天堂はハル研究所開発の横スクロールアクションゲーム『星のカービィ2』をゲームボーイ向けに発売しました。​

売から6年目を迎えたゲームボーイ市場は、プレイステーションやセガサターンなどCD-ROMドライブを採用した次世代機が急速に普及し、従来ハードへの注目が薄れる厳しい状況にありました。
しかし、任天堂は横井軍平氏が提唱した「枯れた技術の水平思考」の理念を体現し、成熟した技術を活かしたアイデア勝負によって市場に新たな可能性を示す一作を投入したのです。

初代『星のカービィ』は1992年4月27日に発売され、シンプルな吸い込みアクションと多彩なコピー能力により幅広い層から高い支持を獲得しました。​
その流れを汲む『星のカービィ2』は、リック、カイン、クーという3体の仲間と合体できる新システムを搭載し、これまでにない戦略的なプレイ体験を実現。さらに後年にはニンテンドー3DSのバーチャルコンソールやNintendo Switch Onlineで再配信され、現代のプレイヤーにもその魅力が再評価されています。

容量制限を逆手に取った革新:HAL研究所が挑んだ『星のカービィ2』開発の裏側

星のカービィ2

『星のカービィ2』は、HAL研究所が開発を担当しました。プロデューサーには前作と同じ岩田聡氏と宮本茂氏が名を連ね、ディレクターには下村真一氏が初めて就任しました。下村氏は前作『夢の泉の物語』(1993年、ファミコン版)でマップデザインを手がけた経歴があり、本作がディレクターとしての大きなチャレンジとなりました。なお、本シリーズの生みの親である桜井政博氏(初代や前作でディレクターを務めた)は本作には関わっておらず、桜井氏不在のナンバリングタイトルはこれが初めて。開発スタッフが一新されたことで、新たな試行錯誤が求められました。

当時のゲームボーイは容量も性能も限られていたため、新機能の導入にはさまざまな工夫が必要でした。たとえば、本作で初めて登場する「仲間キャラクター」は、開発初期には「しもべ」と呼ばれていました。これは1970年代の漫画『バビル2世』に登場する「僕(しもべ)」が由来ですが、のちに「仲間」という呼び名とかわいらしいデザインに変更。プレイヤーが愛着を持てるよう、名前もビジュアルも何度も見直されたのです。

開発チームは少人数で作業を進め、横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」を体現するため、岩田氏がプログラミング面でも適宜アドバイスを行いながら、グラフィックや音楽の最適化を繰り返しました。BGMを担当した安藤浩和氏をはじめとするサウンドチームも、限られたハード性能の中で最高の音作りを目指して試行錯誤を重ねています。公式インタビューは少ないものの、チーム全員の熱意と協力が伝わるエピソードが数多く残されており、この経験は下村氏が後に手がける『星のカービィ3』(1997年)や『星のカービィ64』(2000年)にも大きく生きています。

ゲームシステム

『星のカービィ2』は、従来どおりの横スクロールアクションに、シリーズおなじみのコピー能力と3体の“仲間キャラクター”を組み合わせた革新的なシステムが大きな特徴です。プレイヤーは以下の操作でカービィを動かしながら、各ステージをクリアしボスを倒し、“虹のしずく”を集めることを目指します。

基本操作
十字キー:左右移動、下キーで屈む・敵を飲み込む
上キー:空中で飛ぶ、扉に入る
Aボタン:ジャンプ
Bボタン:吸い込み、コピー能力発動(能力なし時は吸い込み→吐き出し)

魅力的な仲間たち

中ボスを倒すと、リック(ハムスター)、カイン(マンボウ)、クー(フクロウ)の3匹のうちいずれかを仲間にできます。
『星のカービィ2』に登場するこの3匹の仲間は、それぞれ得意なフィールドや能力が異なり、カービィ単体では行けない場所への進入や、コピー能力の性質変化を通じてゲーム攻略の鍵を握ります。

