【ドラゴンボール レイジングブラスト】2009年発売『DRAGON BALL RAGING BLAST』PS3/Xbox360徹底レビュー|60fpsグラフィックとオンライン対戦解説

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【ドラゴンボール レイジングブラスト】2009年発売『DRAGON BALL RAGING BLAST』PS3/Xbox360徹底レビュー|60fpsグラフィックとオンライン対戦解説

2009年11月12日発売の『ドラゴンボール レイジングブラスト』は、人気漫画・アニメ「ドラゴンボールZ」を題材にした3D対戦アクションゲームです。
PlayStation 3とXbox 360向けに発売され、シリーズ従来作(PS2『Sparking!(スパーキング)』シリーズ)の流れを汲みつつ次世代機ならではの進化を遂げた作品となっています。

高精細なグラフィックや60fpsの滑らかな動きによって、キャラクターの表情や迫力あるバトル演出が再現されている点が特徴です。
全世界累計70万本を販売し(PS3版約14万本、Xbox 360版約1.6万本を国内で記録)、国内外で幅広いドラゴンボールファンに楽しまれました。

参考記事
【ドラゴンボール レイジングブラスト】トロフィー/実績一覧

【PS3】2009年 発売リスト まとめ

次世代機ならではのグラフィック進化と快適な60fpsバトル

主な特徴として下記が挙げられます。

次世代機での進化

PS3/Xbox360世代に合わせ、従来のスパーキングシリーズからグラフィック面が大幅向上しました。キャラクターの喜怒哀楽など細かな表情表現やエフェクト表現が強化され、原作アニメさながらの臨場感を演出しています。動作も60フレームで安定しており、スピーディーかつ滑らかなバトルを実現しました。

ドラゴンボールZに特化

登場キャラクターは「ドラゴンボールZ」シリーズに登場する戦士たちが中心で、前世代機の『Sparking! METEOR(メテオ)』にいたような原作前期(無印)や『GT』のキャラ、大猿やヒルデガーンなど巨大キャラ、さらには舞空術ができないミスター・サタン等のキャラは本作では参戦していません(これらは後述の続編や他作品で追加)。

代わりに、本作では劇場版オリジナルのブロリーゴジータが登場し、超サイヤ人3形態のブロリー&ベジータをゲームオリジナル要素として初めて実装した点が大きな話題となりました。これら超サイヤ人3の新形態は発売前にVジャンプ誌上などで「衝撃のキャラ」として発表され、ファンの驚きを誘いました。

プレイアブルキャラクター数は変身形態も含めると50体以上に及びます。
悟空やベジータなど主要キャラは各段階のスーパーサイヤ人形態まで網羅され、セルやブウも各変身形態が収録されています。

原作の名勝負からゲーム独自の「IFストーリー」まで体験できるドラゴンバトルコレクション(後述)には100を超えるシナリオが収録され、イベント演出も豊富で遊び応えがあります。

また、各キャラクターごとに得意技(フェイバリット技)が設定されており、簡単操作でキャラ独自の派手な必殺技を繰り出せるのも魅力です。こうした要素により、「ドラゴンボールらしいスピード感抜群のバトル」が誰でも楽しめると高評価を受けました。

オンライン&DLC対応

本作はドラゴンボールゲームとして初めて本格的なオンライン対戦に対応しました。
ネットワークを介して世界中のプレイヤーと1対1の対戦が可能なほか、最大16人参加のトーナメント(天下一武道会/セルゲーム)モードや観戦機能も実装されています。

さらに発売後にはダウンロードコンテンツ(DLC)配信も行われ、例えば「地球の戦士パック」と銘打った第1弾DLCではクリリン、ヤムチャ、天津飯、餃子といったキャラクターの早期解放&特別強化版が無料提供されました(これら4人はゲーム内でも条件解放可能なキャラですが、一部能力が強化された特別仕様で提供)。このように、家庭用DBゲームとして新しい試み(オンライン対戦や追加DLC配信)を積極的に取り入れた作品でもあります。

対応プラットフォーム

PS3版とXbox 360版で内容に大きな違いはなく、両機種とも同日に発売されました(日本国内では2009年11月12日発売)。
グラフィックやフレームレートもほぼ同等ですが、日本におけるXbox 360版はハード普及率の影響もあり販売本数は1.6万本程度と少なく、一方PS3版は約14万本と大きく差が出ました。
また、日本版は音声が日本語ボイスのみ収録(アニメと同じ声優陣が担当)で字幕表示も日本語ですが、北米・欧州版では英語吹き替え音声がデフォルトとなり、日本語音声への切替も可能となっています(シリーズ最後の作品となった初代声優陣の英語版出演でもあります)。

レーティングは日本ではCERO:A(全年齢)、北米版ESRB:T(13歳以上、Cartoon Violenceなど該当)となっており、一部表現や名称(例:ミスター・サタン=英名”Hercule”)などは海外版仕様にローカライズされています。
さらに欧州では限定版(Limited Edition)が発売されており、専用スチールブックケース+設定資料アートブック(52ページ)+サウンドトラックCD+ゲーム内特典DLCクーポンを同梱したコレクター向けパックが用意されました。北米でも予約特典としてサントラCDやDLCコードをセットにした「スペシャルパック」が展開されており、地域ごとにプロモーション施策も異なっています。

