【その着せ替え人形は恋をする】あらすじまとめ|出会いから結末まで(ネタバレ範囲つき)

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【その着せ替え人形は恋をする】あらすじまとめ|出会いから結末まで(ネタバレ範囲つき)

『その着せ替え人形は恋をする』(通称:着せ恋)は、雛人形の職人を目指す男子高校生・五条新菜と、コスプレが大好きな喜多川海夢が「衣装作り」をきっかけに距離を縮めていく青春ラブコメです。
本記事では、まず「ネタバレなし」で物語の入り口を整理し、その後「ネタバレあり」で中盤の流れ、最後に「完全ネタバレ」で結末までまとめます。

ここから先は、見出しごとにネタバレ範囲が変わります。
「ネタバレなし」→「ネタバレあり」→「完全ネタバレ(結末)」の順に深くなります。未読・未視聴の方はご注意ください。

【ネタバレなし】あらすじ(出会い〜衣装作りが始まるまで)

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五条新菜(ごじょう わかな)は、実家が雛人形店という環境で育ち、雛人形の顔を作る「頭師(かしらし)」を目指している高校生です。幼い頃から雛人形が好きで、手を動かして“形にする”ことに没頭してきました。けれど、その趣味を同年代に理解されず、否定の言葉を受けた過去が心の傷になっています。
その出来事をきっかけに、新菜は友達づきあいから距離を置くようになり、学校でも目立たず、放課後はひたすら雛人形制作に向き合う毎日を送っています。ここまでの新菜は「好きなことに真剣」なのに「それを人に見せるのが怖い」状態で、作品の序盤はこの“閉じた世界”を丁寧に見せてくれます。

そこに飛び込んでくるのが、同級生の喜多川海夢(きたがわ まりん)です。見た目はギャルで、明るくて、クラスの中心にいるタイプ。けれど海夢には、別の顔があります。それが「コスプレが大好き」という情熱です。海夢は、好きな作品やキャラクターに本気で心を動かされていて、「なりたい」という気持ちを誤魔化しません。一方で、コスプレをするために必要な“衣装作り”は簡単ではなく、特に裁縫は得意ではない。海夢は「やりたい気持ち」は大きいのに「作る技術」が追いつかず、そこが壁になっていました。

2人がつながるきっかけは、学校の被服実習室で起きます。新菜が雛人形用の衣装を作っていたところを海夢に見られてしまうのですが、ここが大事な転換点です。新菜にとっては、趣味を知られた瞬間そのものが“怖い出来事”になり得ます。普通なら「からかわれるかもしれない」「気持ち悪いと思われるかもしれない」と身構えてしまう状況です。ところが海夢は、新菜の裁縫を見て純粋に驚き、感銘を受けます。さらに海夢は、自分が抱えていた「コスプレをしたいのに衣装が作れない」という悩みをまっすぐに開示し、新菜に衣装制作を依頼します。新菜は戸惑いながらも、海夢の熱意に押されて、コスプレ衣装の製作に取り掛かる。ここで物語は、はっきりと動き出します。

この序盤が気持ちいいのは、恋愛のドキドキより先に「制作の現場」が2人の距離を変えていくからです。衣装作りは、単なる手作業ではありません。どのキャラの、どのシーンの衣装なのかを調べ、布の質感や色味を揃え、形に落とし込み、実際に着たときに動けるように調整する。完成度を上げるほど、会話と試行錯誤が増えます。つまり制作は、2人の間に“話す理由”と“会う理由”を自然に増やしていく仕組みになっています。公式のイントロでも「ある日の出会いをきっかけに、コスプレを通して交流を深めていく」物語として示されていて、序盤の方向性がとても分かりやすいです。