以下では、仲間ごとの特徴と、虹のしずく取得への関わりも含めてわかりやすくご紹介します。

  • リック (Rick) – 陸上行動が得意なハムスター。カービィを背中に乗せて地上を進み、氷の上でも滑らずに移動できます。リックと一緒にいる間はカービィは空を飛べませんが、カービィ単体よりも速く移動でき、特に氷の上でも滑らないという特性を持っています。
  • カイン (Kine) – 水中行動が得意な魚。カービィが入ると水中で抜群の泳力を発揮し、強い水流に逆らって泳げます。
  • クー (Coo) – 空中行動が得意なフクロウ。カービィをつかんで自由に空を飛ぶことができます。飛行中は吸い込みが制限されるものの、空中戦で絶大な力を発揮します。

仲間種類得意フィールド主なコピー能力シナジーデメリット虹のしずく取得の役割
リックハムスター陸上(氷上)●スパーク:鞭状の電撃●カッター:ブーメラン攻撃●アイス:氷突進ホバリング不可- 狭い通路を通れないリックのスパークで破壊できるブロック先のしずく取得に必須
カインマンボウ水中●スパーク:電球爆弾生成(暗所照明可)●ニードル:魚雷突進●バーニング:水中炎攻撃陸上移動が遅い( 飛行不可)水中ステージのしずく取得に必須
クーフクロウ空中●スパーク:真下への落雷●パラソル:強風耐性飛行●ストーン:高速落下変身飛行中は吸い込み制限空中設置のしずく取得に必須

コピー能力

『星のカービィ2』では、シリーズおなじみのコピー能力システムをベースに、本作ではコピー能力が前作から大幅に絞り込まれた7種類となり、さらにリック、カイン、クーの3体の仲間と合体することで、実質28通りのバリエーションが楽しめます。

​基本となる7種類のコピー能力は、バーニング(炎の突進)、アイス(冷気による凍結)、スパーク(電気放射)、カッター(ブーメラン)、ストーン(岩変身)、ニードル(体全体の針攻撃)、パラソル(傘を使った防御兼攻撃)です。​

例えば、スパークはカービィ単体では全身から電気を放つ技ですが、リックと合体すると鞭のようにしなる電撃に、クーと合体すると真下への落雷に、カインと合体すると電球爆弾を口から発射する技へと変化し、場面に応じた多彩な戦術が可能になります。​

この仲間合体システムは、続編『星のカービィ3』にも継承され、シリーズの新たな定番要素として定着しました。​

また、本作では全てのコピー能力が水中でも使用可能になったものの、一部能力の性能や効果時間は低下し、携帯機の操作系に合わせて前作のスライディングやダッシュは削減され、シンプルかつ奥深い操作性を追求しています。​

以下の表は『星のカービィ2』に登場する7種類のコピー能力をまとめたものです。コピー能力の英語名は日本語名の横に()で表記しています。 (星のカービィ2 – Kirby Wiki – Fandom, コピー能力(星のカービィ2) – アニヲタWiki(仮))

コピー能力(英語名)説明
バーニング(Burning)炎をまとって前方に突進し、近距離の敵を一気に吹き飛ばす
アイス(Ice)冷気を吐き出して敵を凍らせ、一時的に動きを止める
スパーク(Spark)電気を放射し、範囲内の敵を感電させて持続ダメージを与える
カッター(Cutter)ブーメラン状の刃を投げ、戻ってくる際にも敵を切り裂く
ストーン(Stone)身体を岩に変身させて転がり、接触した敵を押し潰す
ニードル(Needle)全身に針を伸ばして攻撃し、近距離の敵に連続ダメージを与える
パラソル(Parasol)傘を広げて前方の攻撃を防ぎつつ、傘の縁を使った攻撃も可能

仲間システムにコピー能力を組み合わせたことにより、前作から7種類に減ったコピー能力ながらも、リック・カイン・クーの3匹と合体すると性能や演出が変化し、実質28通りの技が使える点が「試行錯誤の楽しみを大きく拡大した」と絶賛されています​

更に、コピー能力と仲間の組み合わせによってのみ入手できる「虹のしずく」を集める謎解き構成が、「システムの深みを増しつつ単なるアクションゲーム以上のやり込み要素を実現した」とも評価されています​