ゲームシステム

本作のゲームシステムは、広大な3Dフィールドを高速で駆け回りながら戦うアクションスタイルが特徴です。

従来の「Sparking!」シリーズの戦闘エンジンを継承しつつ、新要素として各キャラ固有の「得意技」やカスタマイズ要素の追加により奥深い対戦が楽しめます。
初心者でも原作さながらの派手な必殺技やコンボを繰り出しやすく、同時にやり込み派にはテクニカルな要素も用意された作りになっています。

3Dフィールドバトル

キャラクターは360度全方位に移動・飛行でき、ステージ内を自在に飛び回って戦います。カメラはキャラの後方視点で追従し、相手との距離に応じて自動でズームイン・アウトします。

地上・空中問わず高速で接近・離脱できるブースト移動や、相手の背後に瞬時に回り込む高速移動攻撃(いわゆる瞬間移動のような攻撃)もワンボタンで簡単に発動可能です。
このため、アニメで描かれる超高速バトルを自分で再現しているかのような爽快感があります。「どの瞬間を切り取っても画になる」ほど華麗なバトルシーンが繰り広げられる、とレビューでも評されました。

ステージには岩山や建物など破壊可能なオブジェクトも多数配置されており、エネルギー波で地形を破壊したり、敵を吹き飛ばして壁に叩きつけ粉砕するといった破壊演出も健在です。

基本操作と攻撃

攻撃は大きく分けて近接格闘(パンチ・キックの連続コンボ)と気弾・必殺技(エネルギー波や各種特殊技)です。
通常の格闘コンボからタイミング良く必殺技ボタンを繋げることで「コンボの締めにかめはめ波を叩き込む」など派手な連携も可能です。

シリーズ伝統の変身システムもあり、戦闘中に必要な気力を溜めればスーパーサイヤ人化などフォームチェンジが可能(悟空なら超サイヤ人1〜3まで段階的に変身)で、変身するとキャラ性能が向上します。また2対2のタッグバトルなどチーム戦もサポートしており、Zアシスト(援護攻撃)など仲間との共闘も再現されています。

攻防面ではガードや緊急回避のほか、相手の必殺技を相殺・弾き返す要素もあり、強力なかめはめ波同士がぶつかると撃ち合いになる演出も存在します。

さらに、本作から各キャラに固有の「得意技」が導入されました。得意技とはキャラクターごとに設定された特殊アクションで、例としてクリリンの太陽拳(相手の目をくらませる)やピッコロの再生能力など、原作の個性を反映した効果を発揮します。簡単な操作で出せるうえ強力なので、使いこなすことでキャラごとの戦い方の差別化が図れます。レビュアーからも「得意技の導入によりキャラクター性能差が明確になったのは◎」と評価されています。

(参考: 操作体系としてはPS3版では×ボタンでジャンプ/高速移動、□ボタンで弱攻撃(ラッシュコンボ)、△ボタンで強攻撃、○ボタンで得意技、といった形で割り当てられています。またRスティック倒しで必殺技発動、R3押し込みで究極技(アルティメット技)発動など、独特の操作も組み込まれています。初めはボタン数が多く複雑に感じますが、慣れると直感的にコンボと必殺を繋げられるようになる設計です)。

カメラと視点

バトル中の視点は基本的に背後固定ですが、ロックオンした敵との距離によって自動調整されます。
スピーディなバトル演出を優先した反面、壁際に追い詰められた際などカメラワークが不安定になる場合があります。

自キャラが画面端に寄ってしまい見づらくなるといった指摘も一部あり、特に閉所での戦闘では視界確保が難しい点が弱点として挙げられました。
しかし全体的には戦闘の臨場感を損なわない工夫が凝らされており、対戦格闘ゲームにありがちな難解なコマンド操作が不要で直感的に派手なアクションを楽しめるよう配慮されています。

カスタマイズ要素

ゲーム進行によって各キャラクター用のスキルやアイテムを入手でき、それらを装備することで能力値の強化や必殺技の付け替えが可能です。

「究極カスタマイズ」では例として「攻撃力アップ」「気力チャージ速度アップ」「体力徐々回復」など様々な効果を持つアイテムを組み合わせてセットできます。
またキャラごとに必殺技の入れ替えもできるため、自分好みの技構成にカスタム可能です(悟空に元気玉を装備させる等)。
これにより対人戦での戦略の幅も広がります。ただしオンライン対戦では極端に強力なカスタムによるバランス崩壊を防ぐ措置も取られており、プレイヤーマッチではお互い納得のルールで対戦できる設定があります。

対戦バランス

基本的にはキャラクターの再現重視の調整で、格闘ゲーム的な厳密な公平性より「キャラごとの個性と爽快感」が優先されています。

例えば体格が大きいナッパは動きが遅い代わりに攻撃力が高い、悟空はバランス型、ブロリーはパワーとリーチが突出、など原作イメージに沿った性能差があります。
そのため対戦では有利不利が出る組み合わせもありますが、その分「○○対△△ならこの展開になるはず」という原作再現的なロールプレイが楽しめる設計です。

プロデューサーも「eスポーツ的なガチ対戦というより『ドラゴンボールごっこ』を遊ぶ感覚に近い」と語っており、ファンが思い入れの戦いを自分の手で実現できることを目指したとしています。