もう一つ、序盤の見どころは「価値観の交換」です。新菜は“技術があるのに自信がない”。海夢は“自信はあるのに技術が追いつかない”。その噛み合わせが、ただの凸凹コンビで終わらず、お互いの欠けている部分を埋める関係になっていきます。海夢は新菜の手仕事をまっすぐ褒め、必要としてくれる存在です。新菜は海夢の情熱の熱さに触れることで、心の奥にしまい込んでいた「誰かに喜ばれたい」「自分の好きなことを認めてもらいたい」という感情が少しずつ動き始めます。ここまでが、出会いから「制作開始」までの序盤の骨格で、読者がこの作品に入りやすい理由でもあります。

段階出来事新菜側のポイント海夢側のポイント関係の変化ネタバレ度
導入新菜の背景頭師志望/趣味を否定された過去新菜の世界は閉じているなし
接点被服室で目撃趣味を見られて動揺裁縫スキルに驚く会話が生まれるなし
依頼衣装制作のお願い戸惑いつつ話を聞くコスプレ願望を打ち明ける2人だけの“制作チーム”が成立なし
開始制作に着手技術が物語を動かす情熱が物語を加速させる交流が日常化していくなし

要点まとめ

  • 新菜は「雛人形が好き」という過去の経験から、趣味を見せることに臆病になっています。
  • 海夢はコスプレが好きでも、衣装作りが壁になっていました。
  • 被服室での出会いをきっかけに、海夢が新菜へ衣装制作を依頼し、2人の交流が“制作”を軸に動き始めます。

【ネタバレなし】初めてのコスプレ(衣装完成〜イベント参加)

「衣装を作る」と一言で言っても、新菜にとっては“いつもの雛人形制作”とは勝手が違います。雛人形の衣装は、基本的に「飾る」ことを前提にした作り方になりますが、コスプレ衣装は「着て動く」ことが大前提です。見た目の再現度だけでなく、歩いたり座ったり、腕を上げたりしても破綻しない強度や、身体に当たる部分の快適さまで必要になります。新菜は裁縫そのものは得意でも、コスプレ衣装は初挑戦。だからこそ序盤は、海夢の熱量に押されて進むだけでなく、新菜が「どう作れば“なりたい姿”に近づけるか」を必死に考える過程が、あらすじとしても読みどころになります。

そして、初めてのコスプレがストーリーとして強いのは「期限」があるからです。海夢はコスプレイベントに参加する予定で、衣装完成の締め切りが現実の予定として迫ってきます。新菜は短期間で仕上げなければならないと知って動揺しつつも、引き受けた以上は間に合わせようと奔走します。さらに、家では祖父の体調トラブルが重なり、家業を一人で回す必要が出てくる。時間も体力も足りない状況が続き、新菜は自分の不甲斐なさに落ち込んでしまうのですが、それでも立て直して衣装へ戻っていく流れが、序盤の“新菜の成長”をはっきり見せてくれます。

一方の海夢は、衣装制作を「お願いして終わり」にしません。自分がどんなキャラを好きで、どこが刺さっていて、どんな姿になりたいのかを言葉にして、新菜に共有します。海夢の強みは、好きなものを恥ずかしがらずに語れるところです。新菜はその熱量に触れながら、衣装を“依頼品”としてではなく、海夢の「なりたい」を形にする共同作業として受け止めていきます。

衣装が完成すると、いよいよイベント当日です。海夢は新菜を誘い、初めてコスプレイベントに参加して“コスプレイヤーとしてデビュー”します。初参加の緊張、会場の空気、写真撮影の距離感、衣装の見え方。海夢にとっては「ずっとやりたかったことが現実になった日」であり、新菜にとっては「自分の技術が誰かの“なりたい”を成立させた日」になります。漫画とアニメでも衣装完成後にイベントへ参加してデビューする流れが印象的に描かれており、物語の最初の大きな到達点として扱われています。