ステージ構成

ステージ構成は「虹の島々」と呼ばれる7つの島(レベル1~7)を順に冒険していく形式で、それぞれの島には個性豊かなボスが待ち受けています。

各レベルには隠しアイテム「虹のしずく」が1つずつ配置されており、全7つを集めるとカービィの持つ「虹の剣」が完成して真の最終ボスと対決できる仕組みになっています。
通常のエンディングを見るだけなら必須ではありませんが、この隠し要素による真のラスボス解放はシリーズ初の試みで、プレイヤーに深いやり込み要素を提供しました。また、後の『星のカービィ3』や『星のカービィ64』にもこの「虹のしずく」収集ギミックは受け継がれています。

LEVEL英語名ステージ数舞台ボス特徴・虹のしずく取得方法
1GRASS LAND3草原ウィスピーウッズ(マスクを外して根や空気弾で攻撃)リックが初登場。ステージ3のブロックはパラソルで破壊し、虹のしずくを入手。
2BIG FOREST3森(穴や高い足場)ヌラフ&ネリー(爆弾投げ、段差移動+子猪で連携攻撃)クーが初登場。ステージ2のブロックをニードルで壊して虹のしずくを取得。
3RIPPLE FIELD3水中マップスイートスタッフ(提灯光線・体当たり・ザコ敵 )カインが初登場。水流ギミックや暗室ギミックはカイン+スパークで攻略。ステージ3の隠し扉奥でストーン合体後、虹のしずくを回収。
4ICE BERG4氷山(滑る足場)アイスドラゴン(氷ブレス・氷塊・氷柱落とし)難易度最高級。ステージ4でカイン+バーニングを持ち込み、再取得や特定操作を経て、氷ブロック奥の虹のしずくを回収。
5RED CANYON5赤い渓谷Mr.シャイン&Mr.ブライト(日食攻撃+能力コピー付与)風の強いエリアあり。ステージ5の特定ブロックをリック+スパークで破壊し、虹のしずくを取得。
6CLOUDY PARK6雲上ステージクラッコJr.&クラッコ(連戦パターン+吸い込み連携)BGM人気。ステージ2で仲間を切替えつつ、スパークやカッターでブロックを破壊し、虹のしずくを回収。
7DARK CASTLE7闇の城デデデ大王(強化版+発狂後爆発攻撃)真エンディング要件。ステージ7の迷路ギミックはコピー能力を正順使用し、カイン+スパークでヒント部屋を経由して虹のしずくを取得後、デデデ大王撃破で黒幕出現。

ボス戦もただの一発勝負ではなく、ステージごとに工夫が凝らされています。例えばレベル6では、まず中ボス・クラッコJr.を倒すと第2形態が現れる連戦パターンが初導入され、緊張感のある戦いが楽しめます。
海中ステージのボス「スイートスタッフ」戦では、仲間キャラクターのカインがいるかどうかで攻撃方法や攻略ルートが大きく変わり、仲間システムの活用が戦略の鍵となります。
そして、デデデ大王戦では闇に染まったデデデとの一騎打ちののちに本当の黒幕・ダークマターが登場し、シューティングゲーム風の演出で壮大なクライマックスを迎えます。

このように、『星のカービィ2』は「コピー能力+仲間合体による多彩なアクション」「虹のしずくを集める謎解き要素」「バリエーション豊かなボス戦」という三拍子が揃った革新的なゲームメカニクスを持ち、ゲームボーイ末期のハード性能を逆手に取った斬新な遊びを実現しました。
シリーズに新たな風を吹き込み、その後の作品にも大きな影響を与えた名作です。

ハードウェアの制約下で実現した工夫と技術革新

ゲームボーイはモノクロ4階調・数百キロバイト級の狭小メモリという厳しい制約を抱えつつ、当時まだパスワード式が主流だったアクションゲームに「バックアップ機能」を導入し、長編作品としての遊びやすさを飛躍的に向上させました。また、動作速度や操作性に配慮した2ボタン+十字キーのシンプル設計、データ圧縮による大容量ステージの収録、サウンド面では歪みを抑えた和音表現や自作波形の活用など、グラフィック・サウンド・システムの各所で“枯れた技術の水平思考”を体現しています。以下では、これらの工夫と技術革新を主なテーマごとにまとめました。