ストーリーとモード構成

本作では原作「ドラゴンボールZ」の物語を追体験できるストーリーモードや、自由に対戦・トーナメントが楽しめるバトルモード、さらには独自のチャレンジ要素を持つ試練モードが収録されています。原作の名シーンに沿ったバトルだけでなく、「もしも○○と○○が戦ったら?」というIF展開のシナリオも用意され、ファン心をくすぐる構成になっています。以下、主なモード内容とストーリー構成について解説します。

ドラゴンバトルコレクション(ストーリーモード)

原作『Z』のサイヤ人編から魔人ブウ編までの主要バトルを網羅した一人用モードです。
「サイヤ人編」「フリーザ編」「人造人間編」「魔人ブウ編」といった各章に分かれており、その中に複数のミッション(エピソード)が収録されています

原作通りの展開だけでなく、プレイヤーの勝敗や特定条件によってストーリー分岐が発生し、本来とは異なるIF展開に派生することもあります。
例えば「ラディッツ戦で悟空が生存したら?」「セルゲームでセルが自爆しなかったら?」など、原作では有り得ないifストーリーが楽しめるのも魅力です。
収録シナリオ数は100以上に及び、劇場版の敵とTV本編キャラの交錯など、ファン垂涎のカードが目白押しです。

各シナリオはバトル中やバトル前後に会話デモやカットシーンが挿入され、演出面でも盛り上げています。
ただし一部では「物語の語り部分が簡素で、原作を知らない人には背景が分かりにくい」との指摘も海外レビューでありました。
原作知識のあるファン向けに割り切った構成とも言えます。

なお、全シナリオで特定条件を満たすと☆(スター)を獲得でき、それを集めることで隠し要素が解除されるミッション要素もあります。やり込み次第で新キャラ解禁やギャラリー要素が開放されるため、コレクション性も持たせています。

スーパーバトルトライアル(チャレンジモード)

一人用の様々な試練に挑戦できるモードです。内容は以下のような複数のサブモードで構成されています。

  • アーケード: CPUキャラとの連戦を勝ち抜いていくモード。次々現れる強敵を倒し最終ステージクリアを目指す。

  • サバイバル: 体力が続く限り連戦し、何人倒せるかに挑戦するモード。

  • タイムアタック: 規定の相手を倒すまでのクリアタイムを競う。

  • スコアアタック: バトル中の様々な行動で加点されるスコアの合計を競う。

  • KOアタック: 制限時間内に何人の敵をKOできるか挑戦。

  • 破壊スコアアタック: ステージ内の物破壊で稼いだスコアを競う(例:廃墟の都ステージで建物をどれだけ壊せるか)。

  • チームバトル: 5人1組のチーム同士で戦い、勝ち抜き形式で相手チームを全滅させる。

  • 極限バトル: 特殊な強化状態の敵(能力MAXの敵など)とハンデマッチで戦う高難度モード。

  • パンチングマシーン: 原作天下一武道会の余興のパンチングマシンに挑むミニゲーム。タイミングよくボタンを押し高得点を狙う。

  • ドラゴンボールゲットバトル: 対戦中にドラゴンボールを奪い合う特殊ルール戦。勝利時に所持していたドラゴンボール個数を競う。

以上のように多彩なルールの試練が用意されており、各モードにランキング要素もあるためやり込み甲斐があります。

「アーケード」クリアで隠しキャラが出現するなどの隠し要素も用意されており、単なるおまけではなくゲーム攻略の一部として位置付けられています。レビュアーからも「収録イベント数は膨大で、ボリュームは文句なし」と好評でした。

VSモード(対戦)

好みのキャラクターとステージを選んで対戦できるモードです。
1P対CPU、1P対2P(オフライン対戦)に対応し、さらにチーム戦(2対2まで)も可能です。

チーム戦の場合はタッグマッチ形式で、操作キャラを随時交代しながら戦います。またチームに控えがいる状態で特定の必殺技を使うと合体技が発動する組み合わせも存在します(例:悟空(元気玉)+仲間の気の送付)。オフラインの画面分割対戦では画面が左右に分かれる方式ですが、画面が分割されると視野がやや狭まるため「オフライン対戦は見づらく、オンラインの方が良い」という意見もありました。

オンラインバトル:

ネットワークを通じてほかのプレイヤーと対戦できます。

モードとしてはプレイヤーマッチ(気軽な対戦)とランキングマッチ(戦績が記録されランク変動あり)があり、さらに最大16人参加の天下一武道会モードもオンライン対応しています。

天下一武道会(およびセルゲーム)はトーナメント形式で勝ち上がり方式の大会を開催できるもので、フレンド同士で開催して遊ぶことも可能です。
オンライン大会では他プレイヤーの試合を観戦するモードも用意され、観客が試合内容に評価を付けるといったユニークな機能も搭載されていました。

なお、オンライン周りではマナーの問題として「負けそうになると途中切断して逃げるプレイヤーが散見された」という海外レビュー報告もあり、発売当時はマッチング含め賑わった一方でこうした課題もあったようです(※現在は発売から年数が経ちマルチプレイ環境は縮小しています)。

  • その他のモード:
    • トレーニング(道場): 基本操作やコンボを練習できるチュートリアルモード。ピッコロや界王様の指南で操作を覚えられる。
    • 究極カスタマイズ: 前述のキャラカスタマイズ専用画面。取得アイテムの装備や技セット編集を行う。
    • オプション: 各種設定変更。難易度調整やBGM音量、操作設定などを変更可能。
    • ミュージアム: キャラクター図鑑やBGM試聴、ギャラリー閲覧、リプレイ鑑賞ができるモード。ファン向けのおまけ要素として、ゲーム中に見たイベントシーンをコレクションしたり、サウンドテストで主題歌やBGMを聞くことができます。