このエピソードの決定打は、イベントそのものの成功だけではありません。帰りの電車の中で、新菜が海夢の姿を見て思わず「奇麗だった」と呟く場面があります。新菜にとって「奇麗」は、軽いお世辞ではなく、雛人形制作でずっと追いかけてきた“特別な褒め言葉”です。そしてその言葉を耳にした海夢は、恋に落ちてしまう。つまり初めてのコスプレは、海夢の夢を叶える回であると同時に、「海夢の恋がはっきり動き始める回」でもあります。ここまでが、出会い〜制作開始の次に来る“序盤の最重要ポイント”です。

初めてのコスプレ回の流れ(時系列まとめ表)

段階何が起きる?新菜側の変化海夢側の変化読者の見どころ
制作本格化衣装完成に向けて動く“着て動く服”の発想に踏み込む理想の共有が進む共同作業の密度が上がる
締め切り圧イベント予定が迫る短期制作で奔走待つだけでなく関わる制作ドラマが生まれる
トラブル家庭事情などが重なる一度折れかける→戻る新菜を支える側にもなる新菜の成長が分かりやすい
完成衣装が仕上がる達成感と自信が芽生える夢が現実になるここで空気が変わる
イベント参加海夢がデビュー“作った価値”を実感楽しさと手応えを得る世界が広がる第一歩
帰り道「奇麗だった」本音が漏れる恋が始まる恋愛面の転換点

要点まとめ

  • 初めてのコスプレ回は「衣装完成」だけでなく「イベント参加=世界が広がる一歩」までがセットです。
  • 締め切りとトラブルが重なることで、新菜の“作り手としての覚悟”が見える章になります。
  • 帰りの電車での一言が、海夢の恋を動かす決定打として機能します。

【ネタバレあり】中盤の流れ(仲間が増え、活動が広がる)

初めてのイベント参加を経て、海夢と新菜の関係は「衣装を作って終わり」ではなく、「次は何をやる?」へ自然に進んでいきます。ここから中盤に入ると、物語の面白さが“2人の世界”だけで完結しなくなります。クラスメイトとの交流や、新しいコスプレ仲間との出会いが重なり、海夢と新菜の行動範囲が一気に広がっていくからです。公式サイトのイントロでも、コスプレを通して交流を深める中で世界がさらに広がっていく流れが示されています。

中盤の大きな節目は、人気コスプレイヤー「ジュジュ」こと乾紗寿叶(いぬい・さじゅな)と、その妹で写真担当の乾心寿(いぬい・しんじゅ)の登場です。2人はコスプレ界隈で存在感が大きく、海夢たちの活動が“同級生の遊び”から一段上のステージへ繋がる入口になっています。

ここで新菜が直面するのは、依頼の「重さ」が変わることです。海夢の衣装制作は、もちろん本気ではあるものの、関係性が近いぶん相談と修正がしやすい。けれどジュジュは“人気者”であり、求める完成度や撮影での見え方もシビアです。巻別あらすじでは、紗寿叶と海夢による「フラワープリンセス烈!!」のコスプレ合わせを実現するために、新菜が衣装作りに取り掛かり、材料調達から制作、撮影場所へ向かう流れがまとめられています。

この時点で新菜は「頼まれたから作る」から、「相手の理想を読み取り、撮影で成立する形に調整する」へ踏み込んでいきます。つまり技術者としての役割が、ただの裁縫担当から“再現の責任者”へ近づいていくわけです。

そして中盤で気持ちいいのが、妹の心寿が“自分もコスプレしたい”という気持ちを言葉にしていく流れです。新菜が心寿に「コスプレをしたいのではないか」と問いかけ、心寿が自分の気持ちを心を開き語り始めること。さらに新菜が「男装がしたい」という望みを叶えるため、衣装の調達や胸を隠す方法などの課題を解決していくことがストーリー上の大きな流れとなっていきます。

ここが中盤の核で、着せ恋は“恋愛の当事者2人”だけを描く作品ではなく、「好きなものを言えない人」「一歩踏み出せない人」まで含めて背中を押していきます。新菜の作業は服を縫うことだけではなく、相手が抱えている不安をほどいて、なりたい姿を成立させるサポートになっていきます。