セーブ&カラーパレット対応で広がる遊びの幅

  • 内蔵バッテリによるバックアップ機能
    ゲームボーイ版アクションでパスワード不要のセーブ機能を初搭載。マップ進行や「虹のしずく」の収集状況をそのまま記録でき、腰を据えた長編冒険を可能にしました。
  • スーパーゲームボーイ対応カラー
    SFC経由でプレイすると専用カラーパレット&フレームが適用され、ライフ表示や背景が鮮やかに表示されます。これにより据置機ユーザーにも訴求し、雑誌広告でも「鮮やかなカラーで再現」と大きく取り上げられました。

シンプル操作で実現する直感的なアクション

  • 2ボタン+十字キーの最適化
    吸い込み・吐き出し・ホバリングなどの基本アクションは初代から継承しつつ、仲間合体/分離をセレクト一発で行える設計。コピー能力の捨て動作も同じボタンに集約し、携帯機特有の操作負荷を最小化しました。
  • ダッシュ&スライドの削減
    前作で導入されたダッシュやスライディングは削除し、2ボタン操作に合わせてアクション数を厳選。ハード性能と処理負荷を考慮しつつ、奥深い戦略性を損なわないバランス調整が施されています。

ドット絵&サウンドで魅せる表現力

  • 緻密かつ可愛らしいドットグラフィック
    小さいモノクロ画面でもキャラクターや背景のシルエットを強調し、情報量豊かなビジュアルを実現。最終ボス・ダークマター戦では画面回転やフルスクリーンエフェクトを駆使し、ゲームボーイとは思えない迫力を演出しました。
  • 波形メモリ音源のフル活用
    和音の歪みを抑えつつ豊かな旋律を奏でる調整、三角波風の自作音色による厚みあるサウンド。初代で生まれた“グリーングリーンズ”の名曲と同様の工夫を凝らし、限られたチャンネル数で印象的なBGMを配信しました。

大容量データを詰め込む最適化技術

  • プログラマー陣によるデータ圧縮
    シリーズ3作目にふさわしいステージ数とギミックをROM容量内に収録するため、マップデータやコピー能力・仲間情報を徹底的に最適化。
  • スムーズな動作を両立
    大型タイトルながらロードや処理遅延を感じさせず、多彩な要素をストレスなく楽しめる動作性能を確保。ハードの限界を創意工夫で乗り越えた“携帯機ゲームデザインのお手本”と言える仕上がりです。

技術面に対するゲーマーの評価

『星のカービィ2』は、制約だらけのゲームボーイ上でありながら、豊富な遊びと高い表現力を実現し、プレイヤーに快適かつ驚きに満ちた体験を提供したと高く評価されています。

多くのゲーマーは、モノクロ4階調・小画面ながらも精緻なドットグラフィックと滑らかなアニメーションをその魅力の一つとして挙げており、更にサウンド面では、限られたGame Boy音源を駆使したキャッチーなBGMがリピートしたくなると評され、コピー能力や仲間合体時に変化する効果音のバリエーションも好評です。

スーパーゲームボーイ対応のカラーパレットについては、「鮮やかな色分けで視認性が向上した」と肯定的に捉えられる一方で、「モノクロでも十分だった」との控えめな評価もあります。
動作性能については「ほとんど遅延なく快適にプレイできる」と称賛されつつも、一部では合体時や長いステージでわずかなラグを指摘する声も聞かれます。総じて、『星のカービィ2』は携帯機ゲームデザインの教科書的作品として、ハード制約を逆手に取った最適化と工夫が光る名作と位置づけられています。

キャラクターデザイン・アートスタイル・音楽の魅力

『星のカービィ2』は、キャラクターの魅力と美術表現、そしてサウンドの三位一体で、その世界観を格段に広げた作品です。以下では、それぞれの要素をまとめてご紹介します。

キャラクターデザインの魅力

  • カービィと仲間たち
    主人公カービィは全世界で愛される親しみやすいデザイン。そこにコロコロとしたハムスターのリック、のんびりしたマンボウのカイン、キリッとしたフクロウのクーという3匹の仲間が加わり、陸上・水中・空中とフィールドごとの特性を活かせる多彩なアクションを実現しました。合体時にはカービィの表情やモーションが変化し、まるで友だちと一緒に冒険するかのような一体感を味わえます。
  • 新しいキャラクターたち
    本作で初登場したグーイは、ダークマター族でありながら優しい性格を持つ不思議な仲間。合体解除時にカービィの体力を回復してくれるなど、ゲーム性にも一役買います。逆に、ダークマター族は単眼の球体という異質なデザインで、プププランドのかわいらしさとの対比が強烈な印象を残しました。さらに、100%クリア要素として初登場したチャオは、取ると1UPするレアキャラとして隠し要素に深みを加えています。