以上のように、本作はストーリーモードで原作追体験を楽しみつつ、対戦やチャレンジモードで繰り返し遊べる内容になっています。

とくにIFストーリーの充実はファンに好評で、「原作にはない夢の勝負を自分で作れる」点がドラゴンボールゲームの醍醐味として評価されました。また続編『2』ではストーリーモードが省かれ代わりにギャラクシーモードとなったため、本作『1』のドラゴンバトルコレクションはシリーズ唯一の従来型ストーリー体験としても貴重です。

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グラフィック・サウンドのこだわり

グラフィック面ではセルアニメ調の表現とハード性能を活かした高精細レンダリングにより、“動くアニメ”さながらのビジュアルを実現しています。

サウンド面でも豪華な主題歌やお馴染みのBGM、フルボイス演出などファンを唸らせるこだわりが随所に見られます。本節ではビジュアルと音響に関する特徴を紹介します。

ビジュアル表現

本作のキャラクターモデルはセル画風シェーディングで描かれ、輪郭線や陰影の付け方がアニメ調になるよう工夫されています。
肌やコスチュームの質感もアニメの雰囲気を崩さないマットな質感に調整されており、画面写真だけ見るとアニメと見紛うほどです。

原作デザインの再現度について、海外レビューでは「キャラクターモデルはアニメからそのまま飛び出してきたかのようだ」と賞賛されました。

必殺技のエフェクトもカメハメ波の光やエネルギー弾の軌跡などが美麗に描かれ、爆発の火花や衝撃波で画面が揺れる演出も健在です。
また、戦闘によるダメージ演出としてコスチューム破損が取り入れられています。バトルが進むと悟空の道着がボロボロになったり、ベジータの戦闘服が割れるなど細かな変化が起こり、臨場感を高めています。

舞台となる各ステージ背景も360度見渡せる広大なものが用意され、ナメック星の荒野やセルゲーム会場、元気玉でクレーターができた大地など原作名場面の情景が忠実に再現されています。
破壊可能オブジェクトの残骸が散乱したり地形にクレーターが残ったりと環境破壊の痕跡がバトルの激しさを示す点も細かいこだわりです。総じて「グラフィックの良さは高く評価され、アニメそのものの戦闘がスピーディに描かれる」としてユーザーレビューでも好評を博しました。

カメラ演出

グラフィックと関連しますが、演出的なカメラワークにも注目です。必殺技発動時にはカットイン演出アングル変更が入り、攻撃の迫力を演出します。
例えば、悟空のメテオコンビネーション(ラッシュ攻撃)では決め技の瞬間にアップのカメラになり、パンチがヒットすると画面がフラッシュするなど爽快感を強調します。またキャラ同士が同時に強攻撃を繰り出すと演出ムービー風の攻防になることがあり、互いの攻撃が激突して一瞬静止した後に爆発するといったアニメ的演出が組み込まれています。

画面UI(体力ゲージや気力ゲージ)は各キャラのアイコン枠を縁取る形で配置され、キャラに寄った時にも邪魔にならないレイアウトになっています。

必殺技名の表示フォントなども原作風で細部まで世界観に合わせています。なお、一部演出では意図的にフレームレートを落としてスロー演出を入れることもあり、60fpsの滑らかさとの緩急で魅せる工夫も見られます。

主題歌・BGM

音楽面の目玉として、影山ヒロノブ氏が歌う主題歌が2曲収録されています。オープニングテーマ「Progression」とエンディングテーマ「Battle of Omega」はいずれも本作のために書き下ろされた熱いロックナンバーで、作詞は森由里子氏、作曲は山本健司氏が担当しました。
影山ヒロノブ氏といえば「CHA-LA HEAD-CHA-LA」など歴代ドラゴンボールソングでおなじみですが、本作でもその力強いボーカルが健在で、ゲームを大いに盛り上げています。

ゲーム中のBGMも豪華で、歴代ドラゴンボール関連楽曲のアレンジが多数使われています。
たとえばアニメ『Z』エンディング曲「僕達は天使だった」のインストゥルメンタルや、『GT』オープニング「DAN DAN心魅かれてく」の劇伴バージョン、『ドラゴンボール改』OP「Dragon Soul」やED「Yeah! Break! Care! Break!」などファンには馴染み深い曲が流れます。
さらに『Z』の定番曲「CHA-LA HEAD-CHA-LA」もインスト版・ボーカル版の両方を収録し、バトルやメニュー画面で使用されています。
これらBGMはゲーム内の「ミュージアム」で自由に試聴することも可能で、サウンド面でもファンサービスが徹底しています。

また効果音に関しても、かめはめ波の発射音や瞬間移動時の「シュン!」という音など、アニメ版に近いものを再現しており、攻撃のヒット音も迫力ある仕上がりです。音響監督の長崎行男氏(『Z』アニメでも音響監督)はじめプロの手による調整で、戦闘の臨場感が耳からもしっかり伝わってきます。