同時に、海夢側も変化します。序盤は「作ってほしい」と頼む側でしたが、中盤では「合わせの段取り」「撮影の場づくり」「周囲との橋渡し」など、動き方がどんどん“主催側”に寄っていきます。結果として新菜は、海夢に引っ張られながらも、人との距離を縮める経験を積み、クラスメイトとの関係も少しずつ変わっていく。公式サイトが示す「クラスメイトたちとの交流」「新しいコスプレ仲間たちとの出会い」という広がりが、まさに中盤で具体化していきます。

まとめると、中盤は「仲間が増える」ことで、恋の進展だけではなく、制作・撮影・交流が全部つながって物語の密度が上がる章です。公式の紹介でも、本作が“コスプレ衣装制作を頼まれたことから始まる青春ラブコメ”であり、キャラや見どころを含めて語られる作品として位置づけられています。
中盤以降はその“青春”が、学校内だけでなくコスプレコミュニティへ広がっていくことで、読者が「次は誰が出て、何が起きる?」を追いやすくなっていきます。

中盤の主要トピックまとめ表

トピック関わる人物何が起きる?見どころ関係の変化
コスプレ仲間が増える海夢/新菜/乾姉妹“合わせ”に向けて衣装制作と撮影へ制作が「作品を成立させる仕事」へ拡張2人の世界が外へ開く
ジュジュ(乾紗寿叶)編乾紗寿叶/海夢/新菜人気コスプレイヤーの依頼を受ける完成度・撮影映えまで意識が必要新菜が“頼られる側”になる
心寿(乾心寿)編乾心寿/新菜心寿の「やりたい」を形にしていく課題解決(衣装・体型の悩みなど)新菜の役割が“支える人”に広がる
交流の拡張クラスメイト/コス仲間学校と趣味の世界がつながる新菜の居場所が増える海夢の恋も加速しやすくなる

要点まとめ

  • 中盤は乾姉妹の登場で、制作と交流が一気に広がります。
  • “合わせ”は、衣装の完成だけでなく撮影で成立させる視点が加わるのが面白いところです。
  • 「世界が広がっていく」が、この章で具体的に見えてきます。

【ネタバレあり】山場(大型制作)と2人の関係が揺れる局面

その着せ替え人形は恋をする 12巻より引用(amazon商品ページ

中盤で仲間が増え、制作や撮影の経験値が上がってきたところで、着せ恋は「作る楽しさ」だけでは終わらない局面へ入ります。山場の核になるのは、海夢が冬コミ(コミケ)でコスプレ参加を決める流れです。ここで重要なのは、イベント規模が大きいこと以上に、2人の関係が“外の世界”と本格的につながってしまう点です。今までは、良くも悪くも海夢と新菜の間で完結していた評価が、写真・SNS・現場の反応として可視化されます。そこに耐えられるだけの熱量が2人にある一方で、感情の揺れも避けにくくなります。

冬コミに向けて海夢が選ぶコスプレは、漫画『天命』のキャラクター「ハニエル」です。ここから新菜のスイッチが入ります。ハニエルの造形や世界観に新菜が強く惹かれ、まるで憑かれたように制作へ没頭していく流れが描かれます。ポイントは「頑張る」ではなく「取り憑かれる」に近い温度です。海夢の“なりたい”を叶えるための制作が、新菜にとっては“表現の頂点を作りたい”という欲求に火をつけてしまう。結果として、新菜は徹底的にこだわってハニエルを再現し、衣装だけでなく造形面でも踏み込んだ完成形に近づけていきます。