アートスタイル(グラフィック)の魅力

  • モノクロでも「かわいい」を極めるドット
    ゲームボーイの4階調モノクロ画面にもかかわらず、カービィや仲間、敵キャラクターのシルエットはくっきりと、背景もステージごとに草原や砂漠、雪山、海底、雲上など多彩に表現。たとえば氷の島では雪の結晶が舞い、雲の島ではパラソルや星が浮かぶ演出で、プレイヤーの想像力を刺激します。
  • スーパーゲームボーイ対応
    スーパーファミコン経由でプレイすると専用のカラーパレットが適用され、各ステージに虹のような色彩が加わります。さらに画面を彩るピクチャーフレームや効果音の強化で、「白黒のままでも十分」と言われる美しさを、よりリッチに楽しませてくれました。

音楽の魅力

  • 作曲陣の競演
    『夢の泉の物語』以来の安藤浩和氏に加え、『ワリオの森』の池上正氏も参画。限られた音源で豊かな和音を奏でる調整と、自作波形による厚みのある音色が特徴です。
  • テーマ曲と演出
    各ステージには軽快な草原テーマ、ゆったりした水中テーマ、幻想的な雲上テーマなど、冒険の雰囲気を強く印象づけるBGMが配置。仲間と合体すると専用BGMに切り替わり、ゲームの一体感を高めます。また、タイトルの拍手やレベル7での雷鳴など、スーパーゲームボーイならではの演出音も収録されました。
  • ユニークな効果音
    コピー能力を使い分けるたびに変化するSEや、スコアがカンストすると連続して鳴る1UP音など、細部に遊び心が詰め込まれています。

以上のように、『星のカービィ2』はキャラクターデザイン、アートスタイル、音楽のすべてが高い完成度を誇り、ゲームボーイという制約を超えた魅力を持つ名作となっています。発売から年月が経っても色あせない芸術性と遊び心が、多くのファンに愛され続けています。

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発売当時のマーケティング戦略と反響

発売当時、様々なマーケティング施策で本作をアピールしました。
テレビCMでは、人気アイドルグループSMAPの木村拓哉さんを起用したゲームボーイ本体のキャンペーン枠内で本作が紹介され、大きな話題を呼びます。

CM中のキャッチコピーは「こんどの冒険はひとりじゃない」という印象的なフレーズで、カービィが仲間と一緒に冒険する本作の特徴を端的に伝えるものでした。
また、「仲間が3匹、勇気は100倍!」というコピーも雑誌広告や店頭ポスターで用いられ、3体の仲間システムを前面に押し出したプロモーションが行われています。

任天堂は本作をゲームボーイのキラータイトルの一つと位置付け、当時低迷気味だった携帯機市場を盛り上げる起爆剤として積極的に宣伝しました。ゲーム誌『ファミ通』や『電撃ゲームボーイ』などでも発売前特集が組まれ、新要素の紹介や開発者コメント(仲間を導入した経緯など)が掲載されています。

コミック誌『コロコロコミック』でもカービィの漫画が連載中で、本作発売時にはプレゼント企画や攻略情報が掲載されて子ども層への訴求が図られました。幅広いメディアミックス展開により、レトロゲームファンから子供まで幅広い層に本作の存在が浸透していきました。

発売後の反響も上々で、売上本数は日本国内で約151万本、海外を含めると累計約385万本に達し、ゲームボーイ後期の大ヒット作となりました。
この数字は後に名作と称えられる『星のカービィ スーパーデラックス』(1996年)の国内売上約110万本を上回っており、当時の携帯機市場において如何に本作が支持されたかを物語っています。
ゲーム誌の評価も総じて高く、ファミ通クロスレビューでは8/7/7/7の合計29点(40点満点)を獲得しました。