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ボイス演出

プレイアブルキャラクターはフルボイスで掛け合いや必殺技名を喋ります。悟空の「かめはめ波ーーーっ!!」やベジータの「ファイナルフラッシュ!!」など、お馴染みの技コールも健在です。
ストーリーモード中の会話イベントでもアニメ声優陣による新録ボイスが多数収録され、ファンにはたまらない要素です。

日本版では野沢雅子氏、堀川りょう氏といったおなじみのキャストが担当し、海外版でも英語吹替声優による演技がなされています(ただし英語版は本作が旧来キャスト最後の出演となり、次作以降は『改』準拠の新キャストに交代)。なお本作発売後間もなく、老界王神役の田の中勇さんとミスター・サタン役の郷里大輔さんというシリーズお馴染みの声優2名がお亡くなりになりました。結果として本作が両氏のゲーム作品への最後の出演となり、そういった意味でもファンには感慨深い作品となっています。

総じて、本作のグラフィックとサウンドは「ドラゴンボールの世界観をゲーム機上で完全再現する」ことを目指したこだわりが感じられます。レビュアーからも「視覚的にも聴覚的にもまさに『ドラゴンボール』だ」と評価され、とりわけ原作ファンへのアピールという点で大きな強みとなりました。

発売地域ごとの相違点

『レイジングブラスト』は日本・北米・欧州・豪州など世界各地域で発売されました。それぞれ発売日やパッケージ展開、レーティングに違いがあり、マーケティング施策も各地域で異なっています。

本節では地域別の発売スケジュールと仕様上の差異、販売動向についてまとめます。

日本版

2009年11月12日発売。対応ハードはPS3とXbox 360の2機種で、価格は税込7,329円でした。CEROレーティングはA(全年齢対象)で、低年齢層でも遊べる表現内容になっています。

日本語音声・日本語表示のみ収録。初回生産特典として「超サイヤ人3ブロリー即時解放コード+限定カスタムキャラ6体のDLコード」が封入されています。販売本数は後述のとおりPS3版が約14万本・Xbox360版約1.6万本(国内累計)となりました。

北米版 (USA)

2009年11月10日発売。PS3/Xbox360ともに発売され、レーティングはESRB:T(Teen、13歳以上)です。これは「アニメ的な暴力表現や軽度の言葉遣い」を含むことに基づく指定で、ドラゴンボールの戦闘描写に対する一般的な規定です。

パッケージは英語タイトル表記の「Dragon Ball: Raging Blast」で、北米版ではNamco Bandai社による初のDBゲーム販売タイトルとなりました(2009年7月にそれまでのAtari社から販売権を取得して以降初リリース)。

音声は英語音声がデフォルトで収録され、日本語音声にもゲーム内設定で切替可能となっています。発売時にはGameStop等での予約特典「Raging Blast Special Pack」として、限定コンテンツのDLCコードやサウンドトラックCDが提供されました。

販売面ではNPDなど具体的初週本数データは不明ですが、全世界70万本のうち相当数を北米市場が占めたと推測されます(後述の全世界累計参照)。Metacritic平均スコアは57/100で、批評面では「賛否混在(Mixed)」評価でした。

欧州版 (EU)

2009年11月13日発売。対応ハード・内容は北米版とほぼ同様で、PEGIレーティングは12+(12歳以上対象)となっています。

パッケージ表記は欧州でも「Dragon Ball: Raging Blast」で、地域によっては言語別にローカライズされた説明書などが付属しました。欧州では特徴として限定版(コレクターズエディション)が発売されています。限定版には以下の特典が同梱されています: 専用スチールブックケース全52ページのアートブックオリジナルサウンドトラックCD、そしてゲーム内で使用できる特別なカスタムキャラやコスチュームのDLC引換コードが含まれる豪華仕様でした。

特にアートブックは設定画や描き下ろしイラストが収録されファンアイテムとして評価されています。販売動向として、イギリスを含む欧州主要国でも一定の人気を博し、のちに廉価版(PlatinumやClassics扱い)として再発売された地域もあります。Metacriticスコアは北米と同様56〜57/100前後で、ユーザースコアは概ね7/10前後とコアファンには比較的好評でした。

その他地域

オーストラリアでは2009年11月19日に発売。OFLC(豪州レーティング)はPG(Parental Guidance)指定で、軽度の暴力表現として分類されています。アジア地域では韓国や台湾でも発売されました(それぞれ現地言語のパッケージ有)。特筆すべき内容差はありませんが、韓国版では音声は日本語のまま字幕のみハングルといった仕様です。

以上のように、基本的なゲーム内容は世界共通ですが、パッケージや特典展開、評価は地域ごとに異なる側面がありました。
特に欧州限定版の存在は日本のファンにも羨ましがられ、サウンドトラックCD入手のため輸入購入するケースも見られたほどです。
また本作のグローバルでの成功(全世界累計70万本)を受け、翌年発売の続編『Raging Blast 2』も同様に多言語展開が強化されました。逆に日本ではXbox版販売が振るわなかったこともあり、後年のシリーズ作品ではPS系主体の展開が中心になっていきます。

地域別発売日・売上・評価の比較: (参考データ)

地域発売日初週売上本数累計売上本数(推定)主な評価指標
日本 (PS3)2009年11月12日57,972本(メディアクリエイト調べ)約14万本ファミ通33/40点
日本 (Xbox)2009年11月12日1週目圏外(1万本未満)約1.6万本
北米2009年11月10日不明(NPD非公開)※全世界70万本の主要構成地域Metacritic 57/100
欧州2009年11月13日不明※全世界70万本の主要構成地域Metacritic 56/100