そして当日。海夢がハニエル衣装で冬コミに参加すると、反響が想像以上に大きくなります。海夢の立ち振る舞いも含めて「キャラになりきっている」評価を受け、大評判になる。さらにSNSで写真が広まり、原作側からの称賛や、プロのコスプレモデルのような道を示す声が届くほどの反応へ膨らんでいきます。ここまでの流れは「大成功」のはずです。実際に物語上も、海夢の夢が大きく形になった達成点として扱われます。

ただし山場は、成功の直後に“感情の段差”を作ります。海夢が光を浴びれば浴びるほど、新菜の表情は暗くなっていく。外から見れば「おめでとう」なのに、新菜の内側では別の感情が湧いてしまいます。海夢が遠い場所へ行ってしまうかもしれない不安。自分は彼女の隣に立てるのかという自己評価の揺れ。あるいは「彼女の成功」を喜びきれない自分への嫌悪感。こうした複数の感情が絡まって、2人の距離が微妙に開いていきます。冬コミ後に新菜が複雑な心境になり、海夢との距離が開く流れが明確に感じ取れます。

このすれ違いが上手いのは、安い誤解や言葉不足だけで引っ張らないところです。海夢は悪くないし、新菜も支えた。むしろ2人で“最高のもの”を作ったからこそ、世界が広がりすぎた。つまり原因は、2人の関係性が前進した結果として発生した副作用に近いわけです。

また、この章は“新菜の原点”にも触れます。14巻では、ハニエルコスが大熱狂を生み原作者の目に留まるほど反響が広がった一方で、新菜の表情は暗く、海夢との関係もぎくしゃくしている様子が示されています。さらに2人が雛人形のイベントへ出かける展開にも触れられていて、新菜が自分の原点と向き合う導線として機能していることが分かります。

この“原点回帰”が入ることで、すれ違いは単なる恋愛ドラマではなく、新菜が抱え続けてきた「自分の好き」や「自分の価値」の問題へ接続されます。だからこそ、山場の後味はビターになりすぎず、次の展開への期待につながります。

山場の出来事まとめ表(大型制作〜すれ違い)

フェーズ出来事何がスイッチになる?新菜側海夢側
準備冬コミ参加を決める外の世界へ本格的に出る制作の責任が増える夢が現実に近づく
題材決定ハニエルを選ぶ新菜が作品に惹かれる没頭が始まる新菜の熱量を信頼する
制作徹底再現へ完成度へのこだわり取り憑かれたように作る期待とドキドキが高まる
当日冬コミで大評判SNSで反響が拡大達成のはずが複雑に大成功を実感する
余波距離が開く成功が“段差”になる不安・自己評価の揺れ変化に気づき始める

要点まとめ

  • 冬コミのハニエル編は、制作の頂点と成功の反響が重なる山場です。
  • 成功が大きいほど、新菜の感情が追いつかず、距離が開く展開になります。
  • このすれ違いは“誤解”ではなく、世界が広がった結果として起きるのがポイントです。

【完全ネタバレ】結末(エピローグの着地)と作品テーマまとめ

その着せ替え人形は恋をする 15巻(amazon商品ページ)

冬コミのハニエル編で“想像以上の反響”が起きたあと、物語は「成功=ハッピー」で終わらせず、成功が大きいほど感情が追いつかなくなる瞬間を描きます。海夢は評判になり、スカウトが来るほど注目されますが、その光の強さが、新菜の中にある不安や自己評価の揺れを刺激してしまう。新菜は海夢との距離が開いたことを自覚しつつも、どう整えればいいか分からない状態に入ります。ここに追い打ちをかけるのが、幼い頃に新菜の趣味を「気持ち悪い」と言ってトラウマを残した幼なじみ(のんちゃん/青柳のばら)との再会です。成功の余波と過去の傷が同時に戻ってきて、新菜は余計に心の置き場を失い、海夢も「もう衣装製作は頼まない」と言い出すほど関係がぎくしゃくします。