読者からは「コピーと仲間の組み合わせが新鮮」「ゲームボーイとは思えないボリューム」など好意的なレビューが寄せられる一方、「前作に比べ難易度が上がった」「操作にダッシュが無いのが物足りない」という指摘も一部で見られました。
当時のユーザー層としては、小学生など低年齢プレイヤーも多かったため、虹のしずく集めによる100%クリアはやや難しく感じた人もいたようです。
しかし総合的には「期待通りの安定した面白さに、新要素でサプライズを加えた良続編」**との評価が定着しました。

また、本作発売と前後してゲームボーイ本体のカラーバリエーションモデル(通称「ゲームボーイブロス」)も展開され、同CMで木村拓哉さんが出演することによるイメージ戦略によってゲームボーイの認知向上が図られました。このキャンペーンは本作の知名度アップにも貢献し、結果としてゲームボーイ市場全体の活性化に寄与したと考えられます。任天堂のマーケティングは、商品の魅力(仲間システム)を的確に伝えるコピーやメディア戦略によって、本作を携帯ゲーム市場の話題作として大きく押し上げました。

シリーズやゲーム文化への影響、現代での再評価

『星のカービィ2』(1995年3月21日発売)は、シリーズにおける転換点となるだけでなく、携帯機アクションゲームの可能性を大きく広げた作品です。ここでは、シリーズおよびゲーム文化への影響と、近年進む現代での再評価についてまとめます。

  • 仲間システムの初実装
    リック、カイン、クーという3体の仲間キャラクターと合体することで、従来のコピー能力の性能が変化し、実質28通りものアクションが楽しめるシステムが導入されました。以降、『星のカービィ3』や『星のカービィ64』でも複数キャラでの協力プレイ要素として受け継がれています。
  • ダークマター三部作の幕開け:
    本作で初登場した「ダークマター族」は、『星のカービィ3』(1997年)や『星のカービィ64』(2000年)にも繰り返し登場し、シリーズにおける“闇の存在”との物語的深みを確立しました。
  • 真エンディング解放条件の導入:
    各ステージに隠された「虹のしずく」をすべて集めないと真のラスボスと対戦できない仕組みは、以降のシリーズ作品における「収集要素を完遂しないと本当のエンディングに到達できない」定番ギミックとなりました。
  • 携帯機でも深いゲーム体験を実現:
    当時のゲームボーイ市場では、据置機に匹敵する最新グラフィック作品が注目される中、本作はアイデアと演出力で勝負し、高い難易度のやり込み要素を盛り込むことで“携帯機でも本格派アクション”を実現。翌年の『ポケットモンスター 赤・緑』ブーム前夜にゲームボーイ市場を下支えした一角とも評価されています。
  • 下村真一氏のシリーズ路線:
    ディレクターの下村真一氏は本作以降もシリーズを手がけ、「メカ要素」や「合体システム」といったアイデアを発展させ、桜井政博氏不在の独自のカービィ像を築き上げました。現在の『星のカービィ ディスカバリー』にもその系譜が色濃く受け継がれています。
  • バーチャルコンソール&Switch Onlineでの復活:
    2012年のニンテンドー3DSバーチャルコンソール配信や『星のカービィ 20周年スペシャルコレクション』への収録に加え、2023年3月16日からNintendo Switch Onlineのラインナップに追加されたことで、発売から年月を経ても簡単にプレイできる環境が整い、世代を超えたプレイヤーの再注目を誘っています。
  • ドリームフレンズとしての参戦:
    2018年発売の『星のカービィ スターアライズ』では、リック・カイン・クーが「ドリームフレンズ」としてまとめて登場。アップデート第1弾で2018年3月28日に追加され、当時のファンのみならず新規プレイヤーにも強い印象を残しました。
  • 難易度とシステムの再評価:
    現代のプレイヤーからは「高めの難易度がやり込み要素として光る」「コピー能力と仲間の組み合わせがユニーク」といった点が再評価され、Switch Onlineの巻き戻し機能を活用しながらレトロゲームの面白さを再発見する事例も増えています。
  • 30周年企画での公式言及:
    2025年3月にファミ通が公開した30周年特集記事では、「いまだファンから人気が高い作品」として改めて紹介され、長年シリーズを追いかけてきたファンにとっても新たな語り草となっています。

これらの要素が結実し、『星のカービィ2』はシリーズ史における重要作として、発売から30年を経ても色褪せない魅力を放ち続けています。

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