(メモ: 日本版Xbox360初週は約3~4千本程度と推測されます)

売上・販売実績・評価動向

『レイジングブラスト』のセールスは、日本国内ではPS3版が約14万本を売り上げシリーズ従来作並みの健闘を見せ、全世界では累計70万本以上のヒットとなりました。

しかし評価面では賛否が分かれ、国内ユーザーやファンからは概ね好評だったものの、海外レビューではカメラや操作性に対する批判も見られました。本節では具体的な販売データと評価傾向を年次・地域別に整理します。

販売本数の推移

前述のとおり、発売直後の日本国内初週売上はPS3版5.8万本、Xbox360版は数千本規模でした。
以降、年末商戦も経てPS3版は累計約14万本に達しています。
Xbox360版は累計1.6万本程度で頭打ちとなり、両機種合算の国内累計は約15~16万本となりました。

これは前作にあたるPS3『ドラゴンボールZ バーストリミット』(開発:ディンプス、2008年発売)の国内約7万本と比べると多く、PS2時代最後の『Sparking! METEOR』(2007年、PS2版28万本)よりは少ないという、中堅クラスの売上です。

一方、海外市場では北米・欧州を中心に販売を伸ばし、全世界累計で70万本を記録しました。これはメーカーの決算資料にも「本作は全世界で70万本の販売実績」と明記されています(※2010年3月期バンダイナムコホールディングス決算資料)。
シリーズ続編『Raging Blast 2』は全世界58万本であったため、本作の方が売上的には成功した形です。

日本国内に限ればハード台数の多いPS3版に販売が集中し、Xbox市場でのドラゴンボールゲーム需要の限定ぶりが浮き彫りとなりました。
ただし北米ではXbox版も一定数売れたと推測されます。

地域別売上の正確な内訳は非公表ですが、Yahoo知恵袋でのユーザ分析によれば「レイジングブラスト1・2の売上は日本以外も含めた数字で、1が約70万本、2が約58万本。日本国内分は1が約16万本強、2が約10万本強」と推計されています(※実際にRB2日本はPS3版約8万本+360版2万本弱)。以上より、本作RB1の海外売上は50万本超と推測され、特に欧米での人気がシリーズ継続の原動力となったと言えます。

収益・採算

開発会社スパイクにとっては、PS2時代のSparking!シリーズで培ったノウハウを次世代機向けに活かす形で開発が進められました。
販売元のバンダイナムコゲームス(当時)は強力なドラゴンボールIPの国際展開を推進しており、本作の売上は収益面でも貢献しました。

決算発表資料によれば、2009年度下期に本作がグローバルヒットしたことがキャラクターゲーム部門の増収要因のひとつに挙げられています。特に欧米版の限定版展開や各国ローカライズ費用を回収できる規模でヒットした点は、以降のドラゴンボールゲーム戦略にも影響を与えました。

レビュー・メディア評価

国内ゲーム誌ではファミ通クロスレビュー33点(40点満点中)を獲得しています。
レビュアーからは「スピーディーで爽快な戦闘が原作さながら」「キャラ数・イベント数豊富でボリューム◎」といったポジティブ意見が多く、中でもグラフィック演出や簡単操作でド派手な技を出せる点が高評価でした。
一方で「カメラが壁際で見づらい」「ロード時間が長め」などの減点要素も指摘されています。

総合的には殿堂入りシルバーを獲得し、ドラゴンボールファンには安心しておすすめできる作品との論調でした。電撃オンラインなど他媒体のレビューも概ね似た評価で、「原作再現度が高くファン向けには満足度が高いが、格闘ゲームとして見ると奥深さに欠ける」というニュアンスが伝えられています。

海外レビューではMetacriticスコアが56〜57/100前後と平均的評価に留まりました。IGNやGameSpotといった大手メディアは6/10程度のスコアをつけ、「キャラクターやモードの豊富さは認めるが、戦闘システムが浅く単調」「カメラ挙動や操作系に難があり、新規プレイヤーにはとっつきにくい」と評しました。

具体的には、IGNは「コンテンツ量は多いがストーリー演出が不親切で、ゲームプレイにも多数の問題がある」とコメントし、GameSpotも「膨大なキャラやストーリー・コスチュームは用意されているが、肝心の戦闘が浅く刺激に欠ける」と辛口でした。

一方でXbox専門メディアのTeamXboxは7.4/10とやや高めの評価を与え、「技術的な欠点は多々あるがファンなら十分楽しめる」と述べています。

総じて海外では「前世代(PS2時代)のBudokai Tenkaichiシリーズの方が優れていた」「シリーズとしての進化が感じられない」という指摘もあり、過去作と比較して厳しい目が向けられた印象です。

もっとも、ユーザー評価では熱心なドラゴンボールファンを中心に好意的な声も多く、Metacriticのユーザースコアは7.0/10前後とメディア評価より高めでした。「映像美とキャラゲーとしての再現度は素晴らしい」「オンライン対戦が盛り上がった」といった意見もあり、売上が示すようにシリーズとして一定の支持を獲得できたと言えます。