ただ、着せ恋の最終盤が強いのは「すれ違いを引っ張る」より先に、“2人で言葉にしてほどく”方向へ進むところです。新菜は、海夢に感謝していること(衣装製作を通して世界が広がったこと)をはっきり伝えたうえで、冬コミのときの態度が「海夢が人気者になったことへの嫉妬」だったと打ち明けます。ここで海夢は、同情でも説教でもなく、真正面から感情を受け止めて「やきもち焼くくらい好きなんでしょ」と勢いよく押し返し、その流れで自分も好きだと告白し、猛アタックに入ります。つまり“関係の修復”が、反省会ではなく「好き」の確信へ変わる。最終盤の着地が明るいのは、この切り替えがあるからです。

一方で、冬コミの写真を見た編集者が海夢の身元を探す動きもあり、物語は「趣味がバズったらどうする?」という現実的なテーマにも触れます。結論として海夢は、コスプレを仕事にするより「趣味として続けられたらいい」というスタンスを選び、ネット上の“特定”も起きず、ハニエルの正体は知人以外には謎のまま終わります。ここは、熱狂や注目を“目標”にしない選択として大事なポイントです。好きなことは、派手に伸ばすだけが正解じゃない。自分のペースを守る、という終わり方をしているのが着せ恋らしさでもあります。

恋愛面の「最終的な状態」ははっきりしていて、新菜は海夢と付き合い始めたことを祖父やクラスメイトに打ち明けますが、周囲は「まだ付き合ってなかったの?」という反応を返します。これは読者の気持ちの代弁になっていて、長い積み重ねが“ようやく言葉になった”安心感があります。さらに新菜は文化祭以降、クラスメイトとも親しくなり、孤立していた頃とは打って変わって学校生活を楽しむようになります。そして2人は、コスプレで知り合った友人たちと一緒に、マイペースにコスプレを続けていく。恋愛だけで完結せず、「居場所」と「仲間」が残る形で締まるのがきれいです。

そしてエピローグ。高校卒業後、海夢は事務所に所属してプロのモデルになりますが、コスプレはあくまで趣味として続けます。新菜は「一風変わった」雛人形を作る職人として話題になっていく。2人とも、自分の得意と好きが“社会の中での形”になっていくのが分かる終わり方です。最後はさらに踏み込んで、2人が結婚し、日嘉(にちか)という娘が生まれている未来まで示されます。恋が実り、生活へつながる。けれど「好き」を手放さないまま大人になっている。ここが、着せ恋の結末のいちばん気持ちいいところだと思います。

なお単行本最終巻(15巻)の紹介では、付き合うことになった2人が「誕生日デートでの口論」や「思い出の場所へ行く」といった出来事を経て、コスプレ・スクールライフが完結することが示されています。大団円の中にも、2人らしい小さな衝突と、それを越える時間が入っているイメージです。

結末までの流れ(冬コミ後〜エピローグ)まとめ表

段階出来事新菜の心情海夢の心情関係の変化テーマ
余波冬コミの大反響不安・自己評価が揺れる成功を実感距離が開く“注目”の重さ
再燃のんちゃん再会トラウマが刺激される戸惑いぎくしゃく過去の傷と現在
対話嫉妬を打ち明ける本音を言う受け止めて返す修復へ“好き”の言語化
告白海夢が告白→猛アタック気持ちが追いつく一直線交際が成立恋の確定
継続仲間とマイペースに活動学校生活も楽しむ趣味として続ける日常に根づく居場所の拡張
未来卒業後〜結婚・娘職人として話題にモデルとして活動家族になる好きが人生になる

要点まとめ

  • 冬コミの成功は、2人にとって“前進”であるほど、感情の段差(嫉妬・不安)も生みます。
  • 最終盤は「すれ違い→対話→好きの確定」という順で、関係が一段強くなる着地です。
  • エピローグでは、海夢はモデルへ、新菜は雛人形職人へ進み、結婚と娘の未来まで提示されます。

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