続編への影響

本作の評価を受けて、翌年の『ドラゴンボール レイジングブラスト2』ではグラフィックのさらなる強化や新システム「レイジングソウル」の追加などテコ入れが図られました。
また「キャラクター数をもっと増やして欲しい」「GTや劇場版のキャラも参戦して欲しい」といったファン要望に応え、RB2では収録キャラ数が新規含め大幅増加(50体以上→90体以上に)しています。一方でRB2では従来型ストーリーモードが削除され、新モードに置き換えられたことが賛否を呼びました。

売上的にはRB2は全世界58万本とシリーズ下降となり、2011年の『アルティメットブラスト(海外名Ultimate Tenkaichi)』をもってスパイク開発の据置DBゲームは一旦幕引きとなります。

ユーザー評価や売上動向から、スパイク版DBゲームはこのRBシリーズで一つの区切りを迎え、以降ドラゴンボールゲームはDimps開発の『ゼノバース』シリーズ(2015年~)やArc System Works開発の対戦格闘『ファイターズ』(2018年)へと路線転換していきました。

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開発/運営スタッフの声・裏話

『レイジングブラスト』の開発はスパイク(現スパイク・チュンソフト)が担当し、プロデューサーはバンダイナムコゲームスの三戸亮氏が務めました。PS2『Sparking!』シリーズを成功させたスタッフ陣が多く参画し、HD機で新たなドラゴンボールゲームを作り上げた経緯があります。開発当時のエピソードやスタッフコメント、裏話的なトリビアをいくつか紹介します。

スパイク開発陣

スパイクはPS2『ドラゴンボールZ Sparking!』シリーズ(三部作、海外名Budokai Tenkaichi)を手掛けた会社で、本作もその延長線上にあるプロジェクトでした。

Sparking!シリーズ最終作『METEOR』から2年ぶりの新作となった本作ですが、当時すでにPS3/Xbox360世代に移行しており、開発陣は「次世代機版Sparking!を作る」意気込みで臨んだとされています(※あるファン記事では「本作RBはSparking!シリーズの精神的続編」とも評されています)。

実際、開発コードや社内呼称でも“Sparking! HD”に近い扱いだったそうです。プロデューサーの三戸氏も「Sparking!シリーズのアクションの楽しさは引き継ぎつつ、別の方向性を模索したシリーズ」とRBシリーズを位置付けています。

例えばキャラクター数をあえて絞り込み、その分モデルや演出クオリティを向上させる方針が取られました。PS2時代に150体近くいたプレイアブルが本作で50体強になったのは賛否ありましたが、「クオリティ優先の決断だった」とインタビューで語られています。

HD機での挑戦

開発にあたり最も苦労したのは、やはりHDグラフィックと新ハードアーキテクチャへの対応と語られています。特にPS3のCELL構造は当時の開発者泣かせでしたが、スパイクのエンジニア陣は60fps動作オンライン対戦を両立させるべく最適化に注力しました。結果として前述のように美麗グラフィック&滑らか動作を実現していますが、発売直前にはデバッグ作業が難航し、一時はオンライン周りの実装を簡略化する案も検討されたといいます(最終的にはフル機能実装)。

またプロデューサー三戸氏によれば、「開発序盤はPS2版メテオの再現に注力し過ぎて動作が重くなってしまった」ため、大胆な設計見直しでブレイクスルーした経緯もあったとのことです。これらは当時のファミ通インタビュー等で語られています。

超サイヤ人3ブロリー&ベジータの誕生

本作の目玉となったゲームオリジナル超サイヤ人3キャラクターの発案について、裏話があります。企画段階で「HD機でインパクトのある新要素を」という議題が出た際、バンダイ側スタッフから「ファンが驚くサプライズキャラを用意したい」と提案がありました。

いくつか候補が出る中で最終的に採用されたのが「既存人気キャラの新形態」、すなわち原作でその形態になっていないブロリーとベジータの超サイヤ人3化でした。これは鳥山明先生のデザイン許諾も得て実現しており、実は本作に先駆けてアーケードカードゲーム『ドラゴンボールZ 爆烈IMPACT(ドラゴンバトラーズ)』にて先行登場していました。つまりゲームオリジナルとはいえ、当時展開中の別ゲームプロジェクトと連動したクロスメディア的な試みでもあったのです。

開発スタッフも「まさかベジータが3になるとは思わなかった(笑)」と興奮気味に語っており、完成したモデルを見た鳥山先生からも太鼓判をもらえたそうです。

没アイデア・調整

開発中に検討されたものの没になったアイデアもあります。その一つがドラゴンボール集め要素のストーリー組み込みです。

原作でお馴染みの「7つ集めて神龍に願い」がゲーム内でできたら面白いのではと検討されましたが、時間的制約で見送られました(代わりにドラゴンボールゲットバトルとして対戦ルール化)。

また巨大ボス戦(大猿やヒルデガーンとの戦闘)は当初プロトタイプが作られましたが、ゲームバランス調整が難航し本作では未実装となりました。
この反省を活かし、巨大キャラ戦は後発の『アルティメットブラスト』で改めて導入されています。

さらにマニアックなところでは、オンライン対戦の観戦モードで観客がリアクションできるスタンプ機能が検討されていたという話もあります(盛り上がった時に拍手アイコンを送る等)。実現はしませんでしたが、現在のゲーム配信文化を先取りした発想と言えるかもしれません。

スタッフインタビューから

発売当時のメディア向けインタビューでは、三戸Pが「**『METEOR』から時間が空いたのは、あの作品の完成度が高すぎて一旦やり切った感があったから」とコメントしています。その上で、「最新技術で再びあの興奮を超えるものを作れると確信し、チャレンジした」と述べ、本作開発の意義を語っています。

またディレクターの金子裕幸氏は「オンライン対戦で世界中のファンが繋がるのが夢だった。実際に欧米のプレイヤーと日本のプレイヤーが戦っているのを見ると感慨深い」と語っています(オンラインロビーで外国語のプレイヤー同士がコミュニケーションしている光景も見られたとのこと)。

加えて、サウンド関連では音楽担当の山本健司氏(ゲーム用BGMの作曲を担当。当時はドラゴンボール改の劇伴も手掛けていた)が「原作BGMのオマージュを多数入れた。古谷徹さん(ヤムチャ声優)に『お、懐かしい曲が流れてるね!』と言ってもらえたのが嬉しかった」と語るエピソードもあります。

このように、開発スタッフの情熱ドラゴンボール愛が詰まった裏話が数多く存在します。本作はシリーズの系譜としてスパイク開発ラインの集大成であり、彼らにとっても新境地への挑戦でした。後年、長らく途絶えていた「Sparking!シリーズ」が2024年に『Sparking! ZERO』として復活発表されますが、その際のインタビューでも「レイジングブラストはSparking!の精神を継いだ別路線だった」と触れられており、本作の存在がドラゴンボールゲーム史に刻んだ足跡は小さくないと言えるでしょう。

まとめと今後への影響

『ドラゴンボール レイジングブラスト』はHDハード黎明期に登場し、新たな試みとファンサービス精神で作られた意欲作でした。シリーズとしては2作で一旦幕を閉じましたが、本作の成果と課題は後続のドラゴンボールゲームにも引き継がれています。最後に総括と、その後の展開への影響について述べます。

総括

『レイジングブラスト』は、「次世代機で蘇ったSparking!シリーズ」とも言える作品でした。高品質なビジュアルと多彩なモード、そしてオンライン対応など、当時求められる新要素を積極的に盛り込んだことで、世界中のファンにアピールし商業的にも成功を収めました。
特に日本のみならず海外ユーザーから支持を得たことは、本シリーズの存在意義を高める結果となりました。

反面、ゲーム性やカメラ制御などで課題も残し、メディア評価は伸び悩む結果ともなりました。しかし「キャラクターゲームはファンが楽しめてナンボ」という観点では、本作は原作愛に満ちた作り込みで高い満足度を提供できたと言えるでしょう。

初収録の超サイヤ人3ブロリー/ベジータや、充実のifストーリーは長年語り草になるほどインパクトを与え、ドラゴンボールゲームの新たな可能性を示した点も評価できます。

後続作品への影響

本作で培われたオンライン対戦のノウハウやHDグラフィック表現は、その後のドラゴンボールゲームシリーズにも活かされていきました。

例えば『ドラゴンボール ゼノバース』(2015年、開発:ディンプス)ではオンラインロビーでの協力プレイや対戦が重視されましたが、据置機DBゲームでオンラインマルチプレイが定着した背景にはRBシリーズの先駆けがあったと考えられます。

また、「もしものIF展開をゲームで描く」というコンセプトは、ゼノバースでタイムパトロールによる歴史改変ストーリーとしてさらに発展しました。本作で好評だったIF路線が、新たな形で受け継がれたと言えるでしょう。

グラフィック面でも、RBのセルシェーディング手法は以降の作品で踏襲されつつ改良が加えられ、例えば2018年発売の対戦格闘『ドラゴンボール ファイターズ』では2.5D表現ながらアニメ演出を突き詰めた映像美を実現しています。そうした技術的進化の礎にも、本作での挑戦が少なからず貢献しているはずです。

シリーズの区切り

『レイジングブラスト2』発売後、スパイク開発ラインのドラゴンボール据置ゲームは2011年の『アルティメットブラスト』を最後に姿を消しました。これはRBシリーズの売上減少や評価面の苦戦も一因でしたが、逆に言えばRBシリーズで一巡したからこそ、新しい路線へ転換する契機となったとも言えます。

事実、その後はゲームジャンルを見直し、オンラインRPG的要素を取り入れたゼノバースや、対戦格闘に特化したファイターズといった新たな成功作が生まれています。
レイジングブラストで得られた教訓(ファンが望む要素とゲーム性の両立の難しさ)は、次世代の作品企画に活かされていきました。

さらに2024年には、約13年ぶりにスパイク・チュンソフトが手掛ける新作『ドラゴンボール Sparking! ZERO』が発売されます。RBシリーズで蓄積したHD3Dアクションの経験が開発元にあるからこそ、満を持して復活に踏み切れたとも考えられます。RBシリーズは一旦幕を閉じましたが、その精神や技術は形を変えて今なおドラゴンボールゲームに息づいていると言えるでしょう。

最後に、本作『レイジングブラスト』はドラゴンボールゲーム史の中で過渡期の挑戦作として位置付けられます。原作愛に支えられた作り込みと、新世代への模索が融合した本作は、発売から年月を経た現在でも多くのファンに記憶されています。

これから先もドラゴンボールゲームは進化を続けるでしょうが、『レイジングブラスト』が切り拓いた道は確かに次代へと繋がっていくはずです。

参考記事
【ドラゴンボール レイジングブラスト】トロフィー/実績一覧

【PS3】2009年 発売リスト まとめ